算額(その1652)
福島県福島市黒岩 万願寺虚空蔵堂 明治26年(1893)
五輪教一:黄金比の眠るほこら,日本評論社,2015年7月10日
キーワード:円1個,正方形,折り紙
#Julia, #SymPy, #算額, #和算
図のように折り紙を折って鈎股(直角三角形を作)る。鈎が与えられたとき,円の直径を求める術を述べよ。
「鈎股」は大小 3 個あるが,ここで言うのは上方にある小さな直角三角形である。
円の半径を r,正方形の一辺の長さを a とする。
左側の図において,BO を谷折りとして D を F に重ね,CO を谷折りとして E を F に重ねることができる。三角形 ABC の三辺(鈎,股,弦)の和は,
(AB + BF) + (AC + CF) = (AB + BD) + (AC + CE) = 2a
である。
また,右側の図において,AB = r + x, AC = r + y, BC = x + y で,
AB + AC + BC = 2r + 2x + 2y = 2a
x + y + r = a …… (1)
また,
BG = x + y + z = a …… (2)
(1),(2) より,CG = z = r である。
錯視効果で r = z とはちょっと見えないが,事実である。
術は「鈎を二倍すれば円の直径になる」である。この図の場合には z は直角三角形の「股」に当たるが意図するところは同じである。