少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

宇宙はどこまで行けるか

2022-07-16 07:00:00 | 読書ブログ
宇宙はどこまで行けるか ロケットエンジンの実力と未来(小泉宏之/中公新書)

はやぶさプロジェクトにかかわった研究者による、ロケットエンジンの解説書。

ロケットエンジンの仕組みから始まり、地球周回軌道、小惑星探査、内惑星探査、有人火星探査、外惑星探査と、より遠くへ行くためのロケット技術について解説する。終盤では、直近の恒星であるアルファ・ケンタウリへの旅行に必要な、未来の技術について論じている。

科学の最先端では、実験で検証できる範囲を超えて、宇宙の始まりや物質の根源が議論されるようになっているが、一方、宇宙開発の分野で、技術の進歩はどのような状況かを知りたくて、借りてみた本。発行は2018年9月と少し前だが、それほど内容が古くなっている感じでもないようだ。

ホーキング博士は、人間は宇宙に乗り出していくべきだ、と考えていた。「次の千年間のどこかの時点で、核戦争または環境の大変動により、地球が住めない場所になるのはほぼ避けられない」(『ビッグ・クエスチョン』より)

この本で描かれた技術の現状からみれば、恒星間旅行を可能にするロケットの開発は、はるかに遠そうだが、筆者は最後に、SF気分で、と断ったうえで、人類が天の川銀河に進出していく筋道を示している。

こういう本を読むと、本当に、侵略戦争などしている場合ではないと思う。