20分間の記憶喪失 そして壮大な勘違い
アラームで起きたら、14時。
いや、待って。14時って何?
一瞬で血の気が引く。
「やらかした! 無断欠勤! おつかれ!」
いや、諦めるな。
まだ詰んでない。まずは曜日を確認だ。
落ち着いて。
まずは曜日を確認しよう。
月曜日か水曜日なら、完全に詰み。
早朝出勤という義務が課せられている。
…しかし。
「曜日が、わからない」
なんなら、今日が何日なのかもわからない。
でも、何故か自分が誰なのかは知っている。
そこだけは不思議な自信。
「私は、たぶん…、私だ」
おふとぅんの上で、リスみたいにフリーズすること約20分。
恐怖はじわじわと膨らみ、ついにこの日が来たかと悟り始める。
脳の終わりの始まり。
でも、ふと頭の片隅から、ポロリと記憶が滑り出す。
「…アリオに行った気がする?
それは、昨日のことのよう」
その瞬間、まるで映画の回想シーンみたいに、
昨日の記憶が芋づる式に蘇る。
わかったぞ、今日は、
「月曜日だ!」
つまり。
「詰んだ!!」
いやああああああ!!(脳内エコー)
しかし、さらにもうひとつ記憶が復活。
「桜ラテと梅干しおにぎり(廃棄)食べた気がする」
そこから芋づるの第二波。
早朝出勤 → 仕事してた(!?)
廃棄パンをゲット → 帰宅してる(!?)
廃棄パン食べて強制終了 → 今ココ(!?)
私、普通に生きてた!
謎はすべて解けた。
ただの寝ぼけだったんだよ!
…でも、ここで新たなクエストが発動。
そもそも、なんで14時にアラーム?
記憶をさらに掘り起こして、
結論にたどりつく。
「歯医者だった」
予約5分前に家を飛び出して、全力疾走する私。
記憶が飛んだだけで、全部普通の出来事だった。
壮大な勘違い、ここに完結。