
“清吉そばや”店構えは完全に蕎麦屋である。朝五時からやっているということだったが、昨晩少し飲みすぎたせいで、お店に向かったのは朝7時半すぎ。入り口の引き戸は開け放たれているが、のれんがあるわけでもなく、営業中の看板もない。昨年店舗を改装したとのことだが、それまでは地元民口をそろえる汚さだったという。区画整理中だったにちがいない。道路の造成、区画整然とされた街並み、建物の建て替えラッシュがそれらを物語る。
清吉そばやの名物は“中華そば”であった。ラーメンではない、昔ながらの中華そばにちかいものである。卵麺のストレートに近いちぢれ麺。蕎麦屋のつゆに近い黒々とした鶏がらの効いた醤油スープ。味は濃い。秋田全体が味濃いめである。そして甘い。具はダシを取った後の食べられる部分を入れたであろう固く小さい鶏肉(醤油スープの中に長いあいだ入っていたことを物語るこれまた黒い肉)とほんの少しの生ネギとほんの少しの甘いメンマだけである。ほぼ麺とスープだけに近い。

昨晩お世話になったジャズバーの店主が散々けなしていただけに、案外旨いじゃないか!となったが、パンチの効いた味である。朝五時からお客が絶えないというのだから、どれだけ地元民に愛されているかがうかがえる。実際僕たちが入って行った後先にも絶えず人が出入りしていた。よく見るとホテルにおいてあるお店一覧の中にも清吉そばやの名前は入っていた。だが、開店は10時からとなっている。教えてもらわなければ体験できなかった有難い出会いである。
地元民若しくは地元に根差した企業さんからは、こうした貴重なお話をいただくことはままあることだ。僕らはそれに期待して旅に出たい。だからできるだけお店は個人店若しくは地元の人がおすすめするスポットを訪れるようにしている。それが旅の醍醐味ですね。
純粋な観光でないのが残念だが、これも天からのお示しと受け止めて、より改善した体で訪れたいものです。