濱地健三郎の幽(かくれ)たる事件簿(有栖川有栖/角川書店)
推理小説の沼はあまりに深いので、深みに近づかないようにはしているが、ユーモア推理や警察小説など、浅めのところに足を踏み入れるのは避けがたいことだと思っている。
有栖川有栖は本格推理の人で、昨年、コロナ禍で身をすくめていた時期に、かなり重いものも含めて、この人の作品をむさぼるように読んでいた。その中に、わりと軽めの『濱地健三郎の霊(くしび)なる事件簿』という作品集があり、本作は、その第2弾、ということになる。私は基本的に、心霊ものとか怪奇ものは読まないことにしているから、この人の作品でなければ読まなかっただろう。
「心霊探偵」を名乗る主人公と、若い女性の助手が登場し、つてをたどって依頼される心霊現象を「解決」していく。心霊現象に見せかけて、実は、というネタあかしの趣向ではなく、本格的に、心霊現象を題材としている。霊的なものを感知し、交流できる能力を持つ探偵を主人公として、なおかつ、推理を発揮してどのような物語が成立するかを、作家は楽しんでいるように見える。
シリーズ2冊のタイトルから、「幽霊」という熟語が浮かび上がるのは作家の趣向だが、この探偵と助手の組み合わせを、これで終わりにするのはもったいない。3冊目は出るのか、そのときはどんなタイトルになるのか、読者としては気になるところ。
推理小説の沼はあまりに深いので、深みに近づかないようにはしているが、ユーモア推理や警察小説など、浅めのところに足を踏み入れるのは避けがたいことだと思っている。
有栖川有栖は本格推理の人で、昨年、コロナ禍で身をすくめていた時期に、かなり重いものも含めて、この人の作品をむさぼるように読んでいた。その中に、わりと軽めの『濱地健三郎の霊(くしび)なる事件簿』という作品集があり、本作は、その第2弾、ということになる。私は基本的に、心霊ものとか怪奇ものは読まないことにしているから、この人の作品でなければ読まなかっただろう。
「心霊探偵」を名乗る主人公と、若い女性の助手が登場し、つてをたどって依頼される心霊現象を「解決」していく。心霊現象に見せかけて、実は、というネタあかしの趣向ではなく、本格的に、心霊現象を題材としている。霊的なものを感知し、交流できる能力を持つ探偵を主人公として、なおかつ、推理を発揮してどのような物語が成立するかを、作家は楽しんでいるように見える。
シリーズ2冊のタイトルから、「幽霊」という熟語が浮かび上がるのは作家の趣向だが、この探偵と助手の組み合わせを、これで終わりにするのはもったいない。3冊目は出るのか、そのときはどんなタイトルになるのか、読者としては気になるところ。