少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

かなりいいかげんな略歴

2024-09-20 15:47:01 | 読書ブログ
かなりいいかげんな略歴(佐藤正午/岩波現代文庫)

この人の作品は、2021年11月に『小説の読み書き』を紹介して以来。

「エッセイ・コレクションⅠ」とあり、これまでのエッセイを3冊にまとめて出版する企画の1冊目、のようだ。

という訳で、本作には、発売後、短期間で消えた初エッセイ集『私の犬まで愛してほしい』(もちろん未読)が、ほぼまるまる収められている、とのこと。

いくつかの感想。

『ありのすさび』、『象を洗う』、『豚を盗む』を読んだのがいつだったか、ブログ以前の読書日記を調べても確認できなかったが、今でも、強く印象に残ったエッセイといえば、この3作品を思い出す。その面白さを、久しぶりに味わうことができた。

デビュー直後から数年間のエッセイだから、若さゆえの未熟、気負い、勢いを感じる作品もあるが、それも含めて、この作者らしい味わいのある文章だった。

エッセイだって、所詮はフィクションだ、という開き直り。

もうひとつ、この作者に覚える共感には、年齢が近い、つまり生きてきた時代が重なる、という要因もあるのかもしれない。生徒に平気で暴力をふるう教師。まともに授業なんて受けていられない大学生活。などなど。

今でも、最高傑作とされる『鳩の撃退法』を読む予定はない。(仮に読んでも、ここでは紹介しないだろう。)