少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

銀河の片隅で科学夜話

2021-04-17 07:00:00 | 読書ブログ
銀河の片隅で科学夜話(全卓樹/朝日出版社)

特殊な分野の専門家が書いたエッセーは、それなりに面白い。

が、「それなり」の域を超えて、非常に面白いことも多い。

この本は、物理学者が書いたエッセーです。物理学者のエッセーといえば、寺田虎彦を思い浮かべる人も多いと思うが、彼のは、科学者が書いたエッセーで、必ずしも科学に関するエッセーとは言えない。

で、この本は、物理学者が、科学に関するテーマを取り上げて書いたエッセー、という点で、日本ではあまり例がないかもしれない。

科学者が、科学について書いたエッセーとしては、ファインマンさんのシリーズとか、「科学の発見」を書いたワインバーグとかがあって、そういうのと比べるのは少し気の毒だとは思うが、現在、高知工科大学理論物理学教授のこの方も、エッセーの達人として評価される価値は十分にあると思う。

22のお話があって、そのうちの少なくともひとつは、あなたがこれまで聞いたことがない驚きがあると思う。そういうのを楽しみたい人には、他にはない貴重な本のはずだ。私にとってのそれは、「付和雷同の社会学」とか、「多数決の秘められた力」で、物理学者がこんな研究をしているのか、という意味で驚きだった。

たぶん、あまり評価されにくいこの本を、私としては、控えめに推奨します。


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