憲法は、時に政権によって都合よく、たびたび書き換えるような正確の基本法ではありません。日本社会の基本構造を律する根幹の法律です。この社説で言うように、昨年12月の衆議院選挙で3分の2を確保し、今年の参議院選挙で政権与党が3分の2を占め、改憲手続きに入りたい。これが自民党、安倍内閣の戦略です。
日本が中国・アジア侵略戦争後、曲がりなりにも発展でき、他国を侵略し、日本の軍隊組織である自衛隊が海外展開せず、他国の人民を殺害することが無かったその原動力は現行憲法があったからです。
中国、インドが世界人口三分の一を占めるアジアにおいて、日本が政治的、経済的に生きてゆこうとする限り、中国、韓国、インドネシア、インドなどと戦争せず、内政不干渉、平和的な関係を築くことが不可欠です。その根拠となる憲法を改訂して、日本がアジアにおいて軍事国家として台頭し、嫌われることに意味があるかどうかを考えたら分かりそうなものです。時代が進み、明治、大正、昭和の前期のような軍事力で他国を威圧し、海外進出するなどが世界的に通用するはずがありません。自民党、安倍氏の時代錯誤にはただただ驚くばかりです。
<憲法96条/統治者には拘束が必要だ>河北社説
スポーツで、試合のルールを自分に有利なように変更することは許されない。
例えば野球で、貧打に悩むチームが「三振」を「四振」に変えてくれと相手チームに持ち掛けても、通るはずがなかろう。
憲法改正手続きをめぐって、安倍晋三首相がルール変更の必要性を繰り返し主張している。理由は「ハードルが高すぎる」。
最高権力者が簡単に緩和を口にするようでは、専横とのそしりは免れない。何より、立憲主義に対する理解不足を疑われても仕方がない。
首相が改憲を志向することの是非は、あえて問わない。だが、衆院選大勝の余勢を駆ってルール変更に動くことは無謀であり、国民的理解も得られない。
議論になっているのは、憲法改正手続きについて規定している96条。改憲には衆参両院とも総員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、承認には「国民投票で過半数の賛成が必要」としている。
首相はかねて96条を問題視してきた。衆院選前には「たった3分の1を超える国会議員の反対で、発議できないのはおかしい。そういう(改憲に消極的な)横柄な議員には退場してもらう選挙を行うべきだ」と述べた。
発議に「3分の2以上」という特別多数を求めている点で、日本国憲法は「硬性憲法」といわれる。自民党など改憲肯定派は、これを過半数という単純多数に引き下げることで、改憲に向けた環境整備を図ろうとしている。「軟性憲法」化だ。
仙台市出身の憲法学者、樋口陽一東大名誉教授は「憲法は権力を持っている人たちを縛り、持たない人の自由を確保するのが主眼」と述べている。
統治者を拘束する国の最高法規であるからこそ、発議要件は厳格に。これが「硬性」に込められたメッセージだろう。
発議要件を過半数とした場合、確かに発議は容易になる。だが、今度は政権交代があるたびに与党の意向でいとも簡単に改廃できるようになる。
「不磨」と同様、「朝令暮改」も憲法を害する行為であることを指摘しておきたい。
首相にとってのジレンマは96条を変えるにしても、差し当たりは現行の規定に沿って事を進めなければならないことだ。つまり、衆参で3分の2以上の改憲勢力を確保する必要がある。
自民、公明両党は衆院で325議席を獲得。数字上は可能だが、公明党は発議要件の緩和に慎重だ。このため、改憲に前向きな日本維新の会などとの連携を視野に入れる。
焦点は参院だ。自民党はことし夏の参院選で「ねじれ状態」の解消はもちろんのこと、民主党内にも一定数いる憲法改正派を糾合して、改憲を政治日程に載せる戦略を描いている。
であるなら、参院選を「憲法とは何か」という根底的な問いをめぐる国民的議論の場としなければならない。
「横柄な議員」とは誰のことを言うのか、見極めるのは私たち国民である。
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日本が中国・アジア侵略戦争後、曲がりなりにも発展でき、他国を侵略し、日本の軍隊組織である自衛隊が海外展開せず、他国の人民を殺害することが無かったその原動力は現行憲法があったからです。
中国、インドが世界人口三分の一を占めるアジアにおいて、日本が政治的、経済的に生きてゆこうとする限り、中国、韓国、インドネシア、インドなどと戦争せず、内政不干渉、平和的な関係を築くことが不可欠です。その根拠となる憲法を改訂して、日本がアジアにおいて軍事国家として台頭し、嫌われることに意味があるかどうかを考えたら分かりそうなものです。時代が進み、明治、大正、昭和の前期のような軍事力で他国を威圧し、海外進出するなどが世界的に通用するはずがありません。自民党、安倍氏の時代錯誤にはただただ驚くばかりです。
<憲法96条/統治者には拘束が必要だ>河北社説
スポーツで、試合のルールを自分に有利なように変更することは許されない。
例えば野球で、貧打に悩むチームが「三振」を「四振」に変えてくれと相手チームに持ち掛けても、通るはずがなかろう。
憲法改正手続きをめぐって、安倍晋三首相がルール変更の必要性を繰り返し主張している。理由は「ハードルが高すぎる」。
最高権力者が簡単に緩和を口にするようでは、専横とのそしりは免れない。何より、立憲主義に対する理解不足を疑われても仕方がない。
首相が改憲を志向することの是非は、あえて問わない。だが、衆院選大勝の余勢を駆ってルール変更に動くことは無謀であり、国民的理解も得られない。
議論になっているのは、憲法改正手続きについて規定している96条。改憲には衆参両院とも総員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、承認には「国民投票で過半数の賛成が必要」としている。
首相はかねて96条を問題視してきた。衆院選前には「たった3分の1を超える国会議員の反対で、発議できないのはおかしい。そういう(改憲に消極的な)横柄な議員には退場してもらう選挙を行うべきだ」と述べた。
発議に「3分の2以上」という特別多数を求めている点で、日本国憲法は「硬性憲法」といわれる。自民党など改憲肯定派は、これを過半数という単純多数に引き下げることで、改憲に向けた環境整備を図ろうとしている。「軟性憲法」化だ。
仙台市出身の憲法学者、樋口陽一東大名誉教授は「憲法は権力を持っている人たちを縛り、持たない人の自由を確保するのが主眼」と述べている。
統治者を拘束する国の最高法規であるからこそ、発議要件は厳格に。これが「硬性」に込められたメッセージだろう。
発議要件を過半数とした場合、確かに発議は容易になる。だが、今度は政権交代があるたびに与党の意向でいとも簡単に改廃できるようになる。
「不磨」と同様、「朝令暮改」も憲法を害する行為であることを指摘しておきたい。
首相にとってのジレンマは96条を変えるにしても、差し当たりは現行の規定に沿って事を進めなければならないことだ。つまり、衆参で3分の2以上の改憲勢力を確保する必要がある。
自民、公明両党は衆院で325議席を獲得。数字上は可能だが、公明党は発議要件の緩和に慎重だ。このため、改憲に前向きな日本維新の会などとの連携を視野に入れる。
焦点は参院だ。自民党はことし夏の参院選で「ねじれ状態」の解消はもちろんのこと、民主党内にも一定数いる憲法改正派を糾合して、改憲を政治日程に載せる戦略を描いている。
であるなら、参院選を「憲法とは何か」という根底的な問いをめぐる国民的議論の場としなければならない。
「横柄な議員」とは誰のことを言うのか、見極めるのは私たち国民である。
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