『信長の棺』で華々しいデビューを飾った著者の歴史ミステリー第2弾。

<ストーリ>
前作の、信長の死の真相、また遺体の埋葬地の真実を踏まえた話となっている。なので、読むのだったらまず『信長の棺』からをお勧め。
上巻では中国地方攻略中の秀吉のもとに、療養中だった軍師・竹中半兵衛が死んだ知らせが舞い込むところから始まる。かつて半兵衛は秀吉に対し、信長を毛利攻めに担ぎだして、毛利に殺させる策を献策していた。
秀吉は、敵に捕らえられていた黒田官兵衛に対する信長の措置をきっかけに、信長に対する距離をとり始め、自分の方が器が上だと自覚するようになっていく。
そうとは知らない信長。京都の南蛮寺と本能寺を結ぶ地下通路の建設を秀吉に命じた。このあたりの経緯は前作でも触れられている。
やがて備中高松城を攻めつつも、信長の動向を気にしていた秀吉は、光秀が反逆することに気づく。そしていざというとき、信長が、本能寺の下に作らせた地下通路で脱出するであろうことも悟った。そこで秀吉は、光秀より先に自分が信長にとどめをさそうと、前野将右衛門に命じて、地下通路をふさぐよう指示。これにより、本能寺の変で地下通路に逃げた信長はそこで死ぬ。
だが、その後信長の死体が通路にないのが発覚。どうやら織田家の菩提寺である阿弥陀寺にあるらしいことはわかったが、住職の清玉は渡してくれない。そんな中、秀吉は信長の葬儀を単独で挙行して自分が後継者であることを強烈にアピール。やがて柴田勝家も破り、家康とも和解し、天下を手中に収めつつあった。
秀吉の唯一の悩みは後継者がいないこと。数多くの側妾を持ちながら誰一人子をなさないのは秀吉に原因があることは明らかだった。
下巻はほとんど一貫して、秀吉の子作りの奮闘が描かれる。
やっと淀の方が男児を出産し鶴松となずけるが、これもあっけなく死んだ。そして後継者に指名した豊臣秀次も、秀頼が誕生するにおよんで自裁させる。そしていよいよ耄碌していく秀吉は、正妻のねねと、側室の京極竜子が最後の心の拠り所となった・・・。
<感想>
今回も当たり前だと思っていた歴史に、斬新な解釈が次々と打ち立てられた内容となっている(秀吉が藤原氏の流れを汲んでいると信じていた、とか、本能寺の地下通路の話は別として)。
面白いのは、淀の方が淀君と呼ばれているのは娼婦という侮蔑の意味が込められており、江戸時代にその呼び方が流行った話。
また、淀の方が生んだ二人の子が実は別の男との間に生まれた子であること。
家康の嫡子・信康は実は今川義元が築山殿に生ませた子であったため、信長が信康の切腹を家康に命じたのはむしろ家康にとって厄介払いができて好都合だったこと。などなど。
下巻での立花宗茂と秀吉とのやりとりも面白い。他にも蒲生氏郷の奥州転封の経緯や、家康に関東に転封させる経緯、五大老の席順にまつわる話など、どれも読んでいて楽しかった。


<ストーリ>
前作の、信長の死の真相、また遺体の埋葬地の真実を踏まえた話となっている。なので、読むのだったらまず『信長の棺』からをお勧め。
上巻では中国地方攻略中の秀吉のもとに、療養中だった軍師・竹中半兵衛が死んだ知らせが舞い込むところから始まる。かつて半兵衛は秀吉に対し、信長を毛利攻めに担ぎだして、毛利に殺させる策を献策していた。
秀吉は、敵に捕らえられていた黒田官兵衛に対する信長の措置をきっかけに、信長に対する距離をとり始め、自分の方が器が上だと自覚するようになっていく。
そうとは知らない信長。京都の南蛮寺と本能寺を結ぶ地下通路の建設を秀吉に命じた。このあたりの経緯は前作でも触れられている。
やがて備中高松城を攻めつつも、信長の動向を気にしていた秀吉は、光秀が反逆することに気づく。そしていざというとき、信長が、本能寺の下に作らせた地下通路で脱出するであろうことも悟った。そこで秀吉は、光秀より先に自分が信長にとどめをさそうと、前野将右衛門に命じて、地下通路をふさぐよう指示。これにより、本能寺の変で地下通路に逃げた信長はそこで死ぬ。
だが、その後信長の死体が通路にないのが発覚。どうやら織田家の菩提寺である阿弥陀寺にあるらしいことはわかったが、住職の清玉は渡してくれない。そんな中、秀吉は信長の葬儀を単独で挙行して自分が後継者であることを強烈にアピール。やがて柴田勝家も破り、家康とも和解し、天下を手中に収めつつあった。
秀吉の唯一の悩みは後継者がいないこと。数多くの側妾を持ちながら誰一人子をなさないのは秀吉に原因があることは明らかだった。
下巻はほとんど一貫して、秀吉の子作りの奮闘が描かれる。
やっと淀の方が男児を出産し鶴松となずけるが、これもあっけなく死んだ。そして後継者に指名した豊臣秀次も、秀頼が誕生するにおよんで自裁させる。そしていよいよ耄碌していく秀吉は、正妻のねねと、側室の京極竜子が最後の心の拠り所となった・・・。
<感想>
今回も当たり前だと思っていた歴史に、斬新な解釈が次々と打ち立てられた内容となっている(秀吉が藤原氏の流れを汲んでいると信じていた、とか、本能寺の地下通路の話は別として)。
面白いのは、淀の方が淀君と呼ばれているのは娼婦という侮蔑の意味が込められており、江戸時代にその呼び方が流行った話。
また、淀の方が生んだ二人の子が実は別の男との間に生まれた子であること。
家康の嫡子・信康は実は今川義元が築山殿に生ませた子であったため、信長が信康の切腹を家康に命じたのはむしろ家康にとって厄介払いができて好都合だったこと。などなど。
下巻での立花宗茂と秀吉とのやりとりも面白い。他にも蒲生氏郷の奥州転封の経緯や、家康に関東に転封させる経緯、五大老の席順にまつわる話など、どれも読んでいて楽しかった。