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少し偏った読書日記

エッセイや軽い読み物、ミステリやSFなどエンタメ系、海外もの、科学系教養書、時代小説など、少し趣味の偏った読書日記です。

星くずの殺人

2023-03-10 19:38:50 | 読書ブログ
星くずの殺人(桃野雑派/講談社)

宇宙ホテルを舞台とする連続殺人を扱うミステリ。

初見の作家さんだが、図書館の新刊書コーナーで見つけて、SF仕立てのミステリかなと思って借りてみた。

読み始めて2時間あまり。一度も本を手放すことなく読み終えてしまった。

まず、時代設定が絶妙。宇宙ホテルはまだ実現していないから、近未来ということになるが、格安設定で3千万円の宇宙旅行は、もう少しで何とかなりそうだから、SFという感じはあまりない。

殺人事件では、「誰が」と「いかにして」に加えて、動機(ホワイダニット)も重要な要素だが、その3つすべてにおいて、十分な趣向がこらされている。なぜ宇宙ホテルを舞台としたのかも、読み終えれば、その必然性に納得する。

ほかにも、型破りな登場人物など、おすすめポイントはあるが、多くは語らずに、印象的な末尾の文章だけ、引用させていただきたい。

「……地球、丸いわ。」