ウクライナ侵略を受けて各国で国防費をまかなうため社会保障費を削減する兆しがある=ロイター
ロシアによるウクライナ侵略を機に、国防費の上積みを迫られている各国で年金や福祉といった市民生活に必要な予算を削る議論が出始めた。
政府は2023〜27年度の5カ年計画で総額43兆円の予算を積み上げている。これまでの防衛費のベースに上乗せする財源として
①歳出改革
②決算剰余金
③税外収入
④増税――の4本柱で対応する。増税は法人・所得・たばこの3税を見込む。
23年度予算から初めて建設国債を防衛費に充てた。
主に公共事業の資金確保を目的とする建設国債の使途を広げることには批判もあった。22年末の決定時、政府は「いま防衛に予算を割かないと国力そのものを落とすこととなる」と説明していた。
実際に戦争が起きているウクライナを見ればその真意がわかる。
ウクライナでは歳出の半分を国防費が占める。24年予算では国防に1兆6900億フリブナ(6兆7200億円程度)を充て、国内総生産(GDP)の2割に達する。
予算の捻出に苦労している。スビリデンコ第1副首相兼経済相は23年12月、英フィナンシャル・タイムズ(FT)の取材に1200万人分の公務員給与や年金の支払いができない恐れがあると述べた。
米欧からの支援の滞りが一因だ。最大の支援国である米国からの軍事支援の予算は23年末に事実上、底をついた。ウクライナの予算が米欧からの支援を前提に赤字で編成されていた事情もある。米国が4月にウクライナを支援する追加の予算を成立させたことで、支払い停止は回避した。
ウクライナ侵略を受けて軍備拡張を進める欧州では国防費増額のために社会保障費にメスを入れる動きがある。
ベルギーでは首相が国防費のために医療費や失業手当を削減する必要性に言及した。
背景にあるのが欧州連合(EU)が加盟国に義務付ける財政規律の順守だ。
25年からの新規制では、各国は債務残高はGDP比で60%以下、財政赤字は同3%以下に抑える必要がある。
国防費を増やすためには必然的に他の支出項目を減らさざるを得なくなる。EUの財政への縛りが国防費の代わりに福祉削減を招く可能性がある。
韓国も防衛費を増やす。28年までに北朝鮮の抑止に向けて合計で348兆ウォン(40兆5千億円)の国防費を投じる。
24年には60兆ウォンを割り当てた。少子化に伴う教育費の減少と研究開発予算の合理化から財源をまかなった。野党の反発から研究開発予算を25年分は増額するとしているため、今後の財源については見通しが立たない。
年金など国民生活に直結する社会保障費を戦費確保にまわす方策はこれまでにも多用されてきた。第2次世界大戦中の日本もそうだった。
日本は1941年、真珠湾攻撃の数カ月前に今の年金制度の礎となる「労働者年金保険法」を制定した。
老後を保障することで軍需工場や鉱工業の労働者を確保した。労働者が支払う保険料を積み立てて軍事費に借用できる仕組みを取った。(随時掲載)
【安全保障とeconomy】
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日経記事2024.07.01より引用
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まあ、私のBlogの読者は分かっていると思いますが、ウクライナの防衛費の予算を削れ都言うのは、日本ではありませんよ。
未だに北方領土はロシアに勝手に奪われ、巨額の漁業権も奪われ、日本の猟師や国民は貧国へ真っ逆さま。 そして日本を露骨に侵略してくる中国の存在もありますからね。
これ以上、領土を奪われると、ウクライナの支援金をケチる対価として、とんでもない国富を失ってしまいます。
中国・ロシアがこれ以上、日本をマジにを攻めてこないのは、バイデン政権、NATO、日本の岸田政権が厳しい態度で中露に対応しているから。
このタガが外れると、中露は怖いものなしで日本・台湾に侵攻してきます。 当たり前の話です。