IQ (ジョー・イデ/ハヤカワ・ミステリ文庫)
ロサンゼルスを舞台とする、「IQ」と呼ばれる探偵の物語。
冒頭、変質者に誘拐された少女を救出する派手なアクションからスタートする。
その後、猛犬に襲われたラッパーから依頼された犯人捜しと、主人公の過去の物語が並行して描かれる。
背表紙に「新たなシャーロック・ホームズ」という言葉があるが、「緻密な推理」というよりは、「複雑な性格の主人公と、絶妙の相棒」という意味合いかと思われる。
貧困と犯罪、そして「クールさ」に満ちた黒人コミュニティの描写が秀逸。犯人捜しだけでなく、「いかにして彼は探偵になったか」という物語であることが明らかになる。
末尾に、主人公が探偵になる契機となった事件の手がかりが描かれ、続編が暗示されている。(すでに邦訳・出版されている。)
拝見しているブログで紹介されていた本。ミステリファンの中でも好みが分かれそうだが、私は好きだ。