Y田下宿は、大学からは坂道を登りきった場所にあり
、大学への行きはいいけど帰りが大変だった。長い実習でヘトヘトになったあとの登り坂はきつい。しかし、、ウキヨちゃんのアパートは、私より更に遠くにあり、更には高台にあるという状況なので、ウキヨちゃんのアパートへ行く前にY田下宿で一休みしてから行く、ということもよくあった。当時はまさに、箸が転んでもおかしくて仕方ない年頃。ゲラゲラ笑いながら下宿の蛇腹式の扉を開けて中に入る。
と、、そういう時に限って何故かかなりの確率でY田バンバに出くわすのだ。「あら〜○原さん、おかえりなさい。今日はお友達も一緒ですね。今日はご飯はいりますか?」ウッ、🙄ヤバい、、今日もウキヨちゃんとこ行くのだ。、、。しおらしくうなだれ、小声で詫びる。「あのですねえ、今日はレポートを仕上げなければならず、友達のところに泊まります。」隣でウキヨちゃんもウンウン、と強く頷く。「あ、そうですか。じゃ○原さんの分は作らないです。」いや〜本当に申し訳ない。だが、これはまあ、仕方ないさ。ウキヨちゃんとこにはテレビもあるし、台所も広い。何より自由な空間がそこには広がっている。改めて思う、、わしもアパート暮らししたいよー。でも、確か母が、Y田下宿は2年契約だと言ってたよなあ、、来年もこのちょいと窮屈な下宿で過ごさねばならんのか、、( ´Д`)=3。まあ、住人は皆いいかたばかりだがね。予備校生は来年大学に入る確率が高いため、みな一年契約だという。そうか、、私とシロキさんだけが2年契約なのか。しかも、シロキさんは今年で2年目だから、ひゃー、わしだけかい、Y田に残るのは。
とりあえず、今は考えずにおこう。
話は変わるが、下宿の前にある細い道を挟んだ向かい側に、洋菓子屋があった。今となっては名前すら思い出せないが、とにかく小さな洋菓子やさんがあったのだ。自分ちで作って売ってる店だった記憶がある。滅多に買うことはなかったが、たまに母親が遊びに来たりすると、そこのケーキを買ってくれたのを覚えている。種類も少なくて、イチゴショート、モンブラン、チーズケーキ、シュークリーム、とオーソドックスなものが数種類。味は、、覚えていない。
ケーキ好きの私だが、なぜ隣のケーキ屋さんにあまり買いに行かなかったのか。、、それは、大学のすぐそばに、大きな喫茶店があり、そこのケーキセットを暇さえあれば食べていたからだ。下宿向かいのケーキ屋さんも、食べるスペースがあれば多分もっとお世話になったんだろうけれど、なあ。大学そばの喫茶店は、確か、杜の詩、だか、杜、という名前だった記憶がある。これは、杜の都、仙台、から取ったんだろうなあ。広瀬〜がわ〜流れる岸辺、あの人は〜帰らずー、、の、あの杜なのだよ。
下宿の二階から眺める風景は、当時は高層マンションなんかはあまりなかったし、なんか、いい感じだったよなあ、半分田舎で半分都会。数年後、仙台は劇的な変貌を遂げてゆくのでした。嬉し、寂し、といった感じかな。
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