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八本目 ハウスリーフ ダイビングサービス レフトサイド
さて、いよいよラストダイブである。
重量のあるネクサスは置いて行くことにした。
フィルムの残っているニコノスのみで気楽に行くことにした。
ストロボをネクサスから外してニコノスに装着。
UWフィルムなのでスピードフラッシュにブルーフィルターを取り付けた。
ダイビングサービスを訪れて台帳にルームナンバーと氏名を書き込んだ。
それを覗き込むようにして現地人スタッフが訊いた。
「フタリ?」
「イエース」
「アトノ フタリハ?」
「スリープ」と答えると笑っていた。
「イツカエル?」
「トゥモロー モーニング」
「モウ カエル? ニホンジン イソガシイ ダイビング タクサン スル・・・モットナガクイル ダイビング モット ユックリ」
笑えなかった。
レフトサイドを攻めることに決定。
「あのこ(オレンジ スポッテッド エンペラー)待ってるんじゃないかな?」
三時五十五分エントリー
カメラが軽くなった分潜行に手間取るかと思ったが支障は無かった。
水深20m。沈船を眺めたい誘惑にかられた。
ダイバーズウォッチのデプスメーターを睨みながら更に深度を稼いだ。
もう少しで30mと言うところでY子が拳を握り胸を叩いた。
『空気が少ない。あるいは渋い』早い話が「苦し」いのサイン。
すぐにY子の腕を掴みゆっくりと上昇。
その最中に残圧計をチェック。エアは充分あった。
水深15m。
「もう大丈夫」と言うようにOKサイン。
沈船探索は諦めて水平移動。
タテキン・ニシキヤッコ・ブルーフェイス・ミツボシクロスズメダイ・ミスジリュウキュウスズメダイ・バタフライフイッシュ。
※ 残った水中写真をざっと掲載。
お馴染みになった魚が次々に顔を出す。
一昨日の岩の裂け目。覗き込んだ。
奥の方にやはり全長2mほどのエイ。夜行性で昼間はここで眠っているのか。
三段のテーブル珊瑚。やはりインディアングラントが三匹。
ハウジング無しでの潜行は非常に楽だった。
ニコノスは携行していたが水中重量は僅かなもので殆ど気にならない。
三本に一本はこんなダイビングをしたいものだが・・・・・・。
「もしも・・・・・・が出たら?」と思うから出来ないのだろうな。たぶん。
潜水時間30分。Uターン。水深10mをキープして水中移動。
人影が近づいてくる。モルディブでは珍しい男二人の日本人パーティだ。『潜るんです』を持っている。
すれ違う時に片手を小さく挙げて挨拶。二人も返してきた。
エントリー地点まで戻って来た。潜行ロープにY子を掴まらさせて減圧停止。
ニコノスの中にUWフィルムが残っていた。
残して帰っても一般撮影には?。ピッチを上げて撮り切ることにした。
浮上。
モルディブでのダイビング終了。
器材をメッシュバッグに詰め込みカウンターにウェイトを返した。
「オワリ?」
「イエース。スタンプは?」
「スタンプ・・・チョット待ッテ」カウンターの上におよそ五十種類のスタンプが取り出された。
「こんなにあるのか!」
「マンタのスタンプはやっぱりマンタポイントね}はしゃいでいる。
ドーニーが帰って来た。急に賑やかになった。
ガイドの田中がやって来た。
「どうでしたか和食の味は}」
曖昧な顔。返事は帰ってこない。まだ喰っていないのか。
「サインしますか?」
「お願いします」とY子がログブックを渡した。
田中はそれを受け取りパラパラと捲った。
『ゴシキエビ様がいらっしぃました』と大書きされたページを視て言った。
「いるんですよね。すぐ」その辺に」
「かなりの大きさでしたね。体長1mほどありましたよ」
しょっぱなの揶揄の所為か私とはあまり話したがらない。
『駄目だな。そんな了見の狭いことでは』
田中が自分専用のスタンプを押した。Y子のログブックが多少賑やかになった。
ボールペンを取り出しサイン。初めて筆記具を手にした子供の落書きのようだ」
「それちゃんと書いてるの?」
『ムッ』としたような顔。まだまだ子供だ。
「どうもありがとうございました。お世話になりました」
「元気でね。頑張るんだよ」とダイビングサービスを後にした。
メッシュバッグが重い。
・・・・・・
素早くシャ輪を使い器材の洗浄。翌朝は早いのでパッキングは夜のうちにしなければならない。
それまでにできるだけ乾燥させる必要があった。
もうちょっと つ づ く