案山子の村の殺人(楠谷佑/東京創元社)
今年4月に『ルームメイトと謎解きを』を紹介したが、初見の作家さんだったので、他の作品も読みたいと思って見つけた一冊。
主人公は二人組の推理作家。ペンネームは作者と同じ「楠谷佑」。この設定は、エラリー・クイーンや有栖川有栖を想起させる。実際、一人称の「僕」は、ミステリオタクという設定。
二人は大学生で、同じ家に住む従兄弟同士。相棒がプロット担当、主人公が文章担当。作品中の推理も相棒が中心だから、主人公はワトソン役、というところか。
二人は取材のため、案山子だらけの村に出かけて、殺人事件に遭遇する。ボウガンを使った不可解な殺害方法。積雪による殺人現場と村全体の密室化。そして、解決編の前に提示される、作者から読者への挑戦状。
いかにも、な本格推理。ということで、本筋とは関係のない感想を少し。
かかしで有名な村は、徳島県に実在する。
架空の大学名が3つ出てくるが、どの大学かは、わりと簡単に推測できる。(どうでもいいことですが。)
作者からの挑戦状に対して、挑戦しようとは思わない。自分で謎解きするのではなく(実際、当たったことはない)、作中の謎解きを楽しむことにしているので、躊躇なく次のページをめくった。
厚めの本だが、気持ちよく読めた。「シリーズ第一弾」とあるので続編を楽しみにしたい。
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