炎柱 レジ前で全集中
【煉獄さん、コンビニに舞い降りる】
先日、とんでもないお客様がご来店された。
軽快な入店音と共に現れたのは——
炎のように赤く染まる髪の先端。
かき上げられた前髪。
がっしりとした体格。
(しかし、何故か眼だけは死んでいる)
「煉獄さん!!」(※心の叫び)
……いや、違う。本人ではない。
しかし、どう見ても煉獄杏寿郎。
コスプレなのか?
それともナチュラル煉獄なのか?
もういっそ、どっちでもいい。
問題は、私の精神状態だ。
いまだかつて、
これほどまでの危機を迎えた事はない。
こみあげる笑いが、尋常じゃなかった。
耐えるのに、精神崩壊寸前だ。
マスクにこんなに感謝した事もなかった。
実際、マスク越しでも、
顔面崩壊しているのがバレる程の状態に追いこまれていた。
それでも声が漏れそうになるのを必死でこらえ、
肩がブルブル震えてしまう。
「ダメだ…彼と眼を合わせたら終わる…!」
しかし、こういう時に限って、脳内はフルスロットル。
いらん記憶を再生しはじめる。
「お前も鬼にならないか?」
猗窩座ァァァァァ!!
やめろォォォォ!!
思わず喉から変な音が漏れた。
「んんんっ!!」
咳払いで誤魔化しながら、全身をプルプルさせて耐える。
心を燃やせ。笑いに負けるな。
哀しいことを考えよう。
そうだ、フランダースの犬だ。
アロアの魂の叫びを思い出せ…!
…が、しかし。
それをかき消すように、
猗窩座が吠えた。
「至高の領域に近い!!」
——もうダメかも知れない。
そして、震えながら、
どうにかレジ対応を終えた。
煉獄さん(仮)は颯爽と去っていった。
だが、
笑いの余波はすぐには収まらない。
腹を抱えて悶絶する私。
「パトラッシュ…助けて…僕はもう疲れた…」
【救世主、ちいかわ】
そんな笑いの業火を鎮めたのは——
ちいかわ。
痙攣がおさまらない腹を抱えて、
商品を並べていたら、
ふと眼に入ったのは
ロッテとちいかわのコラボ情報。
「対象商品を買うと
マルチケースがもらえる!」
小さなマルチケース。
ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、
モモンガ、くりまんじゅうパイセン。
わあ…、全部欲しい…。
私の心は、
一瞬でちいかわに持っていかれた。
——煉獄さん、消滅。
まさか、煉獄さんすらも
ちいかわに負ける日が来るとは思うまいよ。
だが、しかしだ。
あの衝撃の邂逅から数日が経っても、
その打撃から立ち直っていない自分に気づいてしまった。
次に、煉獄さん(仮)が、再来店したら、確実に終わる。
【煉獄さん、コンビニに舞い降りる】
先日、とんでもないお客様がご来店された。
軽快な入店音と共に現れたのは——
炎のように赤く染まる髪の先端。
かき上げられた前髪。
がっしりとした体格。
(しかし、何故か眼だけは死んでいる)
「煉獄さん!!」(※心の叫び)
……いや、違う。本人ではない。
しかし、どう見ても煉獄杏寿郎。
コスプレなのか?
それともナチュラル煉獄なのか?
もういっそ、どっちでもいい。
問題は、私の精神状態だ。
いまだかつて、
これほどまでの危機を迎えた事はない。
こみあげる笑いが、尋常じゃなかった。
耐えるのに、精神崩壊寸前だ。
マスクにこんなに感謝した事もなかった。
実際、マスク越しでも、
顔面崩壊しているのがバレる程の状態に追いこまれていた。
それでも声が漏れそうになるのを必死でこらえ、
肩がブルブル震えてしまう。
「ダメだ…彼と眼を合わせたら終わる…!」
しかし、こういう時に限って、脳内はフルスロットル。
いらん記憶を再生しはじめる。
「お前も鬼にならないか?」
猗窩座ァァァァァ!!
やめろォォォォ!!
思わず喉から変な音が漏れた。
「んんんっ!!」
咳払いで誤魔化しながら、全身をプルプルさせて耐える。
心を燃やせ。笑いに負けるな。
哀しいことを考えよう。
そうだ、フランダースの犬だ。
アロアの魂の叫びを思い出せ…!
…が、しかし。
それをかき消すように、
猗窩座が吠えた。
「至高の領域に近い!!」
——もうダメかも知れない。
そして、震えながら、
どうにかレジ対応を終えた。
煉獄さん(仮)は颯爽と去っていった。
だが、
笑いの余波はすぐには収まらない。
腹を抱えて悶絶する私。
「パトラッシュ…助けて…僕はもう疲れた…」
【救世主、ちいかわ】
そんな笑いの業火を鎮めたのは——
ちいかわ。
痙攣がおさまらない腹を抱えて、
商品を並べていたら、
ふと眼に入ったのは
ロッテとちいかわのコラボ情報。
「対象商品を買うと
マルチケースがもらえる!」
小さなマルチケース。
ちいかわ、ハチワレ、うさぎ、
モモンガ、くりまんじゅうパイセン。
わあ…、全部欲しい…。
私の心は、
一瞬でちいかわに持っていかれた。
——煉獄さん、消滅。
まさか、煉獄さんすらも
ちいかわに負ける日が来るとは思うまいよ。
だが、しかしだ。
あの衝撃の邂逅から数日が経っても、
その打撃から立ち直っていない自分に気づいてしまった。
次に、煉獄さん(仮)が、再来店したら、確実に終わる。