木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

見舞い

2013-05-03 23:23:43 | こころ
仕事場に掛かってるカレンダーには「平成25年」の下に「昭和88年」とある
今年は昭和のままだったら88年なんだ
で、29年生まれの僕は来年60 うっわじじぃ しゃーねーよね
15年生まれの職人さんは10月に73になるわけだ

今日、ポタと二人で見舞いに行ってきた
一人部屋、ナースステーションの正面の部屋
というだけで病状の推測ができる
本人に会う前に感じた病状のままの顔だった
酸素マスクで覆われた顔に意思が見えない
前回、しっかりと自分を表現していたその人はもういない
僕が、母が、呼びかけても目はしっかり開いているのに焦点が合わない
見ていてくれてる、と思った後にも僕らの言葉は伝わってはいなかった
それでも、僕らは「ありがとう」を連呼した
だんだんと涙声になる
父親が引退し、母親も続く
二人だけになって10年くらい経つ
仕事に関しては、6年前に亡くなった僕の父親よりもたくさんの遺産を残してくれた
「ありがとう」は僕にとっても、母にとっても、ほんの少しの偽りもない正真正銘の気持ちだった



帰り際、幾度もかけた「ありがとう」に頷き
間際まで働かせてしまったことを詫びる言葉にゆっくりと首を振ってくれた


まだ72だ
10年はゆったりと暮らして欲しい
それが困難であることを思い知る一日
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4 コメント

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Unknown (あんじー)
2013-05-04 02:29:25
この仕事をしていると、死にあまり関係ないように思うけれど、結構身近だったりする。
GW明けに来ますねと約束していた患者さん、危篤…とか。
私の仕事は目が悪くなったらアウト。
だからいくつまで仕事ができるだろう?と思う事がある。でも、仕事をしていない自分なんて考えられないし、仕事ができなくなったらどうしたら良いのかなぁと思う事もある。

死の間際まで働いていた事、ある意味良い事と思う。仕事をする事で生き甲斐みたいな物を感じていたのなら。。。。
返信する
医院長 (かっつん)
2013-05-04 22:20:08
申し訳ないと言葉にする反面、
彼が最後まで働くことを誇りに思ってくれてたように思うこともまた嘘ではない
僕たちの仕事は終わりがなくて、働かなくてもいい年齢になったから引退するのではなく、
物理的に体を思うように動かせなくなった時、引退するものだと思ってる
しかし、実際に木工所以外で生きる方法があるのなら
ここでピリオド打つのも一つの選択 っていうポイントがあるのかもしれない
それは、僕らの仕事が世間で必要ではなくなったときであり、少なくとも僕がそう感じた時なんでしょう
実際仕事するのは楽しい部分と苦しい部分がある
それはしょうがないよね
その中で納得できるとこまで自分の体を酷使しながら時を数えるのです
職人さんはまだまだ働きたかったんじゃないかなぁ・・・
区切りつけてなかったし、心残りの言葉も実際に聞いた
言ってもしょうがないことだけどね
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面白いわっ (tamiko)
2013-05-04 22:22:04
かっつんさん、涙が出そうになったわ。

職人さん、73歳とは若いですね。私よりも7歳も若い方。

そのような状態の方を見舞うのは辛いですね。
優しいかっつんさんとお母さん、きっと職人さんの
脳の奥に届いていることと信じます。

昭和88年かぁ~。tamiは数えやすいわ。
8、引けばいいんだから。

かっつんさんは、まだまだ若いよ。

そう言うけど、かっつんさんと同じ歳の息子に連れられて4日間、
東京横浜を歩いたけど、結構なおじんになったなあ、髪も薄くなったし、
顔も変形進んでいるし、と胸が痛かったわ。

ごめん、ついしんみりしちゃって・・・。

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tamiちゃん (かっつん)
2013-05-04 23:55:57
そうそう、僕らももういつ終わりが来ても、世間では納得されてしまう歳に来つつあります
髪も薄くなるし、顔の変形も十二分に進んでます(笑)
先日のクラス会、ワンポイント自己紹介のビデオが回ってきました
ううwっわ、見たくね~~ と実感
鏡で見てるともう少しましなはずなのに、文明の利器は残酷なことします
ありのまま映しやがんの
もうがっかりです(笑)

本日のお題は「胃瘻」でした
考えることの多いこと
しかも楽しくない話題です
それでも避けて通ってはいかんと思いますし
うちの中では結論が出てるつもりのことでもいろんな見方がありますもんね
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