『サピエンス全史』で人類の歴史を大胆に要約し、『ホモ・デウス』で人類の未来をかなり悲観的に描いてみせたノア・ハラリ。
今作では、『ホモ・デウス』で示された懸念を中心に、21の論点について、より詳細に分析してみせる。
日本での発売直後の昨年12月に購入していたが、読了まで時間がかかったのは、その間の個人的な諸事情もさることながら、内容の重さのせいもある。特に政治面の分析では、主要国の指導者がそろって信頼できない現状を考えると、暗澹たる気持ちにならざるを得ない。
それでも著者は、人々がすぐに行動を起こせば、事態をよいほうに動かせる可能性を否定せず、その方向性を歴史学者として丁寧に説明する。そこに知識人の責任を果たそうとする意思が明確に表われていることが、本書のセールスポイントだ。
読書の対象としてだけ評価すれば、本書は前2作に及ばない。しかし、作者の心情が最もよく現れているのもまた本書だと思う。この人の主張を、世界中がもっと重く受け止めてほしい。
今作では、『ホモ・デウス』で示された懸念を中心に、21の論点について、より詳細に分析してみせる。
日本での発売直後の昨年12月に購入していたが、読了まで時間がかかったのは、その間の個人的な諸事情もさることながら、内容の重さのせいもある。特に政治面の分析では、主要国の指導者がそろって信頼できない現状を考えると、暗澹たる気持ちにならざるを得ない。
それでも著者は、人々がすぐに行動を起こせば、事態をよいほうに動かせる可能性を否定せず、その方向性を歴史学者として丁寧に説明する。そこに知識人の責任を果たそうとする意思が明確に表われていることが、本書のセールスポイントだ。
読書の対象としてだけ評価すれば、本書は前2作に及ばない。しかし、作者の心情が最もよく現れているのもまた本書だと思う。この人の主張を、世界中がもっと重く受け止めてほしい。