訪問中のウクライナ・キーウで記者会見するフォンデアライエン欧州委員長(20日)=AP
【ブリュッセル=辻隆史】
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は20日、ロシアの凍結資産を活用し、ウクライナに350億ユーロ(約5.6兆円)を融資する方針を明らかにした。
主要7カ国(G7)が6月に大筋合意した約500億ドル(約7.2兆円)の支援枠組みで、EUの貢献額を積み増す。
訪問先のウクライナの首都キーウ(キエフ)で、同国のゼレンスキー大統領と共同記者会見を開いて発表した。実現にはEU加盟国と欧州議会の承認が必要となる。
6月のG7サミット(首脳会議)では、約500億ドルを12月末までに融資することでまとまった。ロシアの凍結資産から生じる運用益を返済原資に充てる。
EUには200億ドルを貸し付ける案があったが、フォンデアライエン氏はさらに増やす考えを明示した。
ゼレンスキー氏は記者会見で、資金は数カ月以内に受け取れるとの見通しを示した。防空システムやシェルターなどの整備費用に使うとも説明した。
G7全体での詳細な制度設計は難航している。費用分担の前提となる融資の償還確実性をどう担保するかを巡り、各国が歩み寄れていない。
米国は凍結したロシア資産の活用について、長期で保証する仕組みを要求しているとみられる。
日経記事2024.09.20より引用