数年前に知り合いの会社社長が自殺をした
昨日は会社を休んで、そいつの法要へ出かけたてきた
実は私は未だに彼が許せない
小さな会社には彼の母親が経理を勤め
他に従業員が3名いた
私は時々、茶菓子を持って遊びに行っていたので
全員とお友達であった
和気藹々とした良い会社ではあったが
業績はいちぢるしく低下の一途を辿っていた
彼の妻は彼の母親とソリが会わず
家庭内には揉め事が多かった
彼は既に離婚を決意してはいたが、妻は頑なに拒んでいた
元々、子供じみた妻は買い物に走りカードの使用量は何時も満杯であった
二人の息子は一人が大学生、一人が高校生で
この二人が学校を卒業したら…
彼は妻との離婚を本格的に始動しようと思い描いていた
彼には妻とは別に好きな人が居た
蜜月のような甘い生活を片方では送り
地獄のように冷え切った生活を片方で演じ
彼は全てにおいて結論を見出さず流れに身を任せていた
そんな折、彼は交通事故に会い瀕死の重傷を負った
奇跡的に命は助かり、数ヶ月の入院をしたが無事退院できた
だが…五体満足に元気に戻ったのは体だけであった
彼の心は蝕まれ、今考えれば鬱であったのかもしれない
坂道を転がり始めた会社の業績は
社長が長期入院を余儀なくされていた間に
崖っ淵に追い込まれていた
入院期間中は妻が足しげく通ったために
愛人にも、会社経理を預かる母とも会えなかった
とりあえず電話での指示は出したが
彼の心も会社も落ち込む一方であった
この頃に彼は「死神」にとり付かれたのかもしれない
「あの事故で死ねばよかった」
そんな言葉を繰り返すようになってしまった
同情すべき点は数々ある
しかし…流され諦め動かなかったのは彼である
なのに反省し悔恨の気持ちを未だに持っているのは
彼を愛した周りの人々なのである
以前に彼の会社に勤めていたお調子者の男性社員が
「こんな自殺が一番楽なんだ~」っと
どこぞで聞きかじった自殺の仕方を得意げに話していた
彼は…その方法を使って自殺した
お調子者だった男性社員はその事実を知って言葉を失っていた
遺書は彼の周囲の人間一人一人にあったが
どれも美しい思い出ばかりで誰の心の糧ともならなかった
妻を思いはばかったのか…愛人には無かった
会社の借金は全てを合算しチャラに出来たが
財産が残らなかった為に、妻が彼の母に対し不審を抱き裁判を起した
妻の言い分を信じた子供達は祖母である彼の母にイヤガラセを始めた
順当な法的措置により
妻と子供には不動産と保険金が入ったが
彼の母は心と体に大きな痛手を負い、未だに臥せっている
彼の遺言に葬儀も出さず誰にも連絡するなとの一文があったため
いまだ彼の死を知らない友人が大勢いる
死者への弔いと
残された者たちへの心の整理のためにある葬儀が行われなかった為に
残された者たちの心の重しは数年たった今でも癒えない
残された者たちが未だに胸に抱くのは
「何故、気付いてあげられなかったのだろうか?」である
彼は自分が楽になるために死を選らんだ
彼が死を選んだ為に大勢の人が苦しみ悩んでいる
それが彼が望んだ死の形である
自ら命を断つという事はそういう事なのである
誰の手も借りずに生きて行けないのと一緒で
誰の手も借りずに死ねる訳がない
必ず誰かが苦しみ悩み悲しみ迷惑する
今、生きたいと思いながらも不治の病で苦しんでいる人たちに
恥ずかしくないのか!?
彼の会社の女子社員は何ヶ月も泣き続け
私と会った時も泣き続けていた
私は彼の為に一滴も涙を流していない
彼の母の急に小さく老け込んだ背中を見て涙が溢れた
お前はバカだ
彼が自殺した場所に酒を掛けながら、そう思った
昨日は会社を休んで、そいつの法要へ出かけたてきた
実は私は未だに彼が許せない
小さな会社には彼の母親が経理を勤め
他に従業員が3名いた
私は時々、茶菓子を持って遊びに行っていたので
全員とお友達であった
和気藹々とした良い会社ではあったが
業績はいちぢるしく低下の一途を辿っていた
彼の妻は彼の母親とソリが会わず
家庭内には揉め事が多かった
彼は既に離婚を決意してはいたが、妻は頑なに拒んでいた
元々、子供じみた妻は買い物に走りカードの使用量は何時も満杯であった
二人の息子は一人が大学生、一人が高校生で
この二人が学校を卒業したら…
彼は妻との離婚を本格的に始動しようと思い描いていた
彼には妻とは別に好きな人が居た
蜜月のような甘い生活を片方では送り
地獄のように冷え切った生活を片方で演じ
彼は全てにおいて結論を見出さず流れに身を任せていた
そんな折、彼は交通事故に会い瀕死の重傷を負った
奇跡的に命は助かり、数ヶ月の入院をしたが無事退院できた
だが…五体満足に元気に戻ったのは体だけであった
彼の心は蝕まれ、今考えれば鬱であったのかもしれない
坂道を転がり始めた会社の業績は
社長が長期入院を余儀なくされていた間に
崖っ淵に追い込まれていた
入院期間中は妻が足しげく通ったために
愛人にも、会社経理を預かる母とも会えなかった
とりあえず電話での指示は出したが
彼の心も会社も落ち込む一方であった
この頃に彼は「死神」にとり付かれたのかもしれない
「あの事故で死ねばよかった」
そんな言葉を繰り返すようになってしまった
同情すべき点は数々ある
しかし…流され諦め動かなかったのは彼である
なのに反省し悔恨の気持ちを未だに持っているのは
彼を愛した周りの人々なのである
以前に彼の会社に勤めていたお調子者の男性社員が
「こんな自殺が一番楽なんだ~」っと
どこぞで聞きかじった自殺の仕方を得意げに話していた
彼は…その方法を使って自殺した
お調子者だった男性社員はその事実を知って言葉を失っていた
遺書は彼の周囲の人間一人一人にあったが
どれも美しい思い出ばかりで誰の心の糧ともならなかった
妻を思いはばかったのか…愛人には無かった
会社の借金は全てを合算しチャラに出来たが
財産が残らなかった為に、妻が彼の母に対し不審を抱き裁判を起した
妻の言い分を信じた子供達は祖母である彼の母にイヤガラセを始めた
順当な法的措置により
妻と子供には不動産と保険金が入ったが
彼の母は心と体に大きな痛手を負い、未だに臥せっている
彼の遺言に葬儀も出さず誰にも連絡するなとの一文があったため
いまだ彼の死を知らない友人が大勢いる
死者への弔いと
残された者たちへの心の整理のためにある葬儀が行われなかった為に
残された者たちの心の重しは数年たった今でも癒えない
残された者たちが未だに胸に抱くのは
「何故、気付いてあげられなかったのだろうか?」である
彼は自分が楽になるために死を選らんだ
彼が死を選んだ為に大勢の人が苦しみ悩んでいる
それが彼が望んだ死の形である
自ら命を断つという事はそういう事なのである
誰の手も借りずに生きて行けないのと一緒で
誰の手も借りずに死ねる訳がない
必ず誰かが苦しみ悩み悲しみ迷惑する
今、生きたいと思いながらも不治の病で苦しんでいる人たちに
恥ずかしくないのか!?
彼の会社の女子社員は何ヶ月も泣き続け
私と会った時も泣き続けていた
私は彼の為に一滴も涙を流していない
彼の母の急に小さく老け込んだ背中を見て涙が溢れた
お前はバカだ
彼が自殺した場所に酒を掛けながら、そう思った