“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

柔道の暴力的指導に関して

2013年02月08日 15時00分00秒 | 臼蔵の呟き
元中日の権藤コーチの指導に関する話です。時代の変化があり、過去許されても、現在は許されないことも沢山あります。時代の変化を受けて、常識も変化しています。教育や、スポーツに暴力が介入することを止めない限り、不幸なことが続くと思います。日本の中で許されても、世界の中では暴力的指導は許されませんし、オリンピック委員会は暴力を否定していることを理解すべきです。
コーチの仕事、選手を前進させること
 私の指導者としてのスタートは中日の2軍コーチだった。毎年入団してくる若い人たちをみていて再認識したのはプロ野球に入ってくるような選手は体格も運動センスも恵まれた、特別な才能の持ち主ばかりだということ。中学でも高校でも、誰に教わるわけでもなく速い球を投げたり、打球を遠くに飛ばしたりすることが出来ていた人だけが、プロへの入門を許されるのだ。
 どの世界でも頂点を極めるような人は自分で成長のヒントをみつけ、課題を克服できる。だから、プロでトップを狙おうという選手に教えてうまくなるやつはいない、というのだ。
 実際には自分自身の才能に気付かなかったり、失敗を重ねて自分の長所を忘れてしまうなどの理由で伸び悩むケースが少なくない。そこでコーチの出番となるわけだが、一番大事なのは選手に自信を回復させ、前向きに進む勇気を持ってもらうこと。それがコーチの一番の仕事だと思っている。
褒めてこそ選手は伸びる
 昔、マラソンの渋井陽子選手らを指導する鈴木秀夫監督の話を読んだとき、わが意を得たり、と思ったものだった。
 褒めて育てるのが信条という鈴木さんはミーティングをしない。力んでゲキを飛ばすこともないという。駅伝のゼッケンを渡すときも、とくに訓示はしない。「練習で全部教えているから、特にいうことはない」というのだ。練習ではこまごました指導をしているのかもしれないが、いざ選手を戦いの舞台にあげるにあたっては任せるしかない。私もまさに同じような考えで選手と向き合っていた。
 ちなみに鈴木さんは高橋尚子選手らを育てた小出義雄監督の教え子であり、小出さんもまたそういう指導者だったのではないだろうか。
 体罰を与えた方が伸びるか、褒めた方が伸びるか。これはもう褒めた方がいいに決まっている。それが私の40年あまりの指導経験による結論だ。
 退任した柔道女子の園田隆二監督にとって指導とは「教えてうまくする」のが全てだったのではないか。一般的にはそれが当たり前だし「教えてうまくなるやつはいない」といっても、恐らく何を言っているのか、理解してもらえないだろう。
 「教えてうまくなるやつはいない」は言い方としては極端だけれども、指導者のみんながこういう気持ちのかけらでいいから、持っていた方がいいのではないか。それが指導者としての心のゆとりにつながる。プレーするのは監督でもコーチでもなく選手だ。いくら手取り足取りしても、マウンドに上がった投手がいい球を投げてくれなければ駄目。指導者が自分の無力と、教えるということのむなしさを自覚したときに、選手を尊重する気持ちが生まれてくる。
「やるのは選手」の割り切り必要
 プロ野球と同様、柔道の日本代表に選ばれてくるような選手はいずれもたぐいまれな才能を持っている人たちに違いない。同好会レベルの選手ならいざ知らず、金メダルを取るような選手は放っておいても自分に甘えは許さないはずだ。金メダルを取る人は殴っても殴らなくても取るだろうし、その器でない人は殴っても殴らなくてもメダルを取れないのだ。
 柔道というお家芸を担う身として「是が非でも結果を出さなくては」と思うのはわかるし、その重圧は並大抵ではないだろう。負けても次があるプロ野球と、4年に一度の舞台で1回負けたらおしまいという世界を一緒にするなと言われれば、その通りだ。
 それでもなお指導者は「しょせん、やるのは選手」という割り切ったものを、心のどこかにもっていないといけないと思う。
 「そういう権藤さんは体罰をしなかったのか」というお尋ねも当然出てくるだろう。一回もしなかった、とは言わない。
 1970年代に中日に高校からドラフト3位で入団した青山久人という投手がいた。バントの練習で失敗してもへらへらしていたのをみて、おしりに蹴りを入れたことがあった。
 どんな理由があろうとも、そのような行為は許されない。ただ、コーチであれば褒めるばかりでなく、叱らなければいけないときも出てくる。
一番の長所、叱ってはいけない
 叱るときに注意しないといけないのは、その人物の本質に関わる部分、一番の長所に関わる部分に触ってはいけない、ということだ。
 私の仕事は投手を育てることだが「投球」という本筋に関わるところでガミガミ言ったことはほとんどない。青山もバントという“本業”ではないところで叱った。
 自分はここで勝負する、それで生きていくしかないという核心的な部分で“駄目だし”をされたらどうだろう。スポーツの世界に限らず、自分のすべてが否定された気持ちになるのではないだろうか。負けることによって、一番悔しく焦っているのは当の本人だ。だから、そこを叱るときは本当に慎重にしないと選手の傷口に塩をすり込み、萎縮させるだけの結果に終わってしまう。
 柔道女子のチーム内で、そういうことが起こってしまっていたのではないだろうか。園田前監督もその手腕と情熱を見込まれて起用されていたはずだ。日本一のコーチとして、その地位についていたのだろう。それだけに残念だし、組織運営の難しさを痛感させられる。
体罰というと、鉄拳で知られた西本幸雄さんを思い出す。阪急、近鉄を率いた名将だ。今後は体罰を加えるような監督は何度優勝したところで、名将と言われることはないだろうから、あくまで「そういう時代もあった」ということとして書いておく。
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余計なことを言ったな!選手を恫喝

2013年02月08日 11時00分00秒 | 臼蔵の呟き
今回の柔道連盟による全日本女子監督などによる暴力事件の真相が明らかになってきています。この経過を見ると、選手側からの訴えがあり、その調査、改善対策があいまいで、かつ、おざなりであったことによりJCOへの訴えになったことが分かります。本来であれば、組織内できちんとした調査、改善対策が打たれれば、このような経過は踏まなかったはずです。

柔道連盟だけではありませんが、組織内での自浄能力が働かない。身内の事件、事故を隠すことが常態化した結果、「暴力一掃」の徹底があいまいにされ、当事者の反省、総括があいまいにされることになったのではないかと思います。連盟の調査、改善策が不十分だった結果、現場で暴力的な指導を受けた選手の思いが尊重されず、現場からの訴えにより、監督などの恫喝が追加されことで事態が更に悪化しました。これらは内向きな組織に多い現象です。

全ての監督、コーチが暴力的な指導を行っていたわけではなくても、組織全体が社会から見られてしまうことは決してよいことではありません。また、まじめに取り組んでいる監督、コーチ、指導者から見れば迷惑な話でもあります。体罰、暴力は法律に基づき禁止されるべきであり、動力的指導だから許される、許容されるなどの議論は有り得ないことです。柔道連盟全体で、今回の問題を隠蔽するのではなく、事実調査、問題点の開示、責任の明示、当事者への謝罪と改善策の提起、情報の開示を徹底するように望みたいものです。

<余計なことを言ったな!選手を恫喝>

 女子選手への暴力行為で辞任した園田隆二・全日本女子前監督(39)が、全日本柔道連盟(全柔連)の調査に暴行を認めた後の昨年10月下旬、海外遠征先で、最初に被害を訴えた選手を「余計なことを言いふらしているらしいな」などと、どう喝していたことが5日、明らかになった。
 15人連名による集団告発にはこうした背景があった。
 全柔連などによると、昨年9月下旬、1選手が実名で園田前監督の暴力行為を通報し、10月上旬に連盟幹部が事情を聞いた。前監督は大筋で通報内容を認めたが、10月下旬にブラジルで行われた国際大会に遠征した際、この選手を口頭で厳しく責め立てたという。
 以前から園田前監督ら強化体制に不満を持っていた選手たちは、この話を伝え聞き、謝罪もせずに高圧的な態度を取る前監督への怒りを増幅させたという。全柔連は11月10日までに前監督に始末書を出させて沈静化を図ったが収まらず、選手たちは翌11日付で告発文書を作り、日本オリンピック委員会(JOC)に提出した。
 選手側の代理人弁護士は、「現在、JOCなどが調査中なので詳細は控えるが、一連の流れについてもしっかり調べてもらえると思っている」としている。
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「仮の町住みたくない…」 意向調査、若年層に敬遠傾向

2013年02月08日 06時00分00秒 | 臼蔵の呟き
放射能汚染で、警戒区域自治体は仮の町構想が提示されていますが、当事者へのアンケートと調査では、「仮の町に住みたくない」が多数になる結果がでました。この問題は自治体にとって深刻な問題です。

自治体としての機能が回復できない。元住民がまとまる場が無くなり、避難者は近隣、全国も含めてばらばらに離散してしまう危険性が非常に強くなっていることを示しています。福島第一原発事故が起きることで、立地自治体は住民が帰還できず、近隣に多くの住民が避難、移住しています。その結果、自治体としての機能崩壊、まとまりが無くなってしまっていることを示しています。

2つ目の問題は、年齢的に若い層が帰還したくない意向をより強く持っていることを示しています。若い層は放射能による健康被害を受けたくないと考えています。この考え方は「正しい」認識です。今後何十年と生きるわけであり、その期間中放射性物質に汚染された地域から遠ざかりたいと思うことは自然であり、当然のことです。

故郷への帰還が希望できない。そのことへの対応が求められるのだと思います。可能な限りの地域除染、除染による線量の低下を実現すべきです。それでも避難したいと望む避難者への支援策を継続することしか対策は有り得ないことと思います。事故を起こしたのは東京電力であり、安全対策の不足を容認してきた自公政権、民主党の事故責任をしっかり問うべきです。そして、避難者全員への補償策を確立し、継続的に支援を行うべきです。

<「仮の町住みたくない…」 復興庁意向調査、若年層に敬遠傾向>

 福島第1原発事故の避難者で、自治体ごとにまとまって生活拠点をつくる「仮の町」への移住希望は少数派-。そんな状況が5日、復興庁がまとめた福島県双葉町、飯舘村の住民意向調査結果で浮かび上がった。
 双葉町の調査では「仮の町」ができた場合、「住むつもりはない」が42.8%で、「移り住みたい」の6.7%を大きく上回った。設問では「仮の町」の具体像は示されず、最も多いのは「具体的な姿が示されれば検討したい」の45.5%だった。
 移住しない理由(複数回答)は「いつできるか分からない」が32.1%で最多。「町民が一緒に住むことに魅力を感じない」と答えた人も24.2%いた。年代別では10~20代の54.4%、30代の52.8%が「住むつもりはない」と答え、若年層の敬遠傾向が強かった。
 飯舘村の調査では、放射線量が比較的低い村内の地域につくる「帰村のための拠点」への移住希望を聞いた。「希望しない」が78.3%で、「希望する」の14.2%に大差をつけた。20代以下では「希望する」はゼロだった。
 調査は昨年11月~ことし1月に実施。対象は双葉町が中学生以上の町民6293人で回収率59%、飯舘村は全世帯2985戸で回収率51%だった。
 諸橋省明 福島復興局長は「住まいや仕事、放射線量などのさまざまな事情から将来を決めかねている。生活上の不安や行政需要にしっかり対応したい」と話した。
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