ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

先ず隗より始めよ

2014-01-14 21:28:56 | Weblog
うちの会社の定時は17時30分。

17時50分にふと顔を上げてみると、すでに残り3人。
うち2人は日本人。
もう1人は、納期管理できなかった中国人で、私にさんざん怒られた結果。
30名ほどいる会社なので、かなりガラーンとしている。

「能力がある人は評価します。頑張っている人にも報います。
 言ったもん勝ちという不公平感をなくすための人事評価制度です」

そう言って導入したものの、
交渉してなんぼというDNAをもった中国人には理解されず、
まったく機能しなかった。
そして、日本人にまで「やるだけ損」という雰囲気が広まった。

理念を語り、仕組みをつくろうとするのは、日本人のいいところだけど、
中国なんだから、中国のやり方にこちらが合わせるべきなんだと思う。
そして私も、日本人から「もう帰りましょうよ。いいですよ」と言われ、
今日は久しぶりに18時30分に会社を出た。

最近、西安がきっかけとなり、むかし読んだ漢文をよく思い出す。
今日は「先ず隗より始めよ」が浮かんだ。

戦国時代の燕の昭王が、どうしたら有能な人材を集めることができるか、と聞いて、
郭隗という人が「まず私のような凡人を優遇したら、
あいつでも重用されるんだから、おれさまならもっと上に行けるぜ!と思った有能な人が、
わらわらと集まりまっせ」と答えたあれだ。

私は、高校時代にこの故事を読んだとき、すごく不思議だった。
だって、王さまが意見を聞くくらいなんだから、きっと隗も賢いはず。
いくらなんでも、そのへんの飲んだくれおっちゃんに、意見を聞くまい。

ならなんで、隗より始めよなのだろうか、と。

今日、ようやく合点がいった。
戦国時代よりすでに約2200年が経ったが、中国は、ずっとこうなんだ。

賢い人というのは、相手を口でやりこめることができる人、という意味だ。
つまり「あんな交渉下手でも重用されるんだから、俺はもっと給料交渉ができるぞ!」という
意味だったんだ。

なんだ、中国って、変わってないんじゃん。
だから、お給料交渉が下手な日本人はバカ扱いされるんじゃん。
いや、実際、中国人の価値観によると、私はかなりバカな部類に入るんだけど。

久しぶりに『戦国策』でも読んでみるかなあ。