プリメイラ Honolulu

袰岩奈々のホノルル・カフェぶらぶら日記。
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東畑開人著「野の医者は笑う 心の治療とは何か?」読みました

2018-11-24 15:38:55 | 読んだ本
私のカウンセラー人生は実践から始まった。
たまたま連れて行かれた保健管理センターの
カウンセラーにリクルートされ、
不登校の子どもたちの訪問相談に携わった。
自分にも不登校傾向があったせいか、
思春期的な心理的距離が好みだったせいか、
実験室で試験管を振っているよりも、
ずっと、ずっと心惹かれ、あっさり鞍替えした。

師匠は公衆衛生学の出身だったので、
臨床心理学とは一筋か二筋違う流れの中にいた。
出来立ての保健管理センターで、
学生の心の健康促進なるものは、
どうしたらできるのかとあれこれ試している時期で、
エンカウンターグループを企画したり、
サイコドラマのグループに参加したり、
「自己理解・他者理解」のワークショップに励んだ。
そして、視点としては
「地域社会全体の中での心理的健康」
とでも言ったものだった。

その後、出会った夫は
たまたま臨床心理バリバリの
living dictionaryな人なので、
疑問と時のトピック、理論部分の補強は
もっぱら夫から仕入れさせてもらうという
幸運なカウンセラー人生を送っている。
「無いと仕事ができなくなったら取ろう」と思っていた資格も、
資格ができる前に仕事が始まり、臨床心理士は取らないまま。

それで、仕事に差支えることもなく、
大学での学生相談室の立ち上げにかかわったり、
メンタルヘルスカウンセラーとして仕事をしたりしてきた。
今のところ、文句も言われず、現在に至っている。

ただ、ハワイでの実践については、
あくまでも「カレッジ・ライフ・カウンセラー」であり、
サイコロジストでも、心理セラピストでも、カウンセラーでもない。
アカデミックな世界からはすでに7年離れており、
心苦しいばかりだ。
かなり野生化している。

ハワイは著者がフィールドワークした、
沖縄での状況とかなり似ているように思う。
マッサージセラピストさんたちの心理的サポート力が半端ない。
ほかにもスピリチュアルを前面に押し出しているセッションはいろいろあるし、
ヨガや瞑想、エネルギーワークなどが周り中に溢れている。
NLPやコーチング、潜在意識にアプローチするものなどにも、
日米両語で簡単にアクセスできる。

ただ、日本語でカウンセリングのできる
資格を持っているカウンセラーはハワイにほとんどいない。
日本語母語でハワイでカウンセラーの資格を取り、
開業することはかなりハードルが高いのだ。

そういうこともあるのか、
日本語での相談は「野の医者」ということになる。
日本から「野の医者」を訪れる人も多い。

この本は「野の医者」という視点で現在の私の
立ち位置をわかりやすくしてくれたように思う。
さて、私はどこへ行こうか。
果たしてそれは「野」なのだろうか、
あるいは「野」じゃないとしたらどこなのか。
不惑はとうに越しているというのに、
還暦で初めに戻るということなのかな。
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