長崎県美術館で本日から開始の企画展、
「2024年度国立美術館巡回展 超絶技巧からモダンへ ―京都・近代工芸の新展開―」
に行ってまいりました。
国立美術館の収蔵品を巡回させる展覧会。
今回は京都国立近代美術館の収蔵品がここ長崎にやってきました。
東京への遷都によって天皇家・公家が京都を離れたことで
パトロンを失って大打撃をうけた京都の職人たち。
彼らが活路を見出したのは万国博覧会への出展によって拓かれた
海外マーケットへの輸出、でした。
技を尽くした超絶技巧から、アール・ヌーヴォーに影響をうけたデザイン性を採用した
モダンな作品、そして日常使いの品に美を見出す民藝の時代と変遷していった
京都の近代工芸の歴史をまとめた展示内容、でございます。
基本的に美術館では工芸品よりも絵画・彫刻のほうを熱心に見るタイプなのですが
まず今回は超絶技巧の作品がもつ技術力に眼を奪われてしまいました。
彫金や螺鈿の細やかさ、そして刺繍で表現された鳥や獣の毛の質感。
つい目を凝らしてじっくり細かいところまで見たくなってしまう、
そんな作品がずらりと並ぶ展示。
…しかし、技量よりもデザインに重きを置く時代に入った展示からは
なんとなく興味が失せてしまう…というか、
流行を意識したデザイン、というのはどうしても時代性の反映となる故に
現代の目で見るとよく言えば素朴、悪く言えば古ぼけたものになってしまい
自然の再現をスーパーリアリズムで行っていた超絶技巧の時代の作品と比べて
見た目に拙く、普遍性がないものに感じてしまいまして
一度最後まで見た後、また最初に戻って技巧を凝らした作品のほうを楽しんでしまいました。
かつて仕事などでデザインを行なっていた際には
できるだけシンプルで単純に、を心がけていたものでしたが
その頃とは自分の感性も変わったのかなぁ、と思う一日でございました。