本日誕生日でして、不惑となりました。
人生惑いっぱなしではありますが。
というわけで仕事を休みにして、今日は
長崎県美術館へ。
まずは企画展示室で開催中の「ソフィ・カル―最後のとき/最初のとき」。
フランスのアーティストによる写真と映像作品を中心とした展覧会です。
生まれつき盲目の人々に「美しいもの」とは何かを聞き、
それを写真に撮った「盲目の人々」。
後天的に失明した人々に、最後に見たものの記憶を聞き、
それを写真に撮った「最後に見たもの」。
海を見たことがなかった人々に生まれて初めて海を見せた姿を
映像でとらえた「海を見る」。
この3つの作品で構成された展示を見て思ったのは
「見る」という行為の重み、でした。
こうして展覧会を見に来たり、映画を見たり、本を(コミック含め)読んだり、
ネットしたり、テレビを見たり、ゲームをしたりと
楽しみの多くを「目」に依存している僕にとって、
「視覚」を失うことはただただ恐怖でしかなく。
そんなことを思いながらも「見えない人」にとっての「美しさ」とは、とか
いろいろなことに思いを馳せてしまう展示でございました。
作品数は少ないかな、とは思ったけど、このスペースの使い方が必要だったんだなぁ、と
「海を見る」では実感させられました。
「盲目の人々」は3月には展示変更するようなのでもう一度行ってもいいかな・・・
3月21日までの開催です。
そして常設展示に移動し、「レンブラント版画名品展」へ。
「夜警」などの陰影表現によって一時は超売れっ子画家となるも
晩年はすべてを失ったレンブラントさんですが、実は銅版画でも大家でありました。
主にエッチングの技法を用い、刷った後にも版に手を加えてバージョン違いを生み出したり
宗教画、肖像、自画像、風景、日常風俗に至るまでさまざまなジャンルを制作し、
多くのコレクターがついていた大人気の版画家でもあったのです。
アムステルダムの旧レンブラント家を美術館にした「レンブラントハウス美術館」と
レンブラントが和紙を使用していたことでかかわりが生まれた福井県立美術館が共同で
今回の展覧会を初め、長崎とオランダの縁によって今回巡回先となった今展示なわけですが
エッチングという作品の性格上、とにかく細部へのこだわりが作品の各所に見られ
作品に(できるだけ)目を近づけて凝視することが多くなったためか
見終わった後とても目が疲れて困りました。
描く(彫る)側のレンブラントの目にもすごく負担だっただろうな、と思いつつも
「見る」ことって大変なことなんだな、と改めて。今週末(2月21日)まで開催です。
そして常設展示室を進むと、彫刻家・舟越保武による
「日本二十六聖人殉教記念碑」制作時のドローイングの特設展示が。
現在では長崎の観光地となっている(駅前・NHKそばですね)このブロンズレリーフ像ですが
少ない資料からそれぞれの殉教者たちの姿や精神を想像して形にしていくこの作品は
舟越にとってかなり制作へと没頭し、構図のモデルとなっていた子供に聖人の姿を見て
強く抱きしめたり、聖人の一人に亡くなった父の面影を見出したりもしていたようです。
配置・視線・構図なども含めて、再度しっかりと像を確認したくなる展示でした。
次回企画展は春休みに1F県民ギャラリーでの「くまのプーさん展」、
そして4月には企画展示室で「ミュシャ展」も開催予定。
春はアート鑑賞もおすすめですよ。(室内だから花粉も少ないし・・・)
帰りは22日月曜まで開催のランタンフェスティバルをしっかり見て、
中島川会場などで写真も撮ってきました。
美しいと思えるものを見れるうちに一杯見ておかなくては、ね。