満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

みぞれ 作:重松 清

2010-04-27 | 本の紹介


考えたら…「重松清さん」の本を紹介するのは、初めてだの…(笑)
彼の本が面白くないってな訳ではなく、まったくその逆なんだが
読み終わった後に心に軽い脱力感を感じるもんで、色々と書くのが面倒になるんじゃ

まず、軽く「重松氏」のプロフィールをば
1963年に岡山県でオギャーと生まれる。(オギャーと言ったかどうかは解らんがの)
出版社に勤務し、その後作家活動に入る。(よくあるパターンだの)
91年に「ビフォア・ラン」でデビューし、01年に「ビタミンF」で直木賞を受賞

彼の作品は何作か読んだが…「流星ワゴン」が好きかな(笑)

今回読んだ「みぞれ」は、地味なお話しが短編で11個載っている
地味と言っては身も蓋もないか…「身近なお話し」っと置き換えた方がエエかもしれん。

人は生きていると、ちょっと嫌な出来事に沢山ぶつかる(笑)
自分で招くこともあるが、人との繋がりや、仕事関係などの縁から起こる嫌な事もある
嫌なことだからと言って、目を背ける訳にも行かず
かといって解決出来る策がある訳でもなく…
気が付けば時の流れと共に心に大きくのしかかってくる

こういう事に転機というモノがあるのかどうかは解らないのだが
心に大きく重くのしかかっていた「嫌な出来事」が、ある日ストンっと落ち着く時がある
解決はしていない。
なるようになったとしか言えない状況なのだが、それでも少し気持ちが軽くなる。

そんなお話しが11編載っているのだ(笑)

「石の女」
子供の居ない夫婦が、犬に人間の名前を付けた
年賀状に「○○も3歳になりました」と書いてしまったことがキッカケで
子供が居ることになってしまった。
本書ではウソと書いてあるが、私は決してウソを言った訳ではないと思うな
ただ本当の事が言えなかっただけ。そういう時もある(笑)
ところがその友人が家に訪ねてくると言う。さて、困った、どうしよう~

「メグちゃん危機一髪」
業務縮小のため営業一課と二課が合併される。
それぞれの課に課長はいるが、合併されれば課長は一人しか要らない。
同期のどちらかがリストラされることになった
おりしも都会の川には、アザラシのメグちゃんが登場し、メディアは湧き上がっていた
40歳。家も買ったし、子供も居る。地方に飛ばされるかリストラか…
「メグちゃん可愛い~」と脳天気に騒ぐ世間が疎ましい~

「みぞれ」
親が好きな酒を絶って、爪に火を灯すような生活をし
子供だった自分のためにお金を使ってくれた記憶はまったくない
むしろ、金も無いのに酒だけはきらさず、好きな様に生きてきた親父である。
自分も親を当てになどせず、自分の力で頑張って生きてきた。
だからと言って親を恨んだことなどない。今ならソレもイイ経験だと思う。
足腰の弱った父母を妹夫婦が引き取ることになり、リフォーム費用も少しだが出した
ところが親は、古い我が家がイイと勝手に戻ってしまう

子供に関しちゃウチも居ないんだが、居ると言ってしまった事は一度もない(笑)
ただ年賀状に「○○も3歳になりました」と書かれていたとして
イコール子供が居るとは思わんな(アハハハハ)一行だけのその文章では解らんもんの

多摩川にタマちゃんが登場していた時も、一度も可愛いと思ったことなんぞない。
川沿いに人が沢山集まり騒いでいる風景は、なんだか変な感じがしたな(笑)
エサをやる・やらない、捕獲する・しないで論争を呼んでいたのをテレビで見た時に
平和日本を痛感した。

親に関しては…こりゃ困った問題だの
ウチの親も、子のためにお金は一切出してはおらん。っと思っておったが…
友達と比べれば全然劣るのだが、食うものも、着るものもあったし
学校にも通わせて貰ってもいた(途中から自力になったがの…笑)
それに楽しい思い出も結構ある。

だから親にも、最後まで好きなようにさせてあげたい気持ちの方が強い。
とはいえ、足腰が弱って、自力で病院にも通えない状況の父母を放っても置けん
ウチも親は北海道だし、私は神奈川に住んでいる
「頼むよ、ワガママなんぞ言ってる場合じゃないっしょ」っと言いたくなる気持ち
ものすご~~く、良く解る。
この話を読んで泣いた人が居るらしいが…私しゃ泣くどころじゃなかった
いずれ来る老々看護の実態を考えると泣く前に呆れた…
どう考えても、ウチの親もやりそうな事が書いてあったもんで
こんな事くらいで、心が折れないようにしようっと心に誓った(笑)

まるで身近な話ばかりだし、嫌な出来事からスタートするので
最初の読み始めはウンザリする。
でも、読み終わると気持ちがホ~っと暖かくなっているので…また次の話も読んでしまう
(アハハハハハ)
そんな不思議な文章を書ける人なんだな、「重松さん」って(笑)

通勤電車に揺られながら読むには持って来いな本だと思います
機会があれば、一読あれ~(笑)


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福井晴敏作品

2010-03-09 | 本の紹介
福井晴敏って知っておるかい?
1968年生まれの41歳の作家さんである。41歳か…若いの~~~
(40代を指して若いと感じる自分が怖いがの…ガハハハハハハ)

彼の名前は知らなくても
「亡国のイージス」とか「終戦のローレライ」などの名前は聞いた事があるだろう
これらの作品を書いた作家さんが、彼なのだ

ウィキ情報なんで正確かどうかは解らんのだが、彼は自衛隊出身では無いのな。
リアルな戦争描写が多いもんで、てっきり自衛隊出身かと思っておった(笑)
商科大を中退し、警備員をやっていたそうな。
テーマが重い割りには、ゲーム感覚的な描写は、そういう所から来ておるのかの?

今回、何時もブログで遊んでもらっておる「サミュエルどん」から
福井作品を多数お借りした。嬉しかっただ~ありがとう!

私が最初に手にした福井作品は、彼の2作目となる
「Twelve Y.O.」(トゥエルブ ワイ オー)
 1998年作 講談社(全1巻)

サイバーテロを目論む「トゥエルブ」の標的は、アメリカ国防総省であった
「トゥエルブ」はPCウイルスと謎の兵器「ウルマ」を使いアメリカを脅す
謎の兵器「ウルマ」には、アメリカを黙らせる程の力があるらしい
日本はもとより、全世界の組織が「トゥエルブ」の持つ「ウルマ」に注目する。
いったい「トゥエルブ゛」とは誰なのか? 謎の兵器「ウルマ」とは…?


ん~~。面白いっと思う箇所と、そうでもない所がハッキリ分かれておったの~
だから、読み終わっても消化不良気味かの(笑)

「ウルマ」という謎の武器の正体と「トゥエルブ」の目的が…少々子供っぽい。
大人になりきれない日本の外交をテーマにしておるので、これでも有りかな?
得てして、戦争ってもんは…
大人になりきれない子供っぽい思考が起こすもんかもしれんしの(笑)

第44回江戸川乱歩賞を受賞したそうな・・・
エッ?乱歩賞って探偵小説じゃなかったっけ? 推理作家の登竜門だと思ったが?

確かに最後に大ドンデン返しもあったが、そんなに驚く程でもなかった。想定内だったが…
どちらかと言えば乱歩賞を取ったってな事実のほうが…想定外で驚いた(笑)

「亡国のイージス」
1999年作 講談社(上・下巻)

これは映画にもなったので、内容を知っておる人も多いと思う
ただし、私は映画を見ておらんので、本との違いは解らんがの~

自衛隊のミサイル搭載護衛艦「いそかぜ」を、艦長以下数十名が
新型兵器「GUSOH」を持ち込み占拠。ターゲットは首都「東京」であった
そのバックには「北の脅威」も見え隠れしている
果たして首都「東京」を、平和ボケした日本のトップ達は救えるのだろうか?


これは面白かった(笑)可なり丁寧にそれぞれの人物像を描いており没頭できる。
ただ…やはり過程は楽しめたが、この手の小説は結果が見えてしまうので
ページが進むごとに原因の浅さが、弱いジャブのように効いてくる
よって追い詰められた時の抗い方に「何故そこまで」という気持ちが離れない

艦長も「北の脅威」も、どちらも「私怨」に端を発しているのが「トゥエルブ」に似ている
「私怨」から生まれた戦争に、何故加担する男達が現れるのかが…どうしても理解しがたい
やはり、私が女だからか?
「私怨」が増幅し、国を相手どり罪のない人々を巻き込もうとする行動が
たとえその根本に、どんな「正論」があったとしても、
そんな脅威に大勢の人々をさらす様な人物には、魅力は感じられない
なのに…そんな男に惹かれる男が結構な数…居るのだの。

ただ、そんな気分を吹き飛ばすだけの「浪花節」がアチコチに点在しているので
最後までハラハラして読めた(笑)如月君の事が心配での~(ハハハハハ)
「エエ~っ!?」てな出来事も最後にあったし、
普通は濁すそれぞれのその後も、ちゃんと書いてあったしな

何時も映画やテレビで、一発の銃弾で簡単に死ぬシーンを良く見るが
実際、人はそう簡単には死なないと聞いたことがある。
この本にも、なかなか死なない男が居る(笑)
死んでもイイっと思ったら、簡単に死ぬ。生きる為に戦い、生き残るために力を尽くす
そんな男をカッコイイっと思った。

「終戦のローレライ」
2002年作 講談社(1~4巻)

1945年8月、日本国民にとって忘れられない暑い夏
敗戦を帰したドイツから大型潜水艦が広島県呉市に隠れるように入港する

船籍を「伊507」と変更したこの潜水艦には…ナチス・ドイツの秘密兵器である
「ローレライシステム」が搭載されている
元華族出身の朝倉大佐は、各所より精鋭を集め「伊507」を、独自に出航させた
ただ、集められたメンバーは日本海軍精鋭ではあるが…どこかアウトローな人員であった

「伊507」が広島を出航してほどなく、B29爆撃機より広島に「原子爆弾」が投下される
はたして「ローレライシステム」とは何か?「伊507」に課せられた使命とは何か?
朝倉大佐の思惑とは?


「あとがき」を読むと、この本は映画化を前提に作られたそうな
「ガメラ 大怪獣空中決戦」の特技監督「樋口真嗣氏」が
「第2次世界大戦・美少女・潜水艦」と、3つのキーワードを入れた小説を依頼したそうで
それを踏まえて読むと…「な~るほど」っと思う(笑)

ほぼ土台は「亡国のイージス」と同じで、そこに上記3つのキーワードを当てはめた感じ
だが…正直「亡国のイージス」より、はるかにオモロイ(ハハハハハ)

キーワードの「第2次世界大戦」と「潜水艦」の2点は、小説にするには難しいと思う
「第2次世界大戦」は結果を誰もが知っているし…
「潜水艦」は音だけが頼りのシロモノで、派手に書くには不向きな存在である
どうやら映画監督が低予算で映画作りをしたいがために、こんな設定を提示したらしいが…

また映画にした時に万人ウケするために、この「男の世界」の最たる部分に
美少女を加えてくれろと映画監督はのたまう(アハハハハハ)
とっても難しいお題なのにコレを福井氏は見事にクリアしておる(笑)
御歳41歳という若さが生んだ斬新な作品に仕上がっておる

私はまったく映画を見ていないので、ハッキリした事は言えないのだが
樋口氏に「映画にしたいから、この3点を入れて本を書いて~」とか言われ
「エエよ~」と出来上がったこの作品。
多分…軍配は福井氏の頭上にあがったのではないかの~~
っというのも、これをこのまま映像として見事に仕上げるには、
少ない資金と枠の決まった放映時間を持つ映画では、無理だろうな~っと思うからである

本が出来上がり「ラッキー」っと思って読んだ監督の…
顔面が蒼白になる姿が見えるようで笑える(アハハハハハ)

コノ作品は、単に戦争好きなオタッキーが書いたお話しではない

「戦争を知らない子供達」といえば団塊の世代を指して言う言葉だが
それ以降に日本で生まれた全ての子供達は、全員、戦争を知らないのである

当時の若い前途ある青年が、「死ぬのは怖くない」っと言い切るには
日本という国に残っている父母や弟妹、家族を守りたいという強い気持ちの表れである
だからこそ、意味のない死は嫌なのである。
戦争に勝つとか負けるとか、そんな事は上の人間が机上で考えることであり
実際に敵を目の前にし戦った多くの人達は、家族が幸せな生活を送られればそれでいいのだ

そんな沢山の若者達の想いの上に、今の日本はある。

本書では元華族「朝倉」の思惑に翻弄され、死に行く者の大儀が崩れ去る
日本の魂は崩れ去った、
なら…一度完膚なきまでに消し去って、ユダヤの民のように国を持たず放浪しながら
新たな日本を作り上げたほうが、理想の国家を作れる。そう断言する朝倉の言葉に
若い兵士「折笠」が牙を剥く。

若く濁りのない瞳で前を見据える折笠の中に、日本の未来に希望の光を見つけた艦長は

「これより伊507は一個人の怨念が歪めた歴史を・・・
 日本国の未来を修正にするために行動を起こします」

「ローレライはあなたが望む終戦のためには歌わない」そう言い切って潜水艦を発進させる

確かにまだ40代の作家が書く小説っぽく、宇宙戦艦ヤマトか?エヴァンか?と
思われるような箇所もままあるが…何度か感動し胸が熱くなるシーンもあった

今後、戦争を起さない、参加しない、絶対に核は持たない。
そんな気持ちの土壌は、戦争を知らない我々でも持っている
だが、その先の日本人として我々はこの国をどうしていくべきなのかの部分は不明瞭である

正直、戦後はどさくさに紛れ、なんとな~くココまで発展してきてしまったってのが
大方の感想だろうと思う。
それでもココまで復興してきた事を、誇りに思うべきなのに
戦争でアメリカに負けた傷が深すぎるのか、たえず心の片隅には
「アメリカには敵わない」ってな思いがはびこっておった

そこから脱却し、新しい文化を他の国へ発信しているのは
まったく戦争の話をバー様やジー様に聞いたことのない若者達なのである
たとえソレが…ロリータファッションやらアニメであってもである(笑)

自分を信じて突き進む、そんな力が日本人にはあるのだ
島国だから仲間を信じて一緒に行動する、狭いんだもの…当たり前じゃ
綺麗好きなのは、ジメジメした梅雨で暮らした祖先のDNAぞ
海外旅行でも、二度と来れないかもしれんと思えばカメラだって首からぶら下げる
異国の人はそんな日本人をバカにするけれど、
これぞ、長い歴史で培った日本人の本質なのだ~~(笑)

阪神淡路の震災の時、暴動も起きず、皆一丸となって立ち向かい
各地から大勢の人が馳せ参じた。素敵だよな、日本人って(笑)

この本は若い人に読んで欲しい本だな~。何度か泣きそうになりながら読み終え
オバサンはそう思っただ~(アハハハハハハ)

福井氏の本を一気に沢山読んだが、この「終戦のローレライ」が一番好きだ
それ以前に書き連ねた本の集大成ってな感じがしただ
文庫で4冊は長いが、機会があれば一度読んでみて欲しい
注)1~2巻はシンドさを感じるかもだが…3巻あたりから怒涛の波に飲み込まれるだ~

同じ作家さんの本を沢山貸してくれたサミュエルどんに感謝である~ありがとう


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新・御宿かわせみ 作:平岩弓枝

2010-02-12 | 本の紹介
NHKでドラマ化もされていた「御宿かわせみ」
平岩弓枝原作で昭和48年から現在も続いているベストセラーである。

江戸後期、黒船なんぞが来航した激動のアノ時代。
同心の娘「庄司るい」は、父親がある事件で失脚し亡くなったのを機に
武家を捨て「かわせみ」という旅篭を経営していた

父親の下で働いていた凄腕岡引「嘉助」が番頭として
また庄司家の奉公人だった「お吉」が中居として
「るい」について「かわせみ」で働いている

幼馴染の神林東吾がチョイチョイと遊び来る
二人は恋仲なのだが、東吾の家が筆頭与力と家柄が高く
また、家督を相続した兄夫婦に子供がないため、跡継ぎを東吾へとの話もある

「るい」は元同心の娘だが、現在は武家を捨て旅篭の女主人
しかも東吾より一歳年上なもので…なかなか二人の恋は成就しない

東吾の幼馴染で同心の「畝源三郎」が「かわせみ」に持ち込む事件を
縁あって友人となった医師「麻生宗太郎」も手伝い解決していくっという
人情味のある捕り物のお話である

そんな二人「東吾」と「るい」も、第12巻「恋文心中」の「祝言」で結婚した
「麻生宗太郎」も「畝源三郎」もそれぞれ結婚し、子供を儲けている



さて、江戸が終わり明治となった「新・御宿かわせみ」では…
(なんと…しばらく読んでいないうちに…明治になっておった…ハハハハハ)

東吾が行方不明…。 んっ? 主役不在? んじゃ~誰が主役なんだ???
っと思ったら、なんと東吾が酒に酔った勢いでつい一夜を…ってな状況で
もしかしたら東吾の隠し子?っと思われていた麻太郎君が、
東吾の実家神林家を継いで主役に…

医師の麻生宗太郎の実家が何者かに襲撃され、殆どが殺害されていた…
残っておるのは宗太郎と娘のみ…(マジっ!?っと思わず本を落としそうになった)
同心の畝源三郎は、麻生家の事件を追いかけている途中で殺害され…(アワワワ)
源三郎の妻と娘は外人相手に小物を売り、
息子が探偵をやりつつ父と麻生家の仇を探っておる

2005年連載停止から、また「御宿かわせみ」が始まる~っと喜んだが
なんと思いきった幕開けか・・・(ハハハハハ)

それぞれの子供達が力を合わせ、麻生家事件の謎を追いつつ
諸々と舞い上がる事件を解決へと導いている。

以前の雰囲気も残したまま、メンバーだけが入れ替わったのだが…
そこはかとなく流れる空気が、ほの暗い悲しみを漂わせているので、なんだか悲しい
何人もが事件や事故で亡くなっているので、仕方がないと言えば仕方がないのだが
新しく若いメンバーにした理由の一端である、爽やかな風が流れていないのが残念である。

とはいえ、明治の新風が江戸庶民に与えた影響などは読んでいて面白い。
教科書では「暦が西洋暦に変更された」などと一行で終わっていた部分も
旧暦の正月を愛でていた人々の戸惑いが、ほんのり描かれているシーンもあり
やっぱり「御宿かわせみ」だな~っと思う(笑)

続いて「華族夫人の忘れもの」「花世の立春」と続いているらしい

「御宿かわせみ」シリーズで「るい」と「東吾」のコンビを楽しんでいた人から見れば
あまりの変化に付いて行きがたいが…
江戸の庶民にとっての明治も、付いて行きがたい不可思議な世界であったのかもしれん

新しい世界の新しい空気を胸一杯に吸い込む若者達の、今後に期待したい

だけどな~。だんだん現代っ子っぽい動きが見えて来ておるでな~~
江戸時代の、どこか凛として、せっかちなんだけどノンビリしておるような
そんな世界観が好きだったもんで、気持ち的には微妙~っと思う

とりあえず、麻生家が襲われた謎は知りたいので…もう2巻は読むか~(笑)

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天外消失

2009-12-25 | 本の紹介
1972年に早川書房より「世界ミステリ全集」が刊行された
その殆どが早川のポケットミステリから選ばれた作品である

第一巻「アガサ・クリスティー」 第二巻「E・S・ガードナー」
第三巻「エラリー・クイーン」と聞けば、その内容の濃さも解るであろう
全部で18巻あるが、未だファンには根強い人気がある

中でも18巻目は「37の短編」と銘打ち、収録作品も可なりなもので
当時、小学生だった私のような世代でも、一度は読んでみたい作品となっている

ただ、私の場合は幸いなことに
年長の従兄弟が、早川のポケットミステリを集めていたので
殆どの作品を読ませてもらった。
早川のポケットミステリが本棚にズラリと並ぶ壮観さは、素晴らしかった(笑)

その「世界ミステリ全集」の18巻目「37の短編」から
他で読めうる作品を省いた残り「14編」を収録し、今回新たに刊行したのが



「天外消失」である。
久々に早川ポケットミステリを手にした(笑)

いつもブログで遊んでもらっておる「すずどん」のサイトでこの情報を知り
速攻で本屋へ行ったが…売り切れておった。やっぱり、好きな人は多いと見える
その後、探しに探したが売り切れ状態の本屋ばかりで、結局諦めネットで購入した

「37編」のうちの…たった「14編」であるが…それでも読めるだけ嬉しい

ジャングル探偵ターザン (エドガー・ライス・バロウズ)
ERB(1875~1950)作品といえば「火星シリーズ」が、SFファンでは有名だが
彼の名を一番有名にした作品といえば「類人猿ターザン」なのだ

類人猿と一緒に生まれ育ったターザンは、ある日、類人猿の親友の妻が
他所者にさらわれてしまったことを知る。
道なきジャングルを親友と共に進み、さらわれた妻を捜しに行くターザン
果たして親友の妻を救うことが出来るのか?

死刑前夜 (ブレット・ハリディ)
ブレット・ハリディ(1904~1977)アメリカのハードボイルド作家である
赤毛の探偵マイケル・シェーンの生みの親として有名だが、知ってる人は居るかの

明日、死刑になるっという囚人に、新聞記者がインタビューをする
このお話、作者はまったく最初っからウソは一切書いていない
なのに読み手が勝手に想像し、最後にドンデン返しを食らうのである
久々にこういう手法にやられた(笑)

殺し屋 (ジョルジュ・シムノン)
ジョルジュ・シムノン(1903~1989)ジュール・メグレ警部シリーズが有名
身長180、体重100、パイプタバコと酒が好きなフランスのメグレ警部
「男の首」「黄色い犬」が好きだな~~

今回もメグレ警部のお話。スタンという強盗殺人の首領を捕まえようと奮闘する
今では思いっきり古典的な手法なのだが、あまりに古典的過ぎて、つい…(笑)
いいな。こういう推理小説って(ハハハハハハ)

エメラルド色の空 (エリック・アンブラー)
エリック・アンブラー(1909~1998)スパイ小説の大家である
「グリーン・サークル事件」を読んだ事があるが、今、読んでも遜色がない
東地中海の情勢を予測していたとしか思えない筆力に感動した

もう一歩の所で完全犯罪が成立しそうだったのに…
それを阻止したのはエメラルド色に描かれた空の絵であった
毒になる染料があるっと知ったのも、推理小説からだったな~(笑)

後ろを見るな (フレドリック・ブラウン)
フレドリック・ブラウン(1906~1972)SFのショト・ショートが好き
結構ハマって読んだハズなのだが…一つとしてタイトルが思い出せない(笑)
でも、絶対に面白いのだ(ハハハハ)

ああ、この手法も懐かしい(笑)決して自分じゃないっとは解っているのに
本作を読んでいるうちに…もしかしたら…自分の後ろに…とか思うアレ。

天外消失 (クレイトン・ロースン)
クレイトン・ロースン(1906~1971)推理小説家、アマチュア奇術師でもある
残念ながら彼の作品は読んではいない。今回、天外消失を読んでビックリした
面白かったので、彼の他の作品も読んでみたい

警察がマークしていたのに、電話ボックスに入った容疑者は消えてしまっていた
アマチュア奇術師らしいクレイトンの作品。

この手で人を殺してから (アーサー・ウイリアムズ)
アーサー・ウイリアムズ(1930~1997)ジョン・マイルズの別名だろうか?
彼に関しては全然解らん(笑)ヒッチコック作品の中に彼の作品があったような~

ちょいとグロな作品であった。小学生の頃、卵から雛を孵す実験をし…
しばらく卵が食えなくなった記憶が蘇ってしもうた(笑)
しかし…完全犯罪者ってのは、どうしても黙ってはいられないらしいの~

懐郷病のビュイック (ジョン・D・マクドナルド)
ジョン・D・マクドナルド(1916~1986)著作は、まったく読んでいないのだが
彼の本を原作に作られた1991年の映画「ケープ・フィアー」は怖かった(笑)

今の車ではありえないとも思うが…当時の車のラジオ短波はこんな感じだった
こんな所から…犯人逮捕に繋がるとは、エエ時代だったとも言える

ラヴデイ氏の短い休暇(イーヴリン・ウォー)
イーヴリン・ウォー(1903~1966)カトリック作家だとか…
残念だが、この人の他の作品も未読である

これは…面白かった(笑)実は多分こういう結末になるだろうな~と思ったのだが
それでも面白かった
殺人事件を起こし精神病院で監禁されていたラウデイ氏は、優しいエエ人じゃった
父親の見舞いに来ていた良家のお嬢さんが、そんなラウデイ氏にプレゼントとして
一日だけの外出を国に願い出た。
やっと許可が下りた一日だけの休暇をラウデイ氏はどう使うのか?ってな話である

探偵作家は天国へ行ける (C・B・ギルフォード)
C・B・ギルフォード(1920~)いや~この人も全然解らん(笑)
ヒッチコック作品に名前が出ておったが、お手上げである

推理小説を書いている人間が殺された。ほいで…天国でゴネる
「誰が自分を殺したのか知りたい」っと…で、時間を戻してもう一度…
殺された本人と一緒に読者は誰が犯人だか探るのだ。なかなか面白い作品であった
しかし…2回も殺されるのは私なら嫌だがの~~(笑)

女か虎か (フランク・R・ストックトン)
フランク・R・ストックトン(1834~1902)この作品はリドルストーリーとして
可なり有名。答えを出さずに読者に問うので物議をかもし出す(笑)

この手の作品は好き嫌いがハッキリと分かれると思う。
結局最後は読者が創造するしかないでの(笑)
最後を書かないで良い作品なら、誰でも書けるだろうと思うもんで
私は、あんまし好きな作品ではない
現代女性なら「虎」の方が多分…ウケると思う(ニヤリ)

白いカーペットの上のごほうび (アル・ジェイムズ)
アル・ジェイムズ(生年不明)この人も解らん(ハハハハハハ)

いや~。ノンビリした時代の良い作品だと思う(笑)
女が自分の肉体をエサに男を誘惑する。
ところが女の家にヒョイヒョイ付いていった男が見たものは…
締めが甘い気もするが、こういう時代だったのかもしれん

火星のダイヤモンド (ポール・アンダースン)
ポール・アンダースン(1926~2001)ハードなSF作家として知られているが
私は彼のファンタジーも好き。「折れた魔剣」は面白かった~

火星人の宝冠を地球人が博物館で展示するために借り受けた
その返却の時…その宝冠が忽然と消えてしまう
そこで事件の捜査に乗り出したのは、火星人の探偵であった(笑)
シャーロック・ホームズを彷彿させる火星人の探偵が、なんとも言えず楽しい

最後で最高の密室 (スティーヴン・バー)
スティーヴン・バー(生年不明)彼に関しても全然解らんの~~(ホホホホホ)

完全なる密室殺人のお話しである。さて…犯人はどうやって出たのか?(笑)
これは…あれだよな~。よくある話だが、トリックになってない(ハハハハハ)
あまりにも密室過ぎる設定だと、結局こうなるしかないだろうってな話であった


こうやって読んでみると、これらの小説は
日本の小説家たち…特に推理小説に多大な影響を与えておったんだの~っと思う
導入から流れ、そしてトリックまで、どこかで読んだことのある内容だった
時代から考えると、今回読んだ彼らの方が先駆者なんだろう

そう考えると推理小説も出尽くした感があるの
よって、トリックよりも人物に重点を置いた作品が多いのか…(笑)
先に書くほうが楽だけどの(ハハハハハ)

最近は科学捜査も進み、推理小説を書く人も色々と勉強せねば書けん
古き良き時代の小説は、頭を悩ますことなくスンナリと読めるので楽だの
それに安心して読めた(笑)

関心があればだが…面白かったので一読をオススメする(笑)

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ころころろ 畠中恵

2009-11-27 | 本の紹介


前回レビューの「いっちばん」から…早いもので1年が経とうとしておる(笑)
※畠中恵作品のレビューはコチラ

ここの所、この畠中恵作の「しゃばけシリーズ」は年に一度、夏場に出ておるが…
どうやら買ってもスグには読まず、秋から冬にかけて私しゃ読んでおる(笑)

私には、兄弟は居たが…家庭内で向うところ敵なしであった長女だったもんで
美味しいもの、大好きなものは最後に食べる習慣がある
それが読書にも反映されておるのは、実に面白い(ハハハハハ)

江戸でも屈指の廻船問屋兼薬種問屋「長崎屋」の一人息子、若だんなこと一太郎は
体が脆弱なこともあり、両親から大甘に育てられておった
一太郎は食い物への執着が少ない(笑)
ま、何時も目の前に食い物の山があれば、執着も薄れるもんなのかもしれん

そんな一太郎の食い物を虎視眈々と狙う輩が
身の丈数寸の空恐ろしい顔をした小鬼「鳴家(やなり)」たち
一太郎の祖母「おぎん」が大妖であるため、一太郎の回りには妖したちが絶えない
なにより一太郎の世話を焼く兄やである手代の「佐助」は犬神で
同じく手代の「仁吉」も白沢(はくたく)という妖しである

二人の兄やから日々「壮絶な苦い薬」を飲まされ
甘く美味しいお菓子は妖し達に食われ、両親からは大甘に育てられ
なのに一太郎はグレないしブレないし、なにより優しい
そんなホッコリと温まるお話しが載っておるので…秋に読みたくなるのかもしれん

私の初恋相手は、年に一度学校の体育館で放映された映画の主人公であった。
その名は、サイボーグ009の島村ジョーである
同じくサイボーグの003にフランソワーズという元バレリーナが居た
どうやら島村ジョーとフランソワーズは恋仲っぽい。
そこで私は、なんとかフランソワーズになりたくって
腰に風呂敷を巻き、バレエ「白鳥の湖」を見よう見真似で踊ったもんだ

少しでも彼の好みの女性になりたいとの、切ない乙女心かの~~
白鳥の湖と言うよりも…「アヒルのフラダンス」っと家族には言われておったがの
小学生も低学年の頃だったもんで、コレが初恋とは、とんと気が付かなんだ

脆弱な廻船問屋の御曹司「一太郎」も、まだ前髪がある頃に初恋を経験した
お相手はちょっと年上のお姉さん
やっぱりこれが初恋とは気が付かずに、彼女のために一肌脱ごうと奮闘するが
あえなく撃沈してしまう(笑)
いつもは五月蝿いほどに一太郎をかまう兄や二人は、
この時ばかりは一太郎をソっと見守る。
そんな優しい時間を味わえる「はじめての」

ああ~~エエ、短編じゃった。っと思いきや

お次の「ほねぬすびと」では一太郎が突然目が見えなくなるのだ
「ほねぬすびと」で起こった事件は解決するものの
一太郎の目は、いぜん治らない

そこで兄やの一人「仁吉」白沢(はくたく)が一太郎の目を治すために奔走する
妖しを捕まえ見世物にしている悪いやつ等から「河童」を救うのだが
なんだかクールな仁吉らしからぬ仲間が一人二人と引っ付いて来て…
仁吉が主人公のお話し「ころころろ」

もう一人の兄や「佐助」犬神も一太郎の目を治すために奔走するのだが…
なんと佐助は嫁さんを貰っておる
佐助どん。一太郎のことは忘れたのかい?
そんな佐助が主人公のお話し「けじあり」

愛すべき一太郎の目を治すために、妖したちが一丸となって戦う相手が見えた!
それは…一太郎が初恋を経験した「はじめての」の話でチラっと接触した…
あの…お方(笑)
なんと全ては、あの時から始まっておったのね~~ってな「物語のつづき」

最後の「物語のつづき」では、日本古来の物語「桃太郎」や「浦島太郎」の
続きを考える(笑)
なにせ続きを考えるメンバーの大半が妖しなもんで…
桃太郎では鬼目線で続きを考えたりするので笑える(アハハハハハ)

桃太郎については…私も少し妄想したことがある(笑)
中でも桃太郎に出てくる鬼の正体は何か?に興味をソソられておる。

だいたい日本のお話しで「鬼」の存在がクローズアップされて来た時代は
平安時代だと言える
この時代の少し前からヨーロッパ全域に「バイキング」が台頭しておる
ほいで、バイキング達は交易もしたが、略奪や侵略もしながら
北アメリカまで到達していた記録がある。

メットに角を付け、もじゃもじゃの髪にヒゲをたくわえ
海風にさらされた肌は赤黒く…まるで鬼と一緒の姿形であったろうと思う。

彼らが、どこぞで略奪した宝を持って家路を急いでいた時に
運悪く黒潮に巻き込まれ、日本のとある島へ漂着したとする。
船を修理したい彼等は、漂着した島を拠点とし日本本土へ上陸しては
様々な物を略奪したに違いない(笑)

とそこへ「桃太郎」の登場である。
略奪していた鬼(バイキング)たちは、逆に宝を奪われ全滅した可能性が高い。
ただし、何人かは生き残り日本人と交わり鬼伝説を全国へ広めたのかもしれん

私の故郷、札幌の南区にある石山は、古くからの採石場であった
結構な広い範囲の山が、岩肌が丸見えで所々にポッカリと穴が開いている
絶対に子供が近寄ってはいけない場所なので、大人たちは子供に
「あそこには、鬼が住んでいる」っと教えておった(笑)

「鬼」…人を食うらしいので恐ろしいイメージもあるが
まだ子供の「桃太郎」及び、猿・キジ・犬にすら負ける弱いイメージもある
童話「ないた赤おに」に登場する鬼のように、
心優しく人間と友達になりたいと思っておる鬼もいるらしい

「こぶとり爺さん」に登場する鬼のように、
上手に踊れないと、頬にコブを付けられる場合もある…
「アヒルのフラダンス」なら得意であった小僧「満天」は…自分なら行ける!
っと考えた(アハハハハハハ)

かくして小僧「満天」はリュックに踊りの道具である風呂敷と
握り飯、鬼が好きであろう「酒」を持ち、鬼に会いに出かけたのであった

ただ…残念なことに小僧「満天」は…今もそうなのだが…
「無類の方向音痴」であったもんで…
家を出てスグに迷子となり、おまわりさんに捕まってしまったのである

先日、帰省した時に石山を車で通った
穴は今でもあるが、かなり浅く鬼が風雨をしのげるほどは無かった
それに車だと我が実家から10分ほどで行ける場所でもあった
なんで迷子になんぞなったんだろう???(アハハハハハ)

そんな子供の頃の出来事を、フっと思い出させてくれる良い本であった
秋の夜長、読書するには最高の本だと思う
機会があれば、お楽しみいただきたい(笑)

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魔王 作:伊坂幸太郎

2009-08-27 | 本の紹介


伊坂幸太郎氏、評判イイんです。
それで…文庫化された伊坂氏の「魔王」を買って読んだんですが…
ん~~~~。

「おためごかし」って言葉を知っていますか?
表面上は相手のことを思って言っているように偽って
その裏側は…自分の利益しか考えていないってな意味なんですが
そんな政治家が、この日本に現れます(笑)

「いやいや、政治家なんぞ皆、おためごかしじゃろう」っと思う皆様。
確かにそうかもしれんのですが(ハハハハハハ)

その政治家が…若者ウケするカリスマ性を持った政治家だった場合
第二次世界大戦時のドイツ・イタリアに生まれたファシズム思想が
現代にも蘇るのではないか?っという考えがこの本の根底にあるのです。

資本主義が弱くなり、生活に張りがなくなり、国民が将来に不安を感じると…
不思議なことにファシズムは、フワ~っと浮いてくる話題ともいえます

土砂崩れが起きる前には、音と数個の石が落下するそうです
その時に、なんとか対策を練れば防ぐことも出来るのですが
一度、始まってしまった土砂崩れは、誰がどうしたって止められません

「魔王」

安藤は、一流大学を出て、一流会社に勤めるサラリーマン。
ある日、自分に特殊な能力があることを発見します

「他人に自分の思ったことを言わせる能力」

その頃、世間に台頭してきた政治家「犬養」に、
安藤は強くファシズムの匂いを感じるのですが、誰も気が付かない
むしろ、安藤と同じ年頃の若者達は「犬養」の言動をカッコイイと崇めて行きます

そこで、「犬養」が街頭演説をしているさなか
「犬養」にバカな言葉を言わせ、若者たちの目を覚まさせようっと考えます

が…不思議な能力を持った者は、他にも居まして…それも「犬養」の側に…

流れに逆らって空にツバを吐いても、被るのはツバを吐いた人。
そんな、虚しい~お話しでやんす。
この話し。どこがエエんだか…全然解らん(アハハハハハハ)

「呼吸」

「魔王」の世界から5年後です
あの頃、小さな政党の党首であった「犬養」は首相となっています
犬養に牙を剥き、戦おうとした「安藤」の弟の「潤也」は
自分に不思議な能力がある事に気が付きます

ネタバレになるので色々と省きますが…
兄は「考えたことを人に言わせる能力」でしたが
弟潤也の場合は「ジャンケンに負けない能力」でした(笑)

しかし、この能力。実は侮れない。
10の選択肢以内なら、100発100中の確率で当てることが出来るのです。
つまり…10頭立ての競馬なら毎回、当選馬券を買える確率でもあります
それに気が付いた潤也は、小金を膨らませ転がし、お金を稼ぎ始めます
多分…犬養と戦うための資金調達か?

ってな所で終わります(笑)

「魔王」よりも、「呼吸」の方が読みやすいし、理解しやすいお話しだと思います
ただし、感覚的にどちらも浅さは否めない。
でも…浅い話しだからといって、大衆心理を動かすのに深さは必要ないので
ありえない話しとも言い切れず。なかなかどうして、微妙~な怖さは残ります

つい先日、日本の大学生達がファシズム組織を運営しているTVを見ました。
てっきり「過去の遺物」っと思っておったが…
この日本でも現在進行形なシロモノだったとは、さすがに驚きました

私は、歳を取って、働けなくなった時に
国に納めたお金を返してもらって、細々とでも安心して生活したい。

大病を患った時に、お金がないからと言ってスグに病院を追い出され
リハビリもロクに受けられないような状態にはなりたくない。

本当に困った時に、安心して身を任せられる国家があれば…っと思っています。

でないと…将来が不安で不安で…貯金に勤しんでしまいます(笑)

政治に関して玄人な皆さん。利害を捨てて、一度、皆で
「日本」って国を本気で考えてはくれませんか。
どうかひとつ、よろしくお願い致します。

なんぞとチラっと現実の政治を考えてしまう一冊でありました。

「とりあえず、みなさん。
選挙へ行きましょう!」


選ぶ人が居なくても良いんです(笑)
白紙でも良いから投票しましょう。投票率がUPしているのに
どの政党も過半数を取れない。
そんな状況になったら、政治家たちは…慌てるかの?(笑)
とりあえず、マスコミは騒ぐわな~~(ハハハハハハ)

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満天さん、オススメの絵本(笑)

2009-08-24 | 本の紹介
絵本?
満天さんが?
どうした? インフルエンザに、頭でもやられたか?

っとお思いの皆様。こんにちは。(ガハハハハハハハ)

実は…せっかく広島から遊びに来てくれていたヒコちゃん親子
夏休みに会えなくてな~

他のブロガーさん達と会った時のブログ記事を見ると…
ヒコちゃんの娘さん、ヒコ娘ちゃんが絵本に興味を示しておるシーンを見かけての

どちらかと言えば…私の小さい頃にソックリな少々お転婆なヒコ娘ちゃん。
その子が絵本に興味を示したっと読み、こりゃ、今がチャンスでないかい?
っと思った訳でやんす(アハハハハハハ)

何がチャンスって…子供の頃にお転婆だった私も
今のヒコ娘ちゃんくらいのお年頃に、絵本を買ってもらって読んでおっての
それが、今の本好きへと繋がっておるもんで…(笑)

いずれ、将来。ヒコ娘ちゃんと本の話しがしたい!ってな
下心から、絵本を贈ることにしましただ~~
(本好きは、本好きな友を作ることに熱心)

ところが、子供の居ない我が家なもんで…今、巷で流行っておる絵本が解らん
そこで、絵本に詳しいブログ仲間の「こどもの時間」のasagiどんに教えてもらっただ
ブログの仲間って、ほんと、ありがたいわ~~(笑)

もちろん。活字好きな満天さんのこと。
贈る前に…全てに目を通してしまったがな(ガハハハハハ)



「きつねのでんわボックス」聞くも涙、語るも涙なお話し。

簡単な内容
子ギツネを亡くしたばかりの母ギツネは、
ある日、田舎の町の道端にポツンと置いてある電話ボックスで、
人間の男の子と出会います。
男の子は、毎日夕方になると、かけってきて電話ボックスへ飛び込み
町の病院へ入院しているお母さんへ、電話を掛けるのです。

母ギツネはいつしか、今日一日あった出来事を熱く語る男の子と
亡くしてしまった子ギツネとを重ね合わせ、ソッと男の子を見守ります
ところがある日、ポツンとあった電話ボックスが故障してしまうのです…。

簡単な感想
読み聞かせをする母親の方が、泣いてしまうというこの絵本。
はて? 満天さんは…?
人歴が長い私はジワっとも来なかった。。。。。。(ガハハハハハ)
チビっとネタバレしちゃいますが…
出来れば…電話ボックスからシッポが生えていて欲しかった。
オチが甘いよな。なんぞと思う私は…心が汚れた大人じゃ~っと痛感した(笑)



「エルマーのぼうけん」不思議な国へ竜を助けに行く少年のお話し。

簡単な内容
エルマーはある日、年取った猫と出会います。
この猫から「どうぶつ島」で捕らわれている、可哀想な竜の話を聞き
「よし、僕が助けに行こう!」っと決意するのです。

「どうぶつ島」では、沢山の動物たちと出会います
猫に持っていくと良いと教えてもらった道具を駆使し、
エルマーは、果たして竜を助けることが出来るのでしょうか~~~~

簡単な感想
これはシリーズになっておる理由が解る。
色々なアイテムを駆使し、苦難を知恵と勇気で乗り越える話なもんで
大人が読んでも面白かった(笑)
色んなお話しの要素が入っておるので、どっかで読んだ話だの~と思ったが
それも…私の心の汚れの現われじゃろう(フォフォフォフォフォ)



「もりのへなそうる」兄弟の冒険物語~

簡単な内容
「てつたくん」と「みつやくん」の二人の兄弟は、ある日探検に行きます
(近所みたいなんですがね…ハハハハハハ)

ところが、そこで大きな卵を見つけます
そして…その卵から…「へなそうる」が生まれました
「へなそうる」ってナンだ?
「みつやくん」がまだ幼児語を話す子なので…多分…「へんな動物」が変になり
「へなそうる」になったようで…(笑)

簡単な感想
「みつやくん」の幼児語が、エライ読みづらい(アハハハハハハ)
しても、確かに子供って、こんな風に話すよな~なんぞとニヤニヤしながら読んだ
私の子供時代みたいに、あげ足取りの好きな子供が読めば
多分…ウケまくると思う(笑)
弟の「みつやくん」が間違った言葉を言うと…
なんと!兄の「てつたくん」がチャカさずに訂正する
私の場合、弟が泣くまで…チャカしておったがの~~~(ガハハハハハ)



どのお話しも、お母さんが読み聞かせをするなら幼稚園
自分で読むなら、小学校の低学年。っと表記されていました。
こんな面白いお話しを、寝る前に聞いたら、とっても眠れるもんじゃ~ない
なんぞとチラっと思いましたがの(アハハハハハ)

しかし…絵本も変わりましたの~~~
私が子供の頃の絵本といえば…「浦島太郎」とか「桃太郎」とか…(笑)
それか、「イソップ物語」や「グリム童話」でした
あと「ブーフーウー」とか…(ハハハハハハ)

これだもの。絵や本に飢えていたんでしょうね。
だから、早い時期から漫画や本に走ったのかも(笑)

なにせ、今は本屋さんへ絵本を探しに行っても、迷うほど沢山ありました
「、」や「。」に漢字がない本を久しぶりに読みましただ。

たまには、大人が読むのも良いかもしれん。
が…自分の心の汚れ具合がハッキリ解るもんで…多少の覚悟は要るかもの
(ガハハハハハハハ)

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「天使」「雲雀」 作:佐藤亜紀

2009-08-20 | 本の紹介
 

上に…2冊の本の表紙を載せているんだが、解るかの?
どっちも白が基調なもんで…大きさを変えてみたが…(ガハハハハハハ)
境目が解らんのは、遠近両用眼鏡だけでエエの~本だと訳が解らん(笑)

「天使」がメイン本で「雲雀」がオムニバス。
ところが作者の佐藤氏は「天使」を書きつつ「雲雀」も書いていたという
メイン本を書いていて広がったイメージを頭に留めておけず
オムニバス形式で「雲雀」を書いたようである。

ま、書き手はそれでも良いかもしれんが…
読み手は「天使」を読んでから「雲雀」を読む方が楽だと思う

それまで平然とあったものが、忽然と姿を消す時には
それなりの大きな出来事が起こるものである
そんな時代を描いた作品と言えると思う。

ベベンベンベンベン!

時は19世紀後半から20世紀初頭。
誰もが学んだあの1914年から始まった世界大戦をサンドしたお話しである~。

っと言えば「歴史小説か?」っと敬遠する御仁もござろうが…
ちょいと毛色が違っておる。

本書では「感覚」と呼ばれておる超能力を持った少年が主人公のお話しなのだ

「感覚」とは、人が何を考えているか透視でき、体や脳を攻撃することも出来る
また、人の記憶を操作することもでき、
その人が触った物から、思いや考えを読み取ることも出来るのだ

っとココまで言うと…コイツは天下無敵じゃろうっと思うのだが…
残念なことに、そんな能力を持った輩がゾロゾロと出てくるもんで
誰が何をやったかってのは、すぐにバレる(笑)

そんな「感覚持ち」の中でも、特に優れた能力を持った少年が主人公なのだ
名前は「ジョルジュ」
両親に捨てられ、養い親の元で惨めな生活を送っていたのだが
その養い親が死ぬと同時に、オーストリアのある組織に拾われる
その能力ゆえに、組織の長の秘蔵っ子として教育を受け
貴族的な振る舞い、教養を身に付け、まるで「地上へ降りた天使」のように育つ

そんな美丈夫な彼が「感覚」という能力も身につけておるんじゃから
やっぱり、向うところ敵なしじゃろうっと思ってしまうが

時は、落ちぶれたとはいえ貴族社会の真っ只中
ブサイクで、能力も知恵も持ち合わせていなかったとしても、
貴族であれば上に登れる世界
称号の男爵から、やっと人間とみなされる世界では
なんの称号も持たない「ジョルジュ」は人以下の扱いであった。

そんな彼のスパイ活動及び工作活動と…モテモテな生活に淡い初恋
SF小説ばりな精神戦もあるという小説である(笑)

正直。この時代のヨーロッパ諸国の歴史には疎いもんで…
チンプンカンプンな部分だらけ(ハハハハハハ)

そういゃ~この時代の歴史って言えば、
オーストリアとハンガリー帝国の皇太子夫妻がサラエボで暗殺されて開戦したのと
あとは日本の大隈重信が日英同盟を傘に、勝手に戦争始めました…
くらいしか、覚えておらん(アハハハハハハ)

しかも、作者の佐藤亜紀さんの書く文章ったら…

オーストリア人の子供が、祖父母からヨーロッパの歴史について聞き
ひょんな興味で、大学で近代ヨーロッパ史を専攻しちゃい
学校卒業後、図書館に勤めながら本書を書き
その本を、日本人が気に入って買い付け翻訳したかのようで…(笑)

作者の佐藤亜紀さんって…日本名だけど、オーストリア人かい?っと思っただ

多分、作者の力量による賜物だと思うのだが、句読点の使い方が絶妙で
主人公の「ジョルジュ」が「感覚」という能力を使うシーンでは
私も一緒になって意識を解放してしまい…軽い眩暈と頭痛がしたほどである(笑)

絶対的に面白い内容なのだが…時代背景に解らん所が多い作品なもんで
100%楽しめたかといえば…ウソになると思う(アハハハハハ)

しかし…作者の佐藤氏は読者に媚びないの~~~
普通は、少し読者のことを考えて、なにげな当時のヨーロッパ史についての
解説なんぞを載せるもんだが…そんな記述は一切ない(笑)



さて、もう一冊のオムニバス「雲雀」
ハッキシ言えば…コチラの方が日本人が書いたらしくって読みやすい(笑)

「雲雀」っといえば…夏目漱石「草枕」の一節を思い出す

※ウィッキペディアより
「あの鳥の鳴く音には瞬時の余裕もない。
のどかな春の日を鳴き尽くし、鳴きあかし、
また鳴き暮らさなければ気が済まんと見える。
その上どこまでも登って行く、いつまでも登って行く。
雲雀はきっと雲の中で死ぬに相違ない。登り詰めた揚句は、流れて雲に入って、
漂うているうちに形は消えてなくなって、
ただ声だけが空の裡に残るのかも知れない。」

本書は「王国」「花嫁」「猟犬」「雲雀」の4部作からなる

なかでも「雲雀」は主人公ジョルジュが尊敬と畏怖を持って接してきた
オーストリア組織の長が亡くなり、
枷が消えた彼の、組織からの足抜けのお話し。

その足抜けの仕方を読んでいて、漱石の「草枕」の一節を思い出した
それほど…「お前は雲雀か?」ってな組織からの抜け方なのだ(笑)

雲雀は天敵が現れると子供を守るために、
空高く舞い上がりピーチクパーチクと叫ぶが…
「お前が叫んでおる真下に、巣があるってバレバレだぞ」っと常日頃思っておった
そんな目立つ足抜けをジョルジュはするのである(笑)

「死んだってイイんだ」っという自暴自棄な思いと
「誰が僕を殺せるって言うんだ」っという高慢ちきなジョルジュの性格が
よく現れているお話しだと思う

最後に、どーしても納得いかないのだが…

「感覚」を持つ人間が本当に居たとして…
それらの人々と接触した普通の人は、正直、もっと怖がるハズである。
そんな人々の出演が少なすぎるのだ

自分の心の中まで見透かされるんだぞ~~。普通はもっと恐れるだろう。
作者が、そんなシーンを書きたくなかったのか…
本書では普通人より、感覚持ちの超人の方が多いもんで(笑)
「お前もかっ!?」っと何度も思った(ハハハハハハハ)

また、「感覚」を持って生まれたゆえの苦悩も数々あるはずである
有頂天になって失敗したり、逆に人の気持ちが読める分、普通に楽しめなかったり
そんなシーンや繊細な部分も一切書かれていないので
それが作者の思惑なのかもしれんが、読者としては、少々疲れた(笑)

ただし、細かい描写が少ない分
何時か誰かが「映画化」しそうだな~とも思った


こんな「人の心が読める人」が、本当にこんなに大勢いたら
戦争なんぞ、起きなかったんとちゃうか?っと、つい…突っ込みたくなった(笑)

時代が変化する波は、それほど大きくって、誰も手が出せないってことかの?

この高慢ちきで自暴自棄なジョルジュの性格なら
自分が焼かれても、大きな時代のウネリに突っかかって行ったんではないかな
っとフっと思った(笑)

だとすると…「天使」よりも…「イカロス」の方にタイトルが傾いてしまうか…

本書は「こどもの時間」のasagiさんに教えてもらいました
面白かったですだ~~。教えてくれて、ありがとうでした~~

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「猫の縁談」 作:出久根 達郎

2009-07-31 | 本の紹介
 中央公論社 文庫

作者の出久根達郎氏は「古本屋さん」である
杉並区で「芳雅堂」っという「古書店」を営んでいる
そのかたわら、作家活動をし
1993年に『佃島ふたり書房』で第108回直木賞を受賞している

出久根氏の実話なのだが…
フラリと「芳雅堂」へ立ち寄ったある男が、ココで自分が探していた古本と出会う
速攻で買いたかったのだが、持ち合わせがなく「この本を買いますから」っと
約束して帰って行くのだが、男は本を買えずに帰郷してしまう
数年後、男が「芳雅堂」へ立ち寄ると…出久根氏はサラリとアノ古本を男に差出し
数年前と同じ値段で男へ渡したのである
そんな「古本屋さん」が書いた小説なので…どのお話しも、どこか温かい

「猫の縁談」

古本屋を営む私の店に、ある日、ヨボヨボの爺さんが現れた
3冊の大層珍しい奇本を持ち込み語るのである。
「この本をウチに居る3匹の猫の持参金としたい」っと…。

つまり、奇本は売るが…猫も一緒に引き取ってくれなければ売らないという。

3匹の猫は雑種。しかも成猫。そして…デブ。

古本屋の主は困った。
自分が3冊買ってもいいが、猫は大家との約束で飼えない。
こういう面倒な話に乗って、良い結果が出たためしがない。
断ろうか?っとも思ったが…猫の将来を心配している爺さんが可哀想になった

そこで古本を収集している常連さん2人に、声をかけた。
皆、奇本に目が眩み、渋々猫を引き取った。

2匹の猫にそれぞれ奇本をつけ、奇本の代金も懐に入った爺さんはホクホク…
っと思いきや…爺さんの元へ残った一匹の猫が家出をした
急に寂しくなった爺さんが「猫を返せ」と言い出す

奇本が目的で、渋々猫を引き取ったはずの常連さん2人。
爺さんの話しに喜ぶかと思いきや…「そりゃ、困る」と言い出した
なぜか…お二人さん。本より猫にメロメロとなってしまっていたのだ(笑)

ちょっと変わった爺さんも、古書店の店主も、常連さんの二人も
いい歳をした男性4人が「古書より猫がイイ」と言い出すのだ
さすが、目が利く4人である
さて、どうなることやらってなお話しである(アハハハハハ)

こんな風に、実話が混じっている?っと思わせるようなお話しが数個載っている
文体も時代背景も少し古いので、慣れていないとスラスラいかないかもしれんが
気がつくと、ドップリ古書店に入り込んでいるようで、少し面白い。

さて、猫話しついでに…

子供の頃、私は「タマ」という猫と暮らしておった
白いメスの雑種猫で、その様子がサザエさんに出演の猫のタマに似ていたので
「なんて名前にする?」っと親に聞かれた瞬間、「タマ」っと名づけた
アノ頃の私は純粋だったな~~
今なら「大福」とか「マシュマロ」とか白い食い物の名前を付けるだろうに。。。

タマはメス猫なもんで、子供な私を自分の子だと思っておった。
半殺しにしたネズミを持ってきては「ほれ、逃げる前に捕まえろ」と言うし
風呂に入っておれば「ソコをもっと洗え」と風呂場に顔を出して叫ぶ
ケガをすれば傷口をなめて心配そうに手当てする
まるで、エライ手のかかる子を持つ母のようであった

最初、猫をもらってきたのは母であった
弟は動くものなら何でも好きだという猿世代だったし
私も母が二人になったようでウザかったが、猫は好きだった
しかし…父と祖母は猫が大の苦手で、どちらかと言えば犬派であった(笑)

先にも述べたように、タマは賢い猫であった
猿な弟には一切目もくれず、猫としてモノになりそうな姉を教育し
飯をくれる母には媚を売っていた

そして自分を明らかに嫌っている父に対しては
廊下ですれ違う時など、先に道を譲ったりしながら可愛らしく笑顔をふりまき
時間をかけながら少しずつ、父との距離を縮めていっておった

絶妙なのは、父の側に近寄っても怒られなくなった頃でも
父の足のつま先にチョンと前足を乗せ
「これだけでも私は幸せなの」的な日陰の女を演じていた姿である

最後には「タマや~」っと猫なで声を出していたのは、父の方であった(笑)

むしろ男な父は簡単に手玉に取れたのかもしれん
苦労していたのは祖母との関係であった

笑顔も媚も日陰の女も効かない祖母には、だいぶ手を焼いていた雰囲気がある
しかし、飯をくれる優しい母と、自分を毛嫌いしていた祖母とが
同時にタマを呼んだ時には、必ず、祖母の方を優先し飛んで行っていた姿には
「嫁姑問題」をシッカリ熟知していた様子が伺える(笑)

そんなタマが、沸かしていた風呂の蓋で寝てしまい、落ちて死んだ時に
全てをキチンと処理したのは、祖母であった。
微妙な距離をお互いに保ってはいたが…
祖母のハートもタマはガッチリ掴んでいたのだろうと思う

猫は、自由奔放そうに見えて、その実、シッカリと現実をみすえ
惜しみない努力を、ソレと解らないようにさりげなく行う

ほんまかいな~っと疑うことなかれ。

猫を一匹飼ってみれば、スグ解る。彼らは癒しの天才である(笑)

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ポチっとで、作者のヤル気でるかもです(笑)

ルパンの消息 横山秀夫

2009-06-11 | 本の紹介


1975年、喜多・竜見・橘の3名は、高校3年生の不良であった(笑)
70年代の不良と言えば…女子はスカートを長く引きずり
男子は長ランにボンタン姿。単車を乗り回し、学校を休んでは
近所にある喫茶「ルパン」に入り浸っていた

出席日数はギリ。学校の成績も悪く、卒業なんぞ夢のまた夢っと思っていた3人に
期末試験の成績が良ければ、卒業させてくれるらしいとのウワサが届く

今更必死に勉強したって間に合うはずもなく、
3人は学校に忍び込み、テスト用紙を盗み出そうと計画をたてる
この計画を練った場所が喫茶「ルパン」であったことから
「ルパン作戦」と命名するのである。

短絡的な発想に安直な名前、いかにも不良高校生っぽい行動ではあるが
計画は綿密で、実に良く出来た作戦に仕上がる

あれから15年…。ある夜、喜多のもとへ警察官がなだれ込んでくる
訳も解らないまま警察へと連れて行かれた喜多に
刑事が15年前に3人が決行した「ルパン作戦」の名を告げるのである

あの「ルパン作戦」が決行された日に、学校では英語教師嶺舞子が自殺していた
自殺と処理されていた事件は、実は他殺であったと匿名で警察にタレコミがあり
時効ギリギリの事件が明るみに出ることとなったのである

タイトルの「ルパンの消息」の「ルパン」が誰であるのかが
この小説の面白さを引き立たせている

「ルパン作戦」決行者の3人か?
警察に15年前の事件を捜査させる力を持った匿名のタレコミ者か?
英語教師をとりまく教師達か?
当時時効を迎えた3億円事件の犯人こそが…ルパンなのか?(笑)

1991年第9回「サントリーミステリー大賞」の佳作となった作品である
もちろん出版にあたり、加筆修正をして発表している

作者の横山秀夫氏は1957年1月17日生まれ
「半落ち」で週刊文春の「傑作ミステリーベスト10」
宝島社の「このミステリーがすごい!」の国内部門の1位に選ばれたが
直木賞の選考委員から「現実にはありえない部分を指摘され」直木賞を落選
以降、直木賞決別宣言をしている

「ルパンの消息」に関しては…確かに甘い所がある(笑)
なんと言ってもデビュー前の作品である
本人もそう思ったからこそ、出版にあたり加筆修正したのだと思う
さぞ、難しい作業であったのではなかろうか?なんぞと思う
が…デビュー前のノビノビとした筆をそのまま残した状態の発表の方が
面白かったかもしれない…とも、チラっと思った(笑)

確かに謎や登場人物を入れすぎてのモタツキも見えるが
何より自由で闊達で面白い
70年代を生きた人間が、当時を生き生きと振り返るシーンは好きだ
私も作者と同年代だからだろうか。当時の世界を思い出し懐かしかった

様々な複線が後で面白さを増してくる
甘いところもなお、魅力に書き換える力をヒシヒシと感じ楽しかった

先に直木賞云々を書いたが…
ミステリー上、たとえありえない設定があったとしても
それを理由に落選させたりする賞は、小説では可笑しいと思う
ノンフィクションを書いているのではない
どこまでも真実に近い事実だけを書いている小説は、つまらん。
まして、それを読み評価している読者の「質」云々まで言うのはいかがなものか

「面白い」から「面白い」っと評価出来なくなったら
小説なんて書くのを辞めればいい
まして人の小説の評価なんぞ出来るはずがない

直木賞候補作『半落ち』の評判
私も酷評した彼女の作品は…申し訳ないが一冊も…
一個のエッセイすら読んだことがない
賞を取ったと聞いても、売れていると聞いても、手に取ったことすらない(笑)
だからどうだと彼女自身を評価出来ないのが残念だ(アハハハハハ)

さて、大きく横道にそれたが…
この横山秀夫氏の「ルパンの消息」は◆小耳書房◆のさくらさんのオススメ

>うおー! 面白いぞ、これ。

の言葉に乗って買っちゃいました~(ハハハハハハハ)
いや、本当に面白かったです
特に3億円事件の犯人と目された人物の再登場。ワクワクしましたがな

1968年12月10日の犯行日。私にとっては思い出深い日なのだ
12月11日は私の誕生日でしてな~(笑)
ところが親の都合で一日早く、ジンギスカンで誕生祝をしてもらったんだが
その日の話題は3億円事件の話で盛り上がり…主役の私はほぼ無視されての
(アハハハハハハハハ)
「キツネ目の男。。。忘れまいぞ!」っと思ったもんどす

それとココに登場する刑事さん達。
ドロ臭くって好きどす~(アハハハハハハ)
こんな男達。最近出会ってない
やっぱ、私は…中年好きなのかもな~~~

70年~80年に青春を迎えていたアナタ。読む価値アリですよん(笑)
それこそ面白いんで…半日で読めます(笑)

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