「動物の言葉がわかるただ一人の獣医」ジョン・ドリトル。
かつて起こった悲しい別れが原因で、動物たちと引きこもっていた彼の元に訪れたのは
心優しい猟師の息子、トミー・スタビンズと若き王女。
現在の暮らしと動物たちを守るため、病に倒れた女王を治すために、
オウムのポリネシア、ゴリラのチーチー、アヒルのダブダブたちとともに
奇跡の万能薬が実るエデンの木を目指す冒険が始まる!
わたくし、岩浪少年文庫版(井伏鱒二訳)で全巻読破しているレベル、
そしてシリーズ前半5,6作くらいは何度も再読しているレベルの愛読者でございました。
旧ディズニー映画版も、エディ・マーフィー主演での映画化も、まぁ別物として楽しみました。
それでも今回、開始即で解釈違いで殴られた感を味わっております。
いや、原作で人間性を担当していたマシュー・マグ夫妻がいないとか、
食べることにしか興味がない豚のガブガブがリストラとか
犬のジップが冒険についていかず(原語CVがトム・ホランドなのに!)留守番とかの問題じゃなく
あの人間に基本興味がなかったジョン・ドリトルが結婚して、
しかも妻を喪ったことで引きこもっていた、という衝撃。
ここまで基本設定変えちゃうかぁ…と思い、
これはエルスワールドだ、と切り替えて見ることになりました。
「ピーターラビット」といい、なんでイギリス児童文学って
こうまでアメリカナイズされて映画化されてしまうのだろう…というのが一番の感想。
映画としての盛り上げ重視なのか動物との会話でトラブルを解決しない局面もあるし
下ネタ的な笑いのとりかたをする場面もあり、という部分がひっかかりはしたけれど
子ども向けハリウッド大作としてはまぁ平均点くらいの出来かなぁ、という感じではありました。
普通に楽しくはあるのだけど、今の技術で撮られる「ドリトル先生」に期待したハードルが高すぎたのかな。
で、今回は吹替で見ました。
先ごろ亡くなられた藤原啓治氏がロバート・ダウニーJr.を吹き替えた(たぶん)最後の作品であり
動物たちのキャスティングは人気・実力を兼ね備えた声優たちが務める、という今作。
芸能人キャストも違和感なくきちんとピースに収まっています。
エンディングでも動物たちのキャストは吹替声優のクレジットに変わっている
(エンドロールでは原語版キャストに)という声優を大事にする作品ではあるのです、が。
なんでジップ(原語版はトム・ホランド)の吹替キャスト、スパイダーマンと合せなかったのか…。
ダウニーJr.をドリトルにキャスティングしてる時点で狙った配役やろがい。
…新訳版で原作再読してみるかなぁ。
つばさ文庫版なら全巻翻訳済みみたいだし、角川文庫版も「郵便局」まで出てるみたいだし。