goo blog サービス終了のお知らせ 

少し偏った読書日記

エッセイや軽い読み物、ミステリやSFなどエンタメ系、海外もの、科学系教養書、時代小説など、少し趣味の偏った読書日記です。

シンギュラリティ・トラップ

2021-03-06 08:00:00 | 読書ブログ
シンギュラリティ・トラップ(デニス・E・テイラー/ハヤカワ文庫)

久しぶりのSF色のハヤカワ文庫。この作者が『われらはレギオン』シリーズを書いているのは知っているが、まだ読んでいない。分厚い3巻に手を出すには、それなりの勢いが必要だ。

で、ノンシリーズの1冊を見つけて、試してみた。

冒頭から、一攫千金目当ての宇宙探索、そして、高度な地球外文明の遺物との遭遇と、フレデリック・ポールの『ゲイトウエイ』シリーズを彷彿とさせるような設定で始まり、その後も、いかにもSF的な道具立てが次々と出てくる。すべて列挙していくと、ネタバレのおそれが強くなるからやめておくが、この作者の独創というよりは、これまでのSFで使われてきたものが多い。

しかし、にもかかわらず次に何が起こるかを楽しみに、読ませ続ける力を持った作品だ。

タイトルの意味合いは、環境破壊、核戦争に続く、文明の滅亡理由だ。作者がタイトルに使っている以上、この程度の言及は大目にみてもらえるのではないか。

巻末の訳者あとがきをみると、この作品の第2作も構想されているらしい。どこまでこの作者に付き合うかは、自分でもまだ予測できない。