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パラオ共和国(ベラウ共和国) 1993年  その7

2021-08-07 12:14:21 | 写真 海

  夕 食

 そろそろちゃんとしたものを喰いたい。
 だがレストランが開くまでにはだいぶ時間がある。
 それまで向かいの高島屋で土産を調達しておくことにした。
 まずTシャツ。軽くて嵩張らないので自分の分を含めて数枚。
 留守の間、犬の世話を頼んだフレイに帽子を。
 マングローブ製、木彫りのマンタ。



 ※マンタが有ったはずだが見当たらないのでコブシメを。ただしパラオで購入した物では無かったような。

 あとはグアムでトランジットの際、免税店で調達することにした。
 辰也も私と殆ど同様だった。違うところはポルノ土産をしこたま買い込んでことだ。
 「そんなもの、どうするんだ?」
 「好きな奴がいるんですよ」
 「成田の税関で見つかったらどうするんだ?」
 「見つかりますか?」
 「さあ、なんとも言えない。だが見つかったら非常に恥ずかしい思いをするぞ」
 「・・・・・・!」

  !辰也がレジでもめている。
 「どうした?」
 「2$のこれを買って、5$札を出したらおつりを2$しかくれないんですよ」
 現地人の女の子を視て静かに、低い声で言った。
 「間違えてませんか?」
 「・・・・・・」 1$札が出て来た。

 ・・・・・・

 夕闇。
 昼食を摂らなかっただけに空腹であった」
 「隣に声を掛けて来いよ」
 「行ってきます」辰也が飛び出した。だがすぐに帰って来た。
 「いませんよ」
 「ふられたか?。じゃあもう一組の方(SASとピンク)に声を掛けるか。
 しかしこちらも留守であった。

 ホテルをでた。向かいの高島屋にフィジーと丸ポチャ。
 手を振った。気が付いたようだ。急ぎ足で車道を渡って来た。
 「どうする?一緒に飯をどうかな?」
 二人に異存は無かった。急いで部屋を往復、荷を置いてきた。
 四人で連れだって歩き出した。
 「ん!」雨。足早になった。

 あおしま、 東京にある同名のステーキレストランの支店だった。
 ドアを開いた。フィリピン人のウェィトレスが出迎えた。
 「予約はしてないが・・・・・・かまわないか?」
 「ナンニン?」たどたどしい日本語。
 「四人だけれど」
 テーブルに誘われた。
 「ナンニスル?」
 「あおしまスペシャルディナー」
 「ダメ、ヨヤクシナイト」
 しばし四人で協議。それは翌日の七時に廻すことにした。
 この日はステーキに落ち着いた。
 私と辰也はTボーンステーキ。フィジーはサーロイン。丸ポチャはハンバーグステーキを。
 「ヤキカタハ?」
 「ミディアム」と辰也。
「レア」と私。
 「ホントウ?」疑わしそうな目で訊く。
 「うん」頷いた。
 「ヤメタホウガイイヨ。タベラレナイヨ」
 「どうして?」
 「カタイ」
 「ではミディアムレアだ」
 彼女は首を振る。
 『じゃあ訊くな』と言いたかったが「分ったミディアムで」
 彼女はにっこりと頷いた。
 「ノミモノハ?」
 『さてどうしようか』と考えていたらフィジーが「ビール」。
 『そうとうの呑兵衛だぞこいつは』
 ステーキの大皿が並べられた。F4で恒例の食い物シリーズの撮影。
 ※インスタグラムはまだ存在しない。今だったら撮らない。
 ついでに向かいに並んでいる辰也と丸プチャのツーショット。
 「新婚旅行みたいだなー。オイ」※見出し画像

 とりあえずビールで乾杯。







 肉の味は?。まあこの程度だろう。南の島で和牛の味を求めても得られるはずがない。

 「今日はどうでしたか?」
 「まあまあかな・・・我々以外は全員女性だったし。いやホストが一人いたか」
 「ヘェー」

 「平均年齢が少々高かったけれどね・・・とにかく五人で三百歳以上」
 「おばさん?」
 「うん、だけどこいつはもててましたよ」
 「勘弁してくださいよ。ファスナーをいきなりあげるから肉は挟んじゃうし、水中ではフィンで蹴られるし、さんざんだったんですから」
 「ポイントはどうだったんですか?」
 「タートルコープとニュードロップオフ。だが、体長不良の所為もあってもう一つと言うところかな」
 「船酔いですか?」
 「睡眠不足だと思うのだが・・・昼飯も殆ど喰わなかったな・・・」
 「お昼は昨日と同じ島?」
 「そう、続々と船が集まってくるから君たちも顔を出すかと思っていたが・・・」
 「私たちは近くの無人島みたいなところ。良かったよグリコ」のCMに出て来そうな島で」
 「ふーん」
 「港で『浮気』するなって叫んだでしょう」
 「そんなこと言ったけ。・・・ん!・・・言ったかもしれないな」
 「もう、みんなに好奇の目で視られてたいへんだったのだから。でも一緒に行きたかったな」
 「そうしたら写真も撮ってあげられたのにネ」
 「欲しい。一枚でいいから水中での写真」
 「明日一緒の船になるように頼んでみれば」
 「明日はペリリュー島に行くそうです。そこで三本。そうだドリフトダイビングってなんですか?」
 「簡単に言えば水中を流れに乗って移動することだな」
 「そうなんだ・・・でも私にできると思いますか?」
 「危険があったら連れては行かないと思うが・・・?でも三本は止めておいた方がいいかもしれない」
 「そうします」
 ※ペリリュー島 ペリリュー島のダイビングは中級者以上。フリー潜行ができるなど…パラオの中ではかなり条件が厳しい。
  Cカードを取り立てのビギナーを連れて行くことは無謀。

 ♪ここは お国を 何百里 ・・・ 奥の方の席から軍歌が聞こえて来た。
 かなり年配の女性グループ。あの戦争で家族を失った方々のようだ。
 小声で一緒に唄った。
 
 食事を終えてあおしまを出た。
 「どうしますか?これから」
 「珈琲が飲みたいな」とフィジー。
 「部屋に来ますか?。インスタントではないドリップ珈琲を御馳走できますよ」

 昨夜と同様に夜が更ける迄・・・海の話 『早く寝ろ!』

 つ づ く
 

 



 

 



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