福岡・三菱地所アルティアム(イムズ8F)で開催中(2012年1月9日まで)の
『宮島達男「その人と思想」展-宮島達男は何を考え、どう生きたのか-」を
21日に見てまいりました。
宮島といえば、LEDデジタル・カウンターを用いた「megadeath」などの
現代アート作品で知られているアーティストですが、
そのアート活動の原点は、東京藝術大学在学中から行ってきた
数々のパフォーマンス作品(というか行動)でありました。
「それは変化しつづける」
「それはあらゆるものと関係を結ぶ」
「それは永遠に続く」
今展はこの3つのコンセプトで創作活動を行う宮島の原点である
パフォーマンス作品の記録を中心とした個展となっております。
「東京芸大の美術棟と音楽棟の距離の離れ=意識の離れを繋ぐために
2つのキャンバスの間にピンクのロープを張る」
それが宮島の最初のパフォーマンスでした。
この作品は実現することはありませんでしたが、
それから彼のパフォーマンスの歴史が始まります。
路上で突然叫びだす、路上で「石」になってみる、
雨が降り始めた場所に寝転び、人型の乾いた部分を作って
そこが濡れていくのを観察する、
人間の魚拓をとる、
上野公園に黒い箱を置き、それに対する反応を観察する・・・
日常とはかけ離れた「奇異な行動」の裏にあるのは、
行動することで生まれる「外界の変化」と
「他のものとの関係性」の追及でした。
そんな宮島の創作活動はパフォーマンスアートから
オブジェを用いたものに移行していきます。
世界中の情報を映すテレビを見ながら、美しい線が書けるまで
ずっと紙に線を引いては捨てていく、など・・・
そんなスタンスの活動の中で出会ったのが、「デジタルカウンター」でした。
カウントが1から9まで進み、10になった瞬間消える。
そしてまた、1からのカウントが始まる。
それは誕生から老い、死と再生のプロセスを表しており
カウンターごとの数字の進む速度の違いも
それぞれの人生の長さをあらわしているように見えます。
今展覧会でも一番奥のスペースに配置されている「Sea of Time」。
真っ暗な空間の中に置かれ、赤や緑、青に輝く2桁のカウンターたちは
ゆっくりと、もしくは急いでカウントを進め、
99までをカウントした瞬間に消えていく。
カウンターが密集している場所、少し離れてぽつんとあるカウンター、
真っ暗な空間に浮かび上がるカウンターを見ているうち、
それがとても美しく、ドラマティックな光景に感じるのです。
生を受け、成長し、老い、死んでいく。
そんな生命のドラマを闇に浮かぶデジタルな数字で感じる、というのは
人工生命プログラムにも似た感覚を受け、
また、自分たち人間の写し絵のようにも見えます。
いつしかひとつひとつのカウンターに、感情移入しているような感じ。
クリスマスや新年といった「人との繋がり」を感じる時期に
命というものを考えるきっかけにもなりそうな、そんな展覧会でございました。
『宮島達男「その人と思想」展-宮島達男は何を考え、どう生きたのか-」を
21日に見てまいりました。
宮島といえば、LEDデジタル・カウンターを用いた「megadeath」などの
現代アート作品で知られているアーティストですが、
そのアート活動の原点は、東京藝術大学在学中から行ってきた
数々のパフォーマンス作品(というか行動)でありました。
「それは変化しつづける」
「それはあらゆるものと関係を結ぶ」
「それは永遠に続く」
今展はこの3つのコンセプトで創作活動を行う宮島の原点である
パフォーマンス作品の記録を中心とした個展となっております。
「東京芸大の美術棟と音楽棟の距離の離れ=意識の離れを繋ぐために
2つのキャンバスの間にピンクのロープを張る」
それが宮島の最初のパフォーマンスでした。
この作品は実現することはありませんでしたが、
それから彼のパフォーマンスの歴史が始まります。
路上で突然叫びだす、路上で「石」になってみる、
雨が降り始めた場所に寝転び、人型の乾いた部分を作って
そこが濡れていくのを観察する、
人間の魚拓をとる、
上野公園に黒い箱を置き、それに対する反応を観察する・・・
日常とはかけ離れた「奇異な行動」の裏にあるのは、
行動することで生まれる「外界の変化」と
「他のものとの関係性」の追及でした。
そんな宮島の創作活動はパフォーマンスアートから
オブジェを用いたものに移行していきます。
世界中の情報を映すテレビを見ながら、美しい線が書けるまで
ずっと紙に線を引いては捨てていく、など・・・
そんなスタンスの活動の中で出会ったのが、「デジタルカウンター」でした。
カウントが1から9まで進み、10になった瞬間消える。
そしてまた、1からのカウントが始まる。
それは誕生から老い、死と再生のプロセスを表しており
カウンターごとの数字の進む速度の違いも
それぞれの人生の長さをあらわしているように見えます。
今展覧会でも一番奥のスペースに配置されている「Sea of Time」。
真っ暗な空間の中に置かれ、赤や緑、青に輝く2桁のカウンターたちは
ゆっくりと、もしくは急いでカウントを進め、
99までをカウントした瞬間に消えていく。
カウンターが密集している場所、少し離れてぽつんとあるカウンター、
真っ暗な空間に浮かび上がるカウンターを見ているうち、
それがとても美しく、ドラマティックな光景に感じるのです。
生を受け、成長し、老い、死んでいく。
そんな生命のドラマを闇に浮かぶデジタルな数字で感じる、というのは
人工生命プログラムにも似た感覚を受け、
また、自分たち人間の写し絵のようにも見えます。
いつしかひとつひとつのカウンターに、感情移入しているような感じ。
クリスマスや新年といった「人との繋がり」を感じる時期に
命というものを考えるきっかけにもなりそうな、そんな展覧会でございました。