リンムーの眼 rinmu's eye

リンムーの眼、私の視点。

原宿で虎と龍が再会

2007-02-12 | art
原宿に行く。
駅前には華やいだ若い人々がたむろしている。
あまり得意な雰囲気ではない。
では、原宿に何をしにきたか?
クレープ屋の甘い匂いをすり抜け、向かったのは、他でもない、太田記念美術館である。
葛飾北斎の肉筆画を見るためだ。

太田記念美術館は、浮世絵に特化した美術館である。
大学在学中、存在は知っていたが、訪れたことはなかった。
それなりに浮世絵好きであったのに。
実家に別冊太陽の浮世絵シリーズがあり、中学生の頃からよく眺めていた。
(ちなみに春画はモノクロで修正されていた。今ではオールカラー無修正で多数出版されている)
特に北斎は好きだった。
多彩な作風、奇抜な構図、アナーキーな人物像と魅力は尽きない。

今回は、フランスのギメ東洋美術館の所蔵作品の展示なのだが、そのうちの一点「龍図」が、太田記念美術館にある「虎図」と対であることが発見されたらしく、ほぼ百年ぶりの再会であるという。

並んだ二点の掛け軸は、虎が龍に向かって吠えており、互いに目線がぶつかっている。
彩色された虎と墨一色の龍で見事に対比的だ。


「今ごろ気付いたのかよ、全く。それにしても、有り難がって見るなんざ、粋じゃねえなぁ、現代人は」
そんな北斎の声が聞こえてきそうだ。

※画像は売店で買ったコースター。各二百円。