今日は、外房線の浪花から出発するんだよ。小さな駅だね。
(浪花→丸山林道→花里)
さて、天気はいいし、体調もいい。出発するときはいつもそうだけど、最初のペダルひと踏みがとても軽い。この瞬間がたまらない。
今日はどんな旅になるだろう。ワクワクした気持ちもあるが、不安もある。これもいつもと同じだ。
気持ちいい走りだしだが何か変だよ。踏切を渡って宝性寺という寺の前まで来たときに気がついたんだ。前後のブレーキワイヤーを左右逆のレバーにつないでいたんだよ。
いい風景だね。鶯が遠くでも近くでも鳴いている。カエルも鳴いている。鶯とカエルの声以外には何も聞こえないよ。
きれいな杉だ。
いい道だね。林道と変わらないよ。山の空気はおいしいね。
おや、トンネルだ。今日最初のトンネルだよ。房総は雰囲気のあるトンネルが多いね。これは短いトンネルだけど、苔むし加減がなかなかいい。小沢谷隧道と書いてあるよ。
トンネルを出て左へ行く。まるで林道のような静かな道を少し行くといきなり水のある風景に出会ったよ。いいねえ。
ここは上布施という辺りかね。広々とした田園風景だ。
さあ、ここから丸山林道だよ。どんな林道だろうね。これから山の中へ入って行くという感じがとても好きだ。
ちょっと雲が出てきたよ。
丸山林道は一カ所急な上りがあったけれど、淡々と山の中を進むなんとなく淋しい道だ。静かなだけであまり特徴はないが、こんな林道もけっこういいもんだよ。
…ただ、林道に入ってしばらくは、木々の間に投げ込まれたむき出しのゴミやゴミ袋がちょっと気になったよ。林道が汚されるのは嫌だね。
林道を抜けると広い道に出たよ。県道の標示もないから一般の市道だろうかね。きれいな道だよ。全く車に出会わないのは平日だからかね。車に気をつかわずに走れるのは最高だよ。
この先のT字路は県道174号だ。国道297号の方へ向かって右の方へ行くよ。
上り坂のピークにトンネルが見えてきた。長沢隧道と書いてある。ここから、いすみ市から勝浦市に変わるんだね。
ところで、みみ爺はトンネルが現れてくるとなんとなく胸がざわざわしてくるんだ。古く、暗く長い隧道だとなおさらだよ。それはたぶん恐怖心からだろうが、それだけじゃないような気がするんだ。
トンネルに入るときに、なんだか心のどこかでちょっとした寂しさを感じるんだよ。そして暗い中から前方に明るい出口が見えてくるとホッとすると同時にワクワクしてくる。そこまで走ってきた道や風景と別れ、その先でまた別の新しい道や風景と出会う。そんな小さな別れや出会いが、暗いトンネルへの不安と共に、自分で気づかぬうちに寂しさや期待を生むからかもしれない。…こんなややっこしいことを考えるのはみみ爺だけだろうかね。
長沢隧道を出てからの風景だよ。
ここを左へ行くよ。
この辺りが花里というところらしいね。でも今は花が見当たらないよ。田んぼにはカエルの声がしきりだ。カエルも頑張っているんだね。はて、何を頑張っているのかね。
そろそろ田植えの時期が近い。田を起こす耕運機のエンジン音が聞こえるよ。
(花里→勝浦宇宙通信所→国道297号杉戸)
まるで林道のような雰囲気の道だね。
ここを右へ上って行くと勝浦宇宙通信所というJAXAの施設があるらしいね。人工衛星の追跡と管制を行っているそうだよ。
道を下って行くと白井久保の集落に出た。もうすぐ5月だ。青い空にこいのぼりはいいもんだね。
さあ、ここから3キロほどは国道を走るんだよ。国道297号だ。多くはないが車が疾走していくよ。みみ爺も下り坂を疾走していく。いい気持だあ。
国道からの里山の眺めもそんなに悪くはない。
国道沿いを流れる夷隅川の流れだ。
同じ場所からの遠くの景色だよ。絶景というのではないかもしれないけれど、こんな景色もいいもんだ。
ここが国道から杉戸林道の方へ向かう道の入口だ。何もなくてただ広いからよけい淋しく感じるね。
(国道297号杉戸→杉戸林道→県道177号杉戸林道出口)
杉戸林道は広域基幹林道筒森線というんだね。房総では一番距離の長いダートの林道ということらしいよ。ランドナーで無事に走り切ることができるだろうか。それよりも何よりもゲートを入れるかどうかが心配だよ。
さあ、いきなりダートの始まりだ。
杉林の下に流れる水が見える。この先の井堰上ダムからの川だろう。山で見る水の流れは素敵だよ。
井堰上ダムのダム湖だ。静かだね。
さあ、上って行くぞ。上り基調のダートの林道だ。
鎖のゲートが現れた。ちょっとビビるが、ここは自己責任ということで入らせてもらうことにしたよ。
さらに行くと今度は強固な鉄のゲートに行く手を阻まれた。しかし自転車だから横からなんとか入ることが出る。すみません。生い先短い年寄りです、どうか入ることを許して下さい。なんて言ったら許してもらえるだろかね。やっぱりだめかね。
入り口のゲートは入ることができたけれど、それにしても出口の方は出られるだろうか。ちょっと心配だね。
鉄のゲートを過ぎて間もなく、ダートの道がいきなりまだ新しいコンクリート舗装の道になったよ。走りやすいが結構きつい勾配の上りだよ。
15分ほど上って来たところから本格的なダートに変わった。
崩落現場だね。林道ではよく見かける光景だよ。
たまにこんな景色が現れるとホッとするよ。房総の山々はいいなあ。優しい起伏の山並みだね。
このような動物を捕える罠がところどころにあったよ。幸い罠にかかった動物の哀れな姿は目にしなくて済んだ。
ぬかるみや水たまりの連続だ。おまけに急な上り勾配で後輪が空転することしばしばだよ。
静かな眺めだろ。だいぶ上の方まで来たね。山深い感じがするよ。車やバイクも通らない。この静かさとこの景色を味わえるなんて贅沢そのものだね。
ぬかるみを避けようとあまり端を走り過ぎると転落するよ。気を付けよう。ガードレールなんてないからね。
いったいどの辺まで来たんだろう。たまに乾いた路面になると嬉しいね。
少し下ったところで、ふたたび鎖のゲートが現れたよ。さっき入口のところで鎖をくぐるときに、トップチューブに傷を付けてしまったんだ。今度は慎重にくぐろう。
鎖のゲートをくぐり、ガラガラのダート道を上って行くとまた崩落現場だ。おやおや。
この辺りは野々塚いう山の近くだろうか。さらに上って行くと突然いい景色が現れたよ。
道は下り始めたよ。そろそろ出口が近いのかね。ほっとすると同時にとても名残惜しい気持がしてきたよ。
と、ダンプカーが前方でエンジンをかけたまま止まっていたよ。無許可で林道に入っているので何か言われやしないだろうかとちょっと心配になったが、すれ違う時に向こうからさきに会釈してくれたんだ。実は、ダンプカーはこちらが通り過ぎるのを止まって待っていてくれたみたいなんだよ。ああよかったよ。
出口のゲートだ。あ~あ、とうとう終点だよ。ゲートの向こうには県道が見える。…しかし、出られるだろうかね。しっかりと南京錠がかかっているし、ゲートの右にも左にも隙間が無いよ。さあ、どうしよう。
右手の看板が山側に倒れかかっていた。それをまっすぐに起こしてみたら、山の斜面とゲートの鉄柱の間にわずかな隙間ができたよ。自転車を少し持ち上げてその隙間から半分押し出し、次にゲートの外へ回って引っ張り出した。うまくいったね。(…格子の隙間はかなり広い。無理をしなくてもハンドルをはずし、フロントバッグなどの荷物をおろせば自転車なら通すことができそうだよ、たぶんね)
ゲートを出たところでお昼にしたんだ。
いつものようにあんぱんもあるよ。今日のはとくにおいしかったね。千葉駅の構内で買ったんだ。
入口のゲートを入ってからここまで、2時間15分かかったよ。距離は10キロほどだったけれど、上り勾配の荒れたダートだったからね。もし上りがいやだったらこちらから入るといいよ。
ひと月前に走った高宕林道も倒木や落石でかなり荒れていたけれど、この杉戸林道は雨が降った後なのかぬかるみと水たまりの連続だったよ。しかもほとんど石ころ道でガタガタに荒れていた。ロードバイクではちょっと無理かもしれないね。
ゲートの脇にこんな標示もしてあったよ。自転車でよかった。…ほんとはよくないんだけどね。
(県道177号→平沢ダム→川畑隧道→いすみ鉄道総元)
さあ、ここから県道177号線だ。広くて走りやすそうだね。房総の道はどこも本当に静かだよ。
ここはちょっと狭くなってるね。下り坂を気持ちよく走って行くよ。
平沢入り口というところを右へ。
そして少し上ってまた下る。
道が左へ曲って行くすぐのところに、右へ入って行く細い道があるんだよ。竹仙郷という⇒看板が目印だ。
林道のような細い道だよ。竹林に囲まれて薄暗く、ちょっと怖いね。
恐ろしげな暗いトンネルが見えてきたよ。中は大丈夫かね。
真っ暗だが、中は思ったよりきれいだったよ。
トンネルを出て下って行くと、道が分かれる。右は竹仙郷、左は平沢ダムだ。
満開の八重桜の下を平沢ダムへ向かうよ。
平沢ダムのダム湖だ。湖面から立ち枯れた木の梢が突き出ている。淋しい眺めだね。
なんと静かなダム湖だろう。まだ新しいダムらしいね。ボートも浮かんでないし、人もいない。いつまでも眺めていたいね。心がしんとしてくる風景だね。
平沢ダムを離れ、こんなきれいな景色が。
ここは右へ行くよ。
来る前にグーグル地図や航空写真で調べたけれど、この先2つのトンネルが通れるのかどうかいまいちよくわからなくて心配だったんだ。グーグル航空写真で見ると、この先の道が山の壁に突き当たって途絶えているように見えたんだよ。とりあえず行ってみて、ダメなら戻ってこようかね。
きれいな道を上って行くと、ほどなく前方にコンクリートの白いトンネルの入口が見えてきたよ。おや、どうやら通れそうだね。
まだ新しいトンネルのようだよ。橋沢トンネルと書いてある。タケノコのレリーフが可愛いね。
トンネルの出口だ。
無事にトンネルを通ることができてよかった。静か山なの中をさらに進んでいくよ。きれいな道だね。
間もなく2つ目のトンネルだよ。こちらもまだ新しいみたいだ。レリーフはリンドウだね。いぬいしトンネルと書いてあるよ。
そして出口だ。トンネルの中から出口の外の風景を見るのはとても好きだよ。
あとで調べたんだが、この二つのトンネルのうち一つ目の橋沢トンネルが平成12年9月、2つ目のいぬいしトンネルが平成18年1月に竣工したということだ。ここを通る道は、平成22年頃全体が完成する予定の基幹農道の一部だよ。つまり農道のトンネルだったんだね。ちなみに、いぬいしトンネルの出口側のレリーフはヤマユリだそうだよ。それと、トンネルのあるいぬいし山の頂上には犬の形をした岩があるらしいよ。
いぬいしトンネルを出て間もなく、一番気になっていた川畑隧道へ向かう道の入口に着いたよ。ここへ来るまでは、まず絶対に通れないだろうと思っていたんだけど、通行止めの標示も何もない。とりあえず隧道の入口まで行ってみよう。
急勾配を上って行くと、落石注意の標示板の先に目指す隧道の入口が見えたよ。どうやら、ここも通れそうだね。よかった。
すごい隧道だな、これは。素掘りで暗く、しかも長い。
途中内部が崩れて、大小の石が転がっているところもあった。自転車を止めて中の様子を撮影しようかと思ったけれど、止まった瞬間にダイナモライトが消えて真っ暗闇に包まれてしまったんだ。自分の手の指先さえ見えない。それで怖くなって写真は撮らずにすぐに走りだしたよ。
出口はこんな具合だった。倒木などはかたずけられていて、崩落もなく意外にきれいだったよ。
とにかく無事に隧道を通りぬけることができてよかったよ。この後、総元駅の近くで聞いたんだけれど、この川畑隧道はよく崩れて通行止めになることがしばしばだそうだ。今日通り抜けられたことはラッキーだったんだね。
それにしても、なかなかお目にかかれないすごい隧道だったよ。
隧道を出た後は下りだ。苔の生えているところがあったり、小枝や落葉も散らばっていたが、自転車で通れないような障害物はなかったよ。
不動橋だ。この橋を渡ると総元駅は近い。いよいよ旅も終りだよ。楽しかったね。
橋の上から不動滝が眺められたよ。落差は小さいが、幅があり水量も多いね。つい見逃してしまいそうな目立たない滝だったけれど、思いがけず目にしたことで旅の終わりにちょっとだけ得をした気分だよ。
いすみ鉄道の踏切だ。左手に総元駅が見えるよ。
総元駅だよ。誰もいない淋しい駅だね。駅舎の横は公民館になっている。
ホームからの景色だよ。
…大きな桜の木の根元に座っていた。
やっと電車が来たよ。この雰囲気が大好きだ。
(浪花→丸山林道→花里)
さて、天気はいいし、体調もいい。出発するときはいつもそうだけど、最初のペダルひと踏みがとても軽い。この瞬間がたまらない。
今日はどんな旅になるだろう。ワクワクした気持ちもあるが、不安もある。これもいつもと同じだ。
気持ちいい走りだしだが何か変だよ。踏切を渡って宝性寺という寺の前まで来たときに気がついたんだ。前後のブレーキワイヤーを左右逆のレバーにつないでいたんだよ。
いい風景だね。鶯が遠くでも近くでも鳴いている。カエルも鳴いている。鶯とカエルの声以外には何も聞こえないよ。
きれいな杉だ。
いい道だね。林道と変わらないよ。山の空気はおいしいね。
おや、トンネルだ。今日最初のトンネルだよ。房総は雰囲気のあるトンネルが多いね。これは短いトンネルだけど、苔むし加減がなかなかいい。小沢谷隧道と書いてあるよ。
トンネルを出て左へ行く。まるで林道のような静かな道を少し行くといきなり水のある風景に出会ったよ。いいねえ。
ここは上布施という辺りかね。広々とした田園風景だ。
さあ、ここから丸山林道だよ。どんな林道だろうね。これから山の中へ入って行くという感じがとても好きだ。
ちょっと雲が出てきたよ。
丸山林道は一カ所急な上りがあったけれど、淡々と山の中を進むなんとなく淋しい道だ。静かなだけであまり特徴はないが、こんな林道もけっこういいもんだよ。
…ただ、林道に入ってしばらくは、木々の間に投げ込まれたむき出しのゴミやゴミ袋がちょっと気になったよ。林道が汚されるのは嫌だね。
林道を抜けると広い道に出たよ。県道の標示もないから一般の市道だろうかね。きれいな道だよ。全く車に出会わないのは平日だからかね。車に気をつかわずに走れるのは最高だよ。
この先のT字路は県道174号だ。国道297号の方へ向かって右の方へ行くよ。
上り坂のピークにトンネルが見えてきた。長沢隧道と書いてある。ここから、いすみ市から勝浦市に変わるんだね。
ところで、みみ爺はトンネルが現れてくるとなんとなく胸がざわざわしてくるんだ。古く、暗く長い隧道だとなおさらだよ。それはたぶん恐怖心からだろうが、それだけじゃないような気がするんだ。
トンネルに入るときに、なんだか心のどこかでちょっとした寂しさを感じるんだよ。そして暗い中から前方に明るい出口が見えてくるとホッとすると同時にワクワクしてくる。そこまで走ってきた道や風景と別れ、その先でまた別の新しい道や風景と出会う。そんな小さな別れや出会いが、暗いトンネルへの不安と共に、自分で気づかぬうちに寂しさや期待を生むからかもしれない。…こんなややっこしいことを考えるのはみみ爺だけだろうかね。
長沢隧道を出てからの風景だよ。
ここを左へ行くよ。
この辺りが花里というところらしいね。でも今は花が見当たらないよ。田んぼにはカエルの声がしきりだ。カエルも頑張っているんだね。はて、何を頑張っているのかね。
そろそろ田植えの時期が近い。田を起こす耕運機のエンジン音が聞こえるよ。
(花里→勝浦宇宙通信所→国道297号杉戸)
まるで林道のような雰囲気の道だね。
ここを右へ上って行くと勝浦宇宙通信所というJAXAの施設があるらしいね。人工衛星の追跡と管制を行っているそうだよ。
道を下って行くと白井久保の集落に出た。もうすぐ5月だ。青い空にこいのぼりはいいもんだね。
さあ、ここから3キロほどは国道を走るんだよ。国道297号だ。多くはないが車が疾走していくよ。みみ爺も下り坂を疾走していく。いい気持だあ。
国道からの里山の眺めもそんなに悪くはない。
国道沿いを流れる夷隅川の流れだ。
同じ場所からの遠くの景色だよ。絶景というのではないかもしれないけれど、こんな景色もいいもんだ。
ここが国道から杉戸林道の方へ向かう道の入口だ。何もなくてただ広いからよけい淋しく感じるね。
(国道297号杉戸→杉戸林道→県道177号杉戸林道出口)
杉戸林道は広域基幹林道筒森線というんだね。房総では一番距離の長いダートの林道ということらしいよ。ランドナーで無事に走り切ることができるだろうか。それよりも何よりもゲートを入れるかどうかが心配だよ。
さあ、いきなりダートの始まりだ。
杉林の下に流れる水が見える。この先の井堰上ダムからの川だろう。山で見る水の流れは素敵だよ。
井堰上ダムのダム湖だ。静かだね。
さあ、上って行くぞ。上り基調のダートの林道だ。
鎖のゲートが現れた。ちょっとビビるが、ここは自己責任ということで入らせてもらうことにしたよ。
さらに行くと今度は強固な鉄のゲートに行く手を阻まれた。しかし自転車だから横からなんとか入ることが出る。すみません。生い先短い年寄りです、どうか入ることを許して下さい。なんて言ったら許してもらえるだろかね。やっぱりだめかね。
入り口のゲートは入ることができたけれど、それにしても出口の方は出られるだろうか。ちょっと心配だね。
鉄のゲートを過ぎて間もなく、ダートの道がいきなりまだ新しいコンクリート舗装の道になったよ。走りやすいが結構きつい勾配の上りだよ。
15分ほど上って来たところから本格的なダートに変わった。
崩落現場だね。林道ではよく見かける光景だよ。
たまにこんな景色が現れるとホッとするよ。房総の山々はいいなあ。優しい起伏の山並みだね。
このような動物を捕える罠がところどころにあったよ。幸い罠にかかった動物の哀れな姿は目にしなくて済んだ。
ぬかるみや水たまりの連続だ。おまけに急な上り勾配で後輪が空転することしばしばだよ。
静かな眺めだろ。だいぶ上の方まで来たね。山深い感じがするよ。車やバイクも通らない。この静かさとこの景色を味わえるなんて贅沢そのものだね。
ぬかるみを避けようとあまり端を走り過ぎると転落するよ。気を付けよう。ガードレールなんてないからね。
いったいどの辺まで来たんだろう。たまに乾いた路面になると嬉しいね。
少し下ったところで、ふたたび鎖のゲートが現れたよ。さっき入口のところで鎖をくぐるときに、トップチューブに傷を付けてしまったんだ。今度は慎重にくぐろう。
鎖のゲートをくぐり、ガラガラのダート道を上って行くとまた崩落現場だ。おやおや。
この辺りは野々塚いう山の近くだろうか。さらに上って行くと突然いい景色が現れたよ。
道は下り始めたよ。そろそろ出口が近いのかね。ほっとすると同時にとても名残惜しい気持がしてきたよ。
と、ダンプカーが前方でエンジンをかけたまま止まっていたよ。無許可で林道に入っているので何か言われやしないだろうかとちょっと心配になったが、すれ違う時に向こうからさきに会釈してくれたんだ。実は、ダンプカーはこちらが通り過ぎるのを止まって待っていてくれたみたいなんだよ。ああよかったよ。
出口のゲートだ。あ~あ、とうとう終点だよ。ゲートの向こうには県道が見える。…しかし、出られるだろうかね。しっかりと南京錠がかかっているし、ゲートの右にも左にも隙間が無いよ。さあ、どうしよう。
右手の看板が山側に倒れかかっていた。それをまっすぐに起こしてみたら、山の斜面とゲートの鉄柱の間にわずかな隙間ができたよ。自転車を少し持ち上げてその隙間から半分押し出し、次にゲートの外へ回って引っ張り出した。うまくいったね。(…格子の隙間はかなり広い。無理をしなくてもハンドルをはずし、フロントバッグなどの荷物をおろせば自転車なら通すことができそうだよ、たぶんね)
ゲートを出たところでお昼にしたんだ。
いつものようにあんぱんもあるよ。今日のはとくにおいしかったね。千葉駅の構内で買ったんだ。
入口のゲートを入ってからここまで、2時間15分かかったよ。距離は10キロほどだったけれど、上り勾配の荒れたダートだったからね。もし上りがいやだったらこちらから入るといいよ。
ひと月前に走った高宕林道も倒木や落石でかなり荒れていたけれど、この杉戸林道は雨が降った後なのかぬかるみと水たまりの連続だったよ。しかもほとんど石ころ道でガタガタに荒れていた。ロードバイクではちょっと無理かもしれないね。
ゲートの脇にこんな標示もしてあったよ。自転車でよかった。…ほんとはよくないんだけどね。
(県道177号→平沢ダム→川畑隧道→いすみ鉄道総元)
さあ、ここから県道177号線だ。広くて走りやすそうだね。房総の道はどこも本当に静かだよ。
ここはちょっと狭くなってるね。下り坂を気持ちよく走って行くよ。
平沢入り口というところを右へ。
そして少し上ってまた下る。
道が左へ曲って行くすぐのところに、右へ入って行く細い道があるんだよ。竹仙郷という⇒看板が目印だ。
林道のような細い道だよ。竹林に囲まれて薄暗く、ちょっと怖いね。
恐ろしげな暗いトンネルが見えてきたよ。中は大丈夫かね。
真っ暗だが、中は思ったよりきれいだったよ。
トンネルを出て下って行くと、道が分かれる。右は竹仙郷、左は平沢ダムだ。
満開の八重桜の下を平沢ダムへ向かうよ。
平沢ダムのダム湖だ。湖面から立ち枯れた木の梢が突き出ている。淋しい眺めだね。
なんと静かなダム湖だろう。まだ新しいダムらしいね。ボートも浮かんでないし、人もいない。いつまでも眺めていたいね。心がしんとしてくる風景だね。
平沢ダムを離れ、こんなきれいな景色が。
ここは右へ行くよ。
来る前にグーグル地図や航空写真で調べたけれど、この先2つのトンネルが通れるのかどうかいまいちよくわからなくて心配だったんだ。グーグル航空写真で見ると、この先の道が山の壁に突き当たって途絶えているように見えたんだよ。とりあえず行ってみて、ダメなら戻ってこようかね。
きれいな道を上って行くと、ほどなく前方にコンクリートの白いトンネルの入口が見えてきたよ。おや、どうやら通れそうだね。
まだ新しいトンネルのようだよ。橋沢トンネルと書いてある。タケノコのレリーフが可愛いね。
トンネルの出口だ。
無事にトンネルを通ることができてよかった。静か山なの中をさらに進んでいくよ。きれいな道だね。
間もなく2つ目のトンネルだよ。こちらもまだ新しいみたいだ。レリーフはリンドウだね。いぬいしトンネルと書いてあるよ。
そして出口だ。トンネルの中から出口の外の風景を見るのはとても好きだよ。
あとで調べたんだが、この二つのトンネルのうち一つ目の橋沢トンネルが平成12年9月、2つ目のいぬいしトンネルが平成18年1月に竣工したということだ。ここを通る道は、平成22年頃全体が完成する予定の基幹農道の一部だよ。つまり農道のトンネルだったんだね。ちなみに、いぬいしトンネルの出口側のレリーフはヤマユリだそうだよ。それと、トンネルのあるいぬいし山の頂上には犬の形をした岩があるらしいよ。
いぬいしトンネルを出て間もなく、一番気になっていた川畑隧道へ向かう道の入口に着いたよ。ここへ来るまでは、まず絶対に通れないだろうと思っていたんだけど、通行止めの標示も何もない。とりあえず隧道の入口まで行ってみよう。
急勾配を上って行くと、落石注意の標示板の先に目指す隧道の入口が見えたよ。どうやら、ここも通れそうだね。よかった。
すごい隧道だな、これは。素掘りで暗く、しかも長い。
途中内部が崩れて、大小の石が転がっているところもあった。自転車を止めて中の様子を撮影しようかと思ったけれど、止まった瞬間にダイナモライトが消えて真っ暗闇に包まれてしまったんだ。自分の手の指先さえ見えない。それで怖くなって写真は撮らずにすぐに走りだしたよ。
出口はこんな具合だった。倒木などはかたずけられていて、崩落もなく意外にきれいだったよ。
とにかく無事に隧道を通りぬけることができてよかったよ。この後、総元駅の近くで聞いたんだけれど、この川畑隧道はよく崩れて通行止めになることがしばしばだそうだ。今日通り抜けられたことはラッキーだったんだね。
それにしても、なかなかお目にかかれないすごい隧道だったよ。
隧道を出た後は下りだ。苔の生えているところがあったり、小枝や落葉も散らばっていたが、自転車で通れないような障害物はなかったよ。
不動橋だ。この橋を渡ると総元駅は近い。いよいよ旅も終りだよ。楽しかったね。
橋の上から不動滝が眺められたよ。落差は小さいが、幅があり水量も多いね。つい見逃してしまいそうな目立たない滝だったけれど、思いがけず目にしたことで旅の終わりにちょっとだけ得をした気分だよ。
いすみ鉄道の踏切だ。左手に総元駅が見えるよ。
総元駅だよ。誰もいない淋しい駅だね。駅舎の横は公民館になっている。
ホームからの景色だよ。
…大きな桜の木の根元に座っていた。
やっと電車が来たよ。この雰囲気が大好きだ。
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