あなたの体は9割が細菌
:微生物の生態系が崩れ始めた
(アランナ・コリン著 矢野真千子訳 河出書房新社 2016)
原題は“10% Human”。
類書はいろいろあるようですが、いまだに生物は動物と植物に分類されると飲み込んでいる身には、大変勉強になりました。
パンダが竹ばかり食べるのが不思議でした。
特別な消化酵素があるのではなく、腸内細菌が消化し、栄養を吸収できるようにしているのだそうです。
ダーウィンはヒトにとって盲腸や虫垂は不要になったと言い、われわれは今まで信じてきましたが、本当は腸内細菌のための重要な部位だそうです。
ヒトゲノムが解読されて分かったことは、ヒトの遺伝子数が21,000個で、線虫とほぼ同じだということ。
複雑で高度の機能を持つヒトの遺伝子が、こんなに少なくて済んでいるのは100兆個のマイクロバイオータと呼ばれる微生物たちと共存共栄しているから。
それらの遺伝子を合算すると440万個になる。これがマイクロバイオータのゲノム集合体で、マイクロバイオームと呼ばれる。
タンパク質は遺伝子の組合せで決まるから、その複雑さは更に膨大な数になる。
19世紀から20世紀にかけての医療と公衆衛生の目覚ましい進歩によって多くの病気が撲滅されたが、共生微生物に対する配慮は欠けていた。
抗生物質の微生物に対する無差別攻撃は、新たに多くの胃腸疾患、アレルギー、自己免疫疾患、肥満を引き起こした。
不安症、うつ病、強迫神経症、自閉症など、現代になって注目されるようになった心の病気の増加にも微生物環境の変化が影響しているらしい。
マイクロバイオータは、指紋のように個人毎に異なる。
どの微生物が良い悪いというのではなく、マイクロバイオータの多様性が損なわれることが問題。
副題の生態系の崩れとは、抗生物質の開発と普及で腸のマイクロバイオータが乱れ、宿主と腸内微生物との共生関係が破壊されているということ。
我々の平均寿命が延びているのは、そうした状況のもとでこそ可能になってきた、と。
道理で80歳の坂が今までになく難儀だと納得。
:微生物の生態系が崩れ始めた
(アランナ・コリン著 矢野真千子訳 河出書房新社 2016)
原題は“10% Human”。
類書はいろいろあるようですが、いまだに生物は動物と植物に分類されると飲み込んでいる身には、大変勉強になりました。
パンダが竹ばかり食べるのが不思議でした。
特別な消化酵素があるのではなく、腸内細菌が消化し、栄養を吸収できるようにしているのだそうです。
ダーウィンはヒトにとって盲腸や虫垂は不要になったと言い、われわれは今まで信じてきましたが、本当は腸内細菌のための重要な部位だそうです。
ヒトゲノムが解読されて分かったことは、ヒトの遺伝子数が21,000個で、線虫とほぼ同じだということ。
複雑で高度の機能を持つヒトの遺伝子が、こんなに少なくて済んでいるのは100兆個のマイクロバイオータと呼ばれる微生物たちと共存共栄しているから。
それらの遺伝子を合算すると440万個になる。これがマイクロバイオータのゲノム集合体で、マイクロバイオームと呼ばれる。
タンパク質は遺伝子の組合せで決まるから、その複雑さは更に膨大な数になる。
19世紀から20世紀にかけての医療と公衆衛生の目覚ましい進歩によって多くの病気が撲滅されたが、共生微生物に対する配慮は欠けていた。
抗生物質の微生物に対する無差別攻撃は、新たに多くの胃腸疾患、アレルギー、自己免疫疾患、肥満を引き起こした。
不安症、うつ病、強迫神経症、自閉症など、現代になって注目されるようになった心の病気の増加にも微生物環境の変化が影響しているらしい。
マイクロバイオータは、指紋のように個人毎に異なる。
どの微生物が良い悪いというのではなく、マイクロバイオータの多様性が損なわれることが問題。
副題の生態系の崩れとは、抗生物質の開発と普及で腸のマイクロバイオータが乱れ、宿主と腸内微生物との共生関係が破壊されているということ。
我々の平均寿命が延びているのは、そうした状況のもとでこそ可能になってきた、と。
道理で80歳の坂が今までになく難儀だと納得。