Renaissancejapan

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産業革新機構、半導体素材大手JSRを1兆円で買収へ

2023-06-24 17:05:13 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


産業革新投資機構はJSRを買収する

【この記事のポイント】
JSRは半導体の重要素材で世界シェア約3割
・政府、半導体を戦略物資と定め供給網強化
・年内にもTOB、JSRは2024年中に非上場に

政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)は半導体材料のJSRを約1兆円で買収する。同社は半導体の重要素材で世界シェアの約3割を握る。政府は半導体を戦略物資と定め、国内で先端品の量産に巨額の支援を始めた。国際競争力が強い素材分野でも成長投資を継続できる環境を整え、素材から製品までの半導体サプライチェーン(供給網)を強くする。

JSRはフォトレジスト(感光材)と呼ばれる素材の世界シェアで首位。東証プライム市場に上場している。海外を含めた競争当局の審査を経て、JICは早ければ年内に同社へのTOB(株式公開買い付け)を実施する。手続きが順調に進めば、2024年中に上場廃止となる見込みだ。


JICはJSRを買収するための新会社へ5000億円程度を出資し、みずほ銀行が4000億円強を融資する。出資と融資の中間的な優先株や劣後ローンの計1000億円を複数の銀行が引き受ける。JICは昨年、国際競争力の強化を目的に大規模な事業再編に投資するファンドの投資枠を2000億円から9000億円へ広げた。

JSRの株式時価総額は23日時点で約6700億円。総額で約1兆円にのぼる買収額は、JSRの潜在力や成長性を高く評価しているため。半導体の回路形成に欠かせないフォトレジストは、シリコンウエハーにパターンを焼き付ける際に塗りつける感光性の液状樹脂だ。

JSRは同素材で約3割の市場シェアを持ち、高性能なフォトレジストの分野ではさらに高いシェアを握っている。21年にはフォトレジストの開発・製造を手掛ける米企業を約450億円で買収した一方、祖業である合成ゴムの事業をENEOSに売却するなど事業の入れ替えを進めてきた。

半導体の微細化が進むなか、JSRは競争力を高めるために経営資源を半導体事業に集中する必要があると判断したようだ。非上場化で大胆な事業再編をしやすくなる利点があるとみている。

今回は入札を経ず、JICがJSRと相対交渉する異例の買収となる。関係者によると、経済安全保障の観点からも海外のプライベートエクイティ(PE)ファンドより国内ファンドによる買収提案を優先したという。半導体の国際競争力を強化したい政府も、政府系ファンドのJICによる買収を後押ししてきたようだ。

JICは株式の非公開化を含めた再編案を募る東芝の入札にも参加したが、日本産業パートナーズ(JIP)に敗れた。

政府は16日に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画の改定版で、「先端・産業向け半導体、製造装置、部素材、原料の製造基盤の拡大や人材育成を進める」と明記した。供給網の安定性を高めるため、重要な技術の育成を重点的に支援する考えを示していた。

経済産業省は国内の半導体製造拠点の整備に2年で2兆円ほどの予算を投じる。世界最大の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造(TSMC)やソニーグループが熊本県に先端半導体工場を共同で新設する計画を表明した。次世代半導体の製造を目指すラピダスも北海道に工場の試作ラインを建設し、20年代後半からの量産を目指す。

 JSR 1957年に「日本合成ゴム」として設立された。世界的な天然ゴム不足に対応し、国策として政府が当初4割の株を保有した。69年に民間会社になり事業多角化を始め、70年代後半に半導体のフォトレジストを事業化した。祖業の合成ゴム事業は2021年に売却を決め、半導体と医療領域へと経営資源を振り向ける改革を進めている。23年3月期の連結売上収益は前の期比20%増の4088億円、純利益は58%減の157億円。

 

2023.06.23 日経記事より引用

 

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中国からの買収を阻止し、半導体のサプライチェーンを守る考えですね。 ラピダスなど、半導体産業を日本政府として伸ばしていく考えでしょう。親中の安倍政権で、日本の産業はガタガタにされてしまいましたが、岸田政権により日本の産業は、現在のところ絶好調です。

私がいつも言っているように、国家の安全保障、外交の基本中の基本はnuissance valueをあげること。 反中露の岸田政権ではG7はじめ、うまくいっているように思います。

 

 

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日本とユダヤの古代史&世界史

2023-06-24 15:19:20 | 哲学・宗教・思想

東北大学・名誉教授の田中英道先生と、元予備校・講師の茂木誠先生が語ってくれます。

 

田中英道先生に聞く#2★縄文文明とは何か?日本は水の文明大国!火焔土器ではなく水紋土器!今こそ縄文を再認識!
https://www.youtube.com/watch?v=6Uh7wluxsk8

田中英道「縄文文明と東北の日高見国」縄文学のすすめ講演会in青森
https://www.youtube.com/watch?v=0VxOIO1l4DY

【田中英道の文化散歩】「鹿島神宮 なぜ三大神宮の二つが関東にあったのか」東北大学 名誉教授 文学博士 田中 英道
https://www.youtube.com/watch?v=dz7dqUCINeg

【田中英道の文化散歩】「香取神宮 なぜ三大神宮の二つが関東にあったのか」東北大学 名誉教授 文学博士 田中 英道
https://www.youtube.com/watch?v=tVLQssK_4Eo

田中英道「秦の始皇帝はユダヤ人であった」日本国史学会 第69回連続講演会(2019/9/14)https://www.youtube.com/watch?v=EV9w3zQCWg0

田中英道◆縄文から古墳時代、ユダヤ到来!秦氏が守り続ける日本
https://www.youtube.com/watch?v=uUh-EiQD4Vo&t=160s

田中英道先生と語る『日本とユダヤの古代史&世界史』
https://www.youtube.com/watch?v=zjd4zQ4AdYs&t=14s

いくつかのコメントに答えます。田中英道 - 文学博士 東北大学名誉教授「秦氏ユダヤ人は日本に同化した」日本国史学会連続講演
https://www.youtube.com/watch?v=7z2aLxRU8tA

「エリ・コーヘン氏、同行記録 徳島・剣山史跡巡りツアー」発想の旅、第1部 「剣山を昇る」https://www.youtube.com/watch?v=Jmg2FFAjyFA

徳島に古代ユダヤの遺跡「磐境神明神社」日ユ同祖論は本当なのか!?剣山に眠ると言われるソロモンの秘宝を調査!ソロモンの秘宝
https://www.youtube.com/watch?v=1L_rMi5qNpo

四国山中、謎の石造神殿/磐境神明神社
https://www.youtube.com/watch?v=eYlxYM5trao

田中英道「ネストリウス派蘇我氏の聖徳太子殺害を読み解く」日本国史学会 連続講義 令和4年7月9日 日本経済大学(2022/07/09)
https://www.youtube.com/watch?v=EK0_Qz0H7DU

田中英道「蘇我氏の本性とは何であったか」日本国史学会 連続講義 令和4年1月8日 日本経済大学(2022/01/08)
https://www.youtube.com/watch?v=JbWXt2HEH9Y&t=156s

田中英道「なぜジンギス・カンは源義経か」日本国史学会 連続講義 令和4年8月6日 日本経済大学(2022/08/06)
https://www.youtube.com/watch?v=wUUWX2HCBLY&t=14s

 

 

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哲学・科学技術はアラビアがヨーロッパに教えた?冗談もほどほどに

2023-06-24 03:50:59 | 哲学・宗教・思想

哲学・科学技術は紀元前5~6世紀、古代ギリシア(現トルコ含む)ターレス、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ピタゴラス、プトレマイオス。によって基本が完成されたものです。

アラブ(イスラム世界)の宗教的、社会的、政治的指導者であり、イスラム教の預言者であり創始者モハメッド(日本では)、アラビア語でムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ(世界ではムハンマド)は、AD570年頃生まれ、後にイスラム教を創始しました。

イスラム教に改宗するか、それとも死を選ぶか?と「右手に剣、左手にコーラン」、暴力的に、キリスト教・ローマ帝国社会に急速に勢力を伸ばしました。

アッパー朝の明のカリフ、アル=マームーンはバイト・アル・ヒクマ(知恵の館)を主都バクダッドに建設して、古代ギリシアの学術吸収につとめ、哲学・科学の振興を図りました。 こうしてギリシアの哲学・科学書の大半が、ギリシア語からアラビア語に翻訳されました。

プトレマイオスの天文学書『アルマゲスト』もそうです。 アルマゲストという言葉自体がアラビア語で、アラビア語に翻訳されたのです。

イスラムに征服されたヨーロッパ人は、このアラビア語から、さらにラテン語に翻訳したのです。 哲学・科学技術のオリジナルは言うまでもなく古代ギリシアです。

高度な理論を持つ、本当の意味での科学技術は、17世紀~19世紀に西ヨーロッパでダイナミックに発展したのです。同時に政治・思想も同様です。

 

 

 

(関連資料)

・アテネの学堂
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/079780347b3ab679b2eebf03694d7477?fm=entry_awc
・哲学(Philosophia)の起源
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1052e970bffd2c2d9866b598abf1bd5f
・哲学(科学)の4つのテーマ
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/50148a491ce0b801127b7c39cfdce47a
・古代ギリシャの哲学者たち
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2e2bbe88cac927e3fb49baa342b29807
・古代ギリシアの政治思想
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7cbfd7c649f01a0a1262d07aeb997912

・ユダヤ教とグローバリズム、そして軍需産業
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/4e72aabfe26b5c0785a7772bf8409fb2
・ノアの呪い と 黒人差別
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2249ddeed98bdc201a35db01d5d38957

イスラム社会の女性差別
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a0e16d490c9edff3f0161da3eb7d322c?fm=entry_awc
・シーア派内部の抗争
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/3641e2c4dad285600e139d8fd1e07366?fm=entry_awc

イスラム教もユダヤ教も教義は、自分たちが世界征服するワンワールド化が目標
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/94984ccc4857ddd74e55abaaff7bb12b

 

・太陽神・イエスキリストと天文学
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/329148ff2f4f762b3a7d203f7c5d0ffe?fm=entry_awc
・死海文書、クムラン宗派、エッセネ派
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/950af9e424405a6efe8cb9e7dba89f33?fm=entry_awc
・イエスキリスト、ルカの福音書、そして死海文書(TOLANDVLOG)
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/06d90484871819eef0c8bc3b6904f2d3
ルターとカルヴァンの宗教改革
 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/fcc7bca631afd3ba0047b8353528494a

 

 

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0123456・・・ アラビア数字? 冗談もほどほどに

2023-06-24 03:34:00 | 哲学・宗教・思想

01234567891011・・・ この数字は古代インドで発明され、アラビア(イスラム世界)に伝わったものであり、アラビアで発明されたものではありませんが何か?

アラビア語は、右から左に書きますしね。 


インドの有名な天文学書『シッターンタ』もアラビア語に翻訳されましたが、この書の中に古代のインド数字が使われています。


世界大戦の主原因は石油 シンクレアの悲劇

2023-06-23 18:23:59 | 麻薬・阿片・石油

ハリー・シンクレアがモスクワに滞在中、その使者はペルシャに現れていた。 折からペルシャでは北部地方の石油開発権をめぐって、英・米・ソおよびペルシャの四国間に紛争が続けられていたのである。 ペルシャは最初米国のスタンダードに対して開発権を賦与したのであるが、これに対して英国のアングロ・ペルシャン(英・イラン)石油は、同地方の利権はさきに旧ロシア人より譲渡を受けているとの理由で講義を申し込む。 

一方、アングロ・ペルシャン(英・イラン)石油はスタンダードを懐柔して、北部地方の石油開発については共同営業することを決定して、ペルシャ政府にあたった。 しかし、ソビエトの尻押し、いやゲーペーウーのアインホルンの尻押しでリザ・ハーンはこの英・米合作を拒否したのである。ここに北部ペルシャの開発は暗礁に乗り上げてしまった。

ちょうどその頃、ペルシャに登場したシンクレアの密使は、ペルシャ政界の要人間を泳ぎまわり、初代人に黄金の贈り物を呈してご機変を取り結び、北部地方の採掘権獲得に狂奔した。リザ・ハーンが英・米合作を拒否したのは、結局、英国のアングロ・ペルシャン(英・イラン)石油が絶対勢力を握るようになることを恐れたためであって、米国資本の侵入を喜ばないためではなかった。

そうした際に、シンクレアが登場したのであるから、リザ・ハーンは喜んでこれを迎えた。ペルシャ議会はスタンダード石油に対する開発権付与の契約を取り消し、改めてその権利をアインクレアに与えることを決定した。もちろん、そうなるまでには紆余曲折があったが、結局、一千万ドルをペルシャ政府に供与することによって、北部ペルシャの石油開発権はシンクレアに賦与されることになったのである。

しかし、シンクレアが事業を開発するの先立って、二つの不祥事件が勃発した。 その頃、テヘラン駐在の米国副領事はロバート・ウィットニー・イムブリという人物であった。 彼は米国の「ナショナル・ジオグラフィック・マガジン」という地理学雑誌の依頼を受け、ペルシャの名所をカメラに収めることとなった。

1924年のある日のことであるが、彼は友人のマルヴィン・セイモアを伴い、自動車を駆ってペルシャ人に尊敬されている「聖なる井戸」に向かった。 自動車を下りてかえっらを調整しているとき、突然暴徒の襲撃を受け、散々に殴られ、命からがら自動車にのって逃げた。

セイモアも同じく打撲傷を負って逃げ、二人はある病院に担ぎ込まれた。 しかも、暴徒は執拗に追いかけてきて、病院にまで侵入してきてイムブリ副領事を殺して引き揚げていったのである。 セイモアは辛くも身をもって逃げることが出来た。

この悲惨事は英国の通信員によって世界に広がった。英国通信員の報ずるところによれば、ペルシャの狂信的宗教団体はかねてより白人排斥の傾向を持っていたので、イムブリが宗的聖地を撮影しようとしているのを神に他する冒涜とし、この暴挙に出たというのであった。

しかし、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン紙のパリ特派員が、久しく英国諜報部員として近東地方にあったハロルド・スペンサーのいうところによると、イムブリ副領事を殺した暴徒は、実はシンクレアのペルシャ進出をよしとしない英・米石油資本家にそそのかされたものであるというのだ。

そしてイムブリを殺したのは、実は、護衛に当たっていたペルシャ兵の一人であったというのである。 こうした報道がシンクレアを驚かしているうちに、米本国ではシンクレアの擁護者であるハーディング大統領が開始を遂げた。 そしてその死後、ん内務長官フォールをめぐるティポット・ドーム汚職事件が暴露し、シンクレアおよびドーニーの贈賄の事実が白日化にさらけ出された。

この事件のために、シンクレアの国際的信用は失墜し、せっかく契約が出来ていた彼のソビエト進出も契約破棄となり、ペルシャにおいてもシンクレアの27万5千ドルの贈賄の事実が発覚して、遂に彼に対する開発権も破棄されることとなったのである。

同地方の開発はペルシャ政府自ら行うことになったが、1937年春、米国資本のアミラニヤン石油会社に開発権を与えた。 しかし、この契約によると、経営に必要な要員はなるべくペルシャ人によって補充するように約定してあり、租借年限が切れる頃にはしばらくペルシャ人の手によって運営ができるように考慮してあることは、注目すべきことである。

 

続く。 次の投稿は「世界を動かす石油」を予定しています。