神々の宴(乾石智子/創元推理文庫)
乾石さんの「オーリエラントの魔導師たち」の短編集。
本屋で文庫の新刊を見つけた。図書館で毎回チェックしていたのに、こんな新刊出てたっけ?と思ったら、文庫オリジナル短編集、とのこと。
ファンタジーの短編集をあまりみかけないのは、作品独自の世界像を描くのに、それなりのボリュームが必要だからだろう。このシリーズの短編集は2冊目だと思うが、それが可能なのは、多くの作品群によって「オーリエラントの魔導師たち」の広大な歴史空間が構築されているから。
集録されているのは書下ろし2編を含む5作品。生きた時代も身分も性別も年齢も異なる魔導師たちの、それぞれに個性的な魔法が描かれている。この作者が描く魔導師に共通するのは、心の奥深くに闇を抱えていること。闇に飲まれることなく、強い意思で闇と共存することが、魔導師としての絶対条件。
表題作の主人公は、魔法を操るというよりは、神の加護を受けた魔導師。巻末に、コンスル帝国の神々について作者自身の説明があり、他の作品でも神々が描かれているので、これを表題作としたのは理解できるが、なぜか表紙に英語のタイトルが併記されていて、それには別の作品が使われている。(私としては、その作品が一番気に入っている。)
いずれにしても、久しぶりに独自のファンタジー世界を堪能できた作品。
なお、今後、書影は著作権法に抵触しないよう、「版元ドットコム」に掲載されている画像を使うことにします。
乾石さんの「オーリエラントの魔導師たち」の短編集。
本屋で文庫の新刊を見つけた。図書館で毎回チェックしていたのに、こんな新刊出てたっけ?と思ったら、文庫オリジナル短編集、とのこと。
ファンタジーの短編集をあまりみかけないのは、作品独自の世界像を描くのに、それなりのボリュームが必要だからだろう。このシリーズの短編集は2冊目だと思うが、それが可能なのは、多くの作品群によって「オーリエラントの魔導師たち」の広大な歴史空間が構築されているから。
集録されているのは書下ろし2編を含む5作品。生きた時代も身分も性別も年齢も異なる魔導師たちの、それぞれに個性的な魔法が描かれている。この作者が描く魔導師に共通するのは、心の奥深くに闇を抱えていること。闇に飲まれることなく、強い意思で闇と共存することが、魔導師としての絶対条件。
表題作の主人公は、魔法を操るというよりは、神の加護を受けた魔導師。巻末に、コンスル帝国の神々について作者自身の説明があり、他の作品でも神々が描かれているので、これを表題作としたのは理解できるが、なぜか表紙に英語のタイトルが併記されていて、それには別の作品が使われている。(私としては、その作品が一番気に入っている。)
いずれにしても、久しぶりに独自のファンタジー世界を堪能できた作品。
なお、今後、書影は著作権法に抵触しないよう、「版元ドットコム」に掲載されている画像を使うことにします。