“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

双葉町議会再編了承 帰還困難人口 9割

2013年04月24日 11時12分43秒 | 臼蔵の呟き

双葉町議会再編了承 帰還困難人口 9割

札幌は曇りです。気温は比較的高く10度前後あります。家の裏の雪も今日の雨ですべて消えるところまで減りました。畑(猫の額程)には三つ葉が出てきました。

福島第一原発事故で2年1ケ月が過ぎても帰還できない。自分のこととして考えると気が狂いそうな話です。セシウムの半減期が30年ですから当然といえば当然の見解かもしれませんが、地域住民にとっては「安全神話」「原発は絶対大丈夫」と自民党政権、元原子力保安院、東京電力、福島県知事・県庁、自治体の当時の幹部からの説明を受け、信じて立地させた挙句の事故と、帰還困難の事態です。だまさした政権、官僚、東京電力経営幹部、県知事、当時の福島県自民党出身議員の責任を追及すべきです。渡部恒三元民主党議員(自民党議員でもあった)なども誘致賛成を積極的に進めた議員といわれています。

それにしても除染しても簡単に、すべての地区が居住可能地域になるかどうか分かりません。東京電力、自民党政権(積極的に進めた政治的責任)はあらゆる責任を感じ、とるべきです。彼らが金銭面で責任をとってもその兆円単位の資金はすべて税金、電気料金に上乗せされる理不尽さも正し、追求するべきです。総括原価方式をやめさせることも事故を起こさない、原発を作らせない闘いとしては重要です。

<双葉町議会再編了承 帰還困難人口 9割>

 福島第1原発事故の避難区域の見直しで、福島県双葉町議会は23日、町を避難指示解除準備区域(年間被ばく線量20ミリシーベルト以下)と帰還困難区域(50ミリシーベルト超)に再編する政府案を了承した。町役場移転先の埼玉県加須市での全員協議会で決めた。
 案によると、解除準備区域は両竹、中野、中浜の3地区で対象住民は約250人。帰還困難区域は3地区を除く17地区で約6270人が住民登録しており、町人口の9割以上に上る。解除準備区域は立ち入りが可能で、帰還困難区域は立ち入りできない。
 町は議会の了承を受け、損害賠償基準の引き上げなどを政府に求める7項目の要望事項を案に付記して受け入れる。
 伊沢史朗町長は「政府は要望に迅速に対応してほしい」と話した。


宮城水産特区認定に反対

2013年04月24日 06時06分44秒 | 蜂助の呟き

こんにちは、蜂助です。

今日は全国的に雨やぐずついた天気になりそうです。

復興庁が4月23日、沿岸漁業権を民間企業に開放するため宮城県が申請していた水産業復興特区の推進計画を認定しました。私も臼蔵さんも水産業復興特区について反対の記述をしてきましたので、再度触れることはしません。

私が気に入っている学者の一人で、東京海洋大学の濱田武士さんという人のことを紹介しているブログがありましたので紹介します。

http://raizo.daa.jp/archives/2013/0412_1920.php

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いきつけの幸福書房は、小さいながらもみすず書房の本が充実しています。みすずの本Webサイトで新刊をチェックしていたら、3月の新刊にこの本がありました。これはただの震災本とは違うなという予感の元、せっかくなら幸福書房で買うべく事前予約。さすが幸福書房、みすずの新刊は一通り入るはず…とのことで発売早々に入手しました。ただちょっと読むのに時間がかかった…。

この濱田先生は、東京海洋大学の水産経済学の先生で、もちろん震災前から三陸沿岸〜福島沿岸まで、東北の漁場をフィールドとして調査されてきた方です。

大学の先生の著書だけあって、専門用語(ただし漁業関連)や数値データなども多く、さらさら読めるタイプの本ではありません。夜、寝る前に読むとすぐ眠たくなってしまうぐらいだったのですが、難しいのだけれど不思議と面白いのです。知らないことがたくさん書かれていたからでしょうか。

まず前書きの前に「漁法の説明」あり。まき網って巻網ではなく旋網って書くのですね。漁法の違いがわからないと本書も理解できない…と。

戦後の三陸を中心とした東北の漁業の歴史をおさらいしていくところから始まりますが、もうそもそもここがわかっておりませんでした。漁業は常にその時のトレンドのような流れがあり、常に変化していたのです。まあ単純にいえば、養殖も含めて、いわばよりもうかる方向に、漁法や対象魚種がその時々で変化しています。そういえばそうか…とは思いましたがこれは意外でした。

そして震災被害と復興のお話。ここでは、県別に取り組みが紹介されていましたが、特に岩手県と宮城県の取り組みの違いにがく然としました。隣の芝生は青いといいましょうか、宮城県人としては岩手がうらやましい。岩手は漁業に対する取り組みが、現場主義でしっかりしている印象です。県の政策によっても格差は大きくなるということです。これは、宮城県の三陸地方が、市町村合併や漁協の大合併により。対応力が相対的に低いことも原因になっているそうです。ううむ。しかし展望のいまだみえない福島県よりはまだ良いのかなぁ。

そして食料基地構想と水産復興特区の話。個人的には、特区申請された桃浦は私の地元石巻のが舞台となっており、ちょっと気になるニュースの1つ。桃浦も小さな浜なので、漁協もやらせてあげなよ…と単純に考えていましたが、県のやりかたも拙速すぎたようですね。やはりある程度事前に調整しておけばここまでもめなかったのでは。ちなみに濱田先生は、これは企業参入という「自由化」を推し進めるかのような単純な問題ではなく、漁業の様々な問題がからんでいるので、慎重に進めるべきであるという主張。

漁協の話しもたっぷり出てきます。なんと宮城県には漁協が5つしかないということにびっくり。いつのまに…と思ったら2007年に31の組合が大合併したのだそうです。それじゃあ浜ごとにどうこうなんて言っていられないのもわかります。漁場調整や地域での共同活動、漁業資源を守るための活動などの大切な役割も担っている漁協ですが、「特区」に対抗するためには「協同組合」の本来の姿を取り戻す必要がありそうです。

漁業の本としてはめずらしく、メディア災害についても取り上げています。先の「特区」にからんだ漁業権開放論については、一方的にマスコミにやられている漁協の擁護も。漁業権を開放するということは、その後は県が責任を持つべきであるのに、そのあたりがなんとなくグレーなんですよね。

という具合に、漁業の盛んな地方に育った(いや、よくよく考えれば家業も漁業関係だった…)者としても、知らないことばかりで不勉強を大いに反省。そして大いに学ばせていただきました。いわば大学で先生のゼミをみっちり受けたような読後感でありました。

そもそも三陸沿岸の町は、漁業があるからこそ人が住み着いた地がほとんど。著者の言う通り、集落の再生と水産加工業も含めた漁業の再生は表裏一体です。本書は、漁業という自然を相手にした生業を「経済・文化・環境」を再統合することで、漁業における「人格」が復興し、地域も再生するという言葉で締めくくられています。関連産業も含めて漁業の再生は最も大きなポイントです。元通りに復興するというよりは、これを機に新しいスタイルでリスタートできるといいですね。漁業はこれまでもそうやって変化して来たのですから。

※こちらは先日の日曜日に掲載された朝日新聞の書評から。
書評:漁業と震災 [著]濱田武士 - 萱野稔人(津田塾大学准教授・哲学) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

私が書くと、どうしても読書感想文なんだよなぁ。少し恥ずかしいですが、たぶん私の今年のベスト10に入る本だと思いますので、ご紹介させていただきました。

書評:漁業と震災・・・のコピー

■「上から目線」の改革論を批判

 もしかしたら漁業ほど、東日本大震災後のさまざまな復興論にふりまわされた産業はないかもしれない。たしかに日本の漁業は、大震災によって壊滅的な被害を受けるまえから衰退していた。何よりも担い手の高齢化がとまらない。なかなか漁業だけでは食えず、後継者が育たないからだ。漁業組合も停滞し、いまや補助金なしではなりたたない。水産資源の減少も深刻だ。こうした現状から、漁業は高齢化社会の象徴であり、大震災を契機に再生すべき典型的な産業とされたのである。
 そうした復興論のなかには、たとえば漁獲高をより厳しく制限することで漁業の構造転換を図ろうという提案もある。漁獲高を厳しく制限すれば、漁業者は市場で高値のつく大きな魚を選別して獲(と)るようになり、また乱獲も防げるため水産資源も保全されるからだ。私もかつて本紙で同様の提言をしたことがある。
 しかし筆者はこうした復興論を、現場を無視した「上から目線」の改革論にすぎないと批判する。筆者は言う。日本の漁業はこれまでも漁業者間の利害衝突を繰り返しながら漁獲制限のルールを作り上げてきたし、そうした内発性を無視して外から漁獲枠を強制しても実効性をもちえない。大型魚の乱獲も始まるだろう。そもそも水産資源の減少の原因は必ずしも漁獲の行き過ぎにあるとはいえない。
 筆者の批判は決して漁業の問題だけにとどまらない射程をもつ。事実、今の日本には現状分析をなおざりにし、複雑に絡み合った原因を単純化し、一挙に事態を改善してくれる魔法の解決策をもとめる改革論があふれているからだ。そうした改革論は事態を悪化させることはあれ改善することはない。問題をその複雑さのまま認識する力、そしてその複雑さを解きほぐしながら粘り強く解決策を模索していく思考力。漁業の問題をつうじて本書はそれを私たちに要求している。
    ◇
 みすず書房・3150円/はまだ・たけし 69年生まれ。東京海洋大准教授(漁業経済学)。『伝統的和船の経済』

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特区構想

2013年04月23日 10時59分10秒 | 臼蔵の呟き

特区とは規制緩和、企業にとっての秩序破壊のことをさしています。昨夜のニュースで東京都が、二十四時間路線バスを稼動させる。その特区を作ると都知事が言明していました。その根拠は、東京、首都は世界の東京であり、24時間、世界は経済活動を行っているのだから、その経済活動に応じた対応が首都、東京には必要との発想です。本当でしょうか??

バカなことをいうな。その犠牲者は運転手であり、国民がその任を負うことになります。東京都知事が深夜運転を行うわけではありません。まして、世界の市場とやり取りする営業マンは都民です。これらの働く労働者は深夜労働するようにと「けしかける」政治的な進言をしています。東京都知事、政権の規制緩和競争はばかげているのと、気が狂っているとしか思えない話です。

企業が世界で一番活動しやすい国とは規制緩和、企業にとっての秩序破壊でしかありません。このような自治体指導者を批判し、彼らの策動をとめさせる必要があります。宮城県は震災復興策を企業のシンクタンクに丸投げするようなやり方を改めるべきです。震災被害地区の過疎化、産業の衰退は特区で解決するようなものではありません。

<水産特区>

復興庁は22日、沿岸漁業権を民間企業に開放するため宮城県が申請していた水産業復興特区の推進計画を23日に認定する、と発表した。宮城県石巻市桃浦地区の漁業者と水産卸の仙台水産(仙台市)が出資する「桃浦かき生産者合同会社」への適用に向け、国側の手続きは完了する見通しとなった。県は9月の特区実現に向け作業を急ぐ。
 宮城復興局によると、計画の審査では(1)地区養殖業者だけでは再開困難(2)地元漁業者のなりわい維持などに効果が見込める(3)周辺漁業者やカキ養殖以外の水面利用に支障がない-との要件を満たすことを確認。「復興特区基本方針に適合する」と判断した。
 合同会社が2016年度までに生産高を震災前より5割向上させ、40人の雇用を創出することを「桃浦地区の復興の円滑な推進と活力再生に寄与する」と評価。地元の漁業者と企業の協力については「いままでの生産の経験に、経営的基礎が補完される。社会的信用も問題ない」と指摘した。
 水産特区は県が10日、国に認定を申請。優先的に漁業権を与えられてきた宮城県漁協は強く反発し、国に慎重対応を求めてきた。宮城復興局は「昨秋から県と打ち合わせを重ねており、申請13日後の認定も特段早いわけではない」と説明する。
 認定を受ければ、県は漁業権の免許が一斉更新される9月以降の漁場計画(漁場区割り)を5月末までに策定。6月に免許申請を受け付け始め、8月末までに漁業権を付与する事業者を決める。


解雇規制緩和 働く側の痛み

2013年04月23日 06時43分50秒 | 臼蔵の呟き

札幌は快晴です。予報では今日の気温は16度まで上がるそうです。今年一番の気温です。

安倍、自民党政権はこの間、彼らがやりたいことを矢継ぎ早(国民が要求していることではなく、国民生活を悪化させる課題ばかり)に提起しています。もっとも彼らが目指す、改憲、右翼的な政治課題はオブラートに包みながら、参議院選挙までは隠す戦術も成功しているように見えます。表面上は右翼的な政治課題を隠しながら、景気低迷を改善する策を先の展望を考えることなく場当たり的に、次々に提起しています。日銀による金融緩和は、「超」がつく金融緩和です。この状況が続けば必ずインフレがおき経済の混乱は容易に予測がつきます。賃金が上がらず、物価だけが上がれば、国民の大半は生活ができなくなり、自殺の増加、生活保護世帯の増加、低所得者の激増が結果として起きてきます。歓迎するのは大手輸出企業、高額所得者、富裕層だけです。これらが現実化すれば、路上生活者の増加、自殺者の増加、犯罪が激増し、治安が非常に悪くなるはずです。この点でもアメリカに似た状況が生まれるはずです。

経団連、大手企業は、人口減少で国内需要が減少し、売り上げ確保、工場の稼働率を上げるために、輸出に頼ろうとしています。そして、大量生産、大量消費型産業は、中国、インドなどの安い労働力、巨大な市場を目指して、工場の海外移転を急速に進めています。そのときに一番厄介な、国内労働者の解雇問題に経団連、大手企業は解雇規制の実質的撤廃を導入しようとしています。安倍、自民党政権は「世界で一番、企業が活動しやすい国を実現する」として策動を開始しています。今でも、やりたい放題の大手企業の非正規労働拡大、派遣労働への依拠、ロックアウト解雇、ベースアップの放棄などをさらに極限まで進めようとしています。このようなことを許したら、地域崩壊、生活保護者の拡大、税収の更なる落ち込みなどで自治体、地方都市は軒並み立ち行かなくなります。企業の社会的責任を果たさせることが非常に重要です。

安倍、自民党政権が目指す政治課題、政策は、国民にとっての不幸だけをもたらすものになっています。自民党型政治とはアメリカの言いなり(安全保障、沖縄基地問題、TPP交渉、原子力発電)、大手企業の活動自由保障(規制緩和、低賃金労働の拡大、解雇の規制撤廃、法人税率の引き下げ、派遣労働の無制限拡大、寡占化)、国民の権利縮小と規制(天皇の元首化、自衛隊の国軍化、徴兵制度の復活、基本的人権の形骸化)がその本質であることを示しています。

景気がよくなるかもしれないとの安倍の似非宣伝、マスコミの宣伝に浮かれている最中に彼らの思惑はどんどん進んでいます。このような彼らのたくらみを暴露し、押しとどめることが非常に重要な局面になっているように思います。足元の自分たちの生活は、どんどん悪化してゆきます。その国民生活改善策と、安倍、自民党、経団連、大手企業が進める政策との矛盾を理解する、深く考えることが必要ではないかと思います。札幌北ハローワークには失業者があふれています。これが現実です。

<解雇規制緩和 働く側の痛みが大きい>

 企業にとって都合のよい理屈だけが先行しているのではないか。

 解雇規制の緩和に向けて、政府の産業競争力会議や規制改革会議で進んでいる議論のことだ。衰退産業から成長産業に人材を移動しやすくし、経済の活性化につなげる狙いがあるという。安倍晋三政権が6月に取りまとめる成長戦略に反映させたい考えだ。

 安易な解雇を招くようなルールの変更は許されない。

 再就職を支援する職業訓練の態勢や転職市場の整備もまだ不十分だ。このままでは労働者の切り捨てにつながる恐れがある。雇用の不安定化は消費者心理を冷え込ませ、かえって景気に悪影響を与えかねない。労働者の不利益にならない雇用のあり方を探るべきだ。

 産業競争力会議で財界人から出された提言は、解雇自由の原則を法律に明記すべきだとしている。労働契約法は解雇の条件として客観的、合理的な理由を求め、乱用に歯止めをかける一方で、有効と認められる要件は明示していない。

 整理解雇については判例に基づき、人員整理の必要性など4要件を満たす必要があるため、解雇しにくいというのが経営側の共通認識だ。だが中小企業を中心に解雇が日常的に行われているのが実態だ。解雇ルールの明文化で解雇のハードルが下がれば、今まで以上に理不尽なリストラが横行する懸念は拭えない。

 さらに日本の場合、人事権の裁量を大幅に認めていることも見逃せない。転勤や配置転換を受け入れる代わりに定年までの雇用が事実上保証されているからだ。解雇規制の緩和と人事権の見直しは不可分のはずである。企業の権利だけが強まれば、不当な解雇を引き起こす可能性は高まってしまう。

 両会議で提案されている解雇の金銭解決も問題が大きい。裁判で解雇が無効となった後、労働者との合意に基づき、企業が金銭を支払えば雇用契約を解消できる仕組みだ。職場復帰が本来の姿だが、実際は戻りづらいケースがあるためだ。仮に金銭解決を導入しても、解雇の乱発を防ぐため労働者側の請求だけに限るといった歯止めが必要だ。

 勤務地や職種を限定した「限定正社員」を拡大する政府の方針も疑問が残る。

 非正規労働者の待遇改善につながるとされるものの、正社員の雇用を抑える調整弁として使われる危険がつきまとう。社員間の格差が広がることも気がかりだ。安倍首相は「失業なき労働移動」を強調するが、企業側の視点だけでは実現は困難と受け止めるべきだ。


男女賃金格差 4月15日

2013年04月22日 10時40分10秒 | 臼蔵の呟き

おはようございます。札幌は快晴です。穏やかな天候です。家の裏の積雪も50センチくらいまで減りました。庭にはスイセンの芽が出てきました。

女性の賃金は男性賃金の71%にしかならない。これが日本における賃金実態であると報じています。同一労働、同一賃金というときに、女性は男性より3ヶ月と15日余分に働く必要があるということで4月15日と表記しています。

過去、日本社会における男女差別は本当にひどかった。現在でも、天皇制は女性を継承者として認めない。これが政治支配層の常識です。慰安婦問題も同種の差別意識の延長線上にあります。世界の流れ、人権意識が大きく変わっていても天皇制のようにコケの生えた、時代錯誤の感覚が生きています。歴史的にみれば、豪族の頂点に立つものが「王」「皇帝」などと自らが自称し、権威付けて、権力を掌握して社会支配をしてきた。これが歴史の実態です。今日、人は基本的人権を有し、みな平等といった思想は世界的に定着し、この考え方を否定するようなことは支配層、政治でも簡単にはできません。

しかし、実態は、日本では女性は、家に縛られ、男性が働き、家庭を守るべきとの考え方が隠然と存在しています。最近は、賃金切り下げ、労働者の賃金低下、非正規労働の拡大で、共働きをしなければ生活できない世帯が多くなっています。政治支配層が女性蔑視発言、思想を持っていたとしても女性の社会進出はどんどん進みます。それは彼ら、大手企業の賃金抑制の結果としてももたらされています。歴史の皮肉。

少子化問題も、女性差別が要因としてあります。保育園、ゼロ歳児保育などが働く上での条件となります。しかし、認可保育園は十分になく、女性が子どもを育てながら働くことは至難の業です。

女性の社会進出を促進し、その条件を整備することは政治、社会の重要な課題です。同時に女性差別の仕組み、思想を払拭することが必要です。人口の半分を占める女性が豊かで、のびのびと生きる社会は誰もが生き生きと活動できる社会と共通すると思います。そのような結果として少子化問題の解決も図られるのではないかと思います。非正規労働も正規労働との対比で権利を制限し、賃金、労働条件を切り下げるものです。その意味では、女性差別と共通しています。日本社会から差別、賃金格差を一掃することで住みやすい国を実現することができるのだと思います。

<男女賃金格差 4月15日>

日本をはじめ世界約100カ国に活動拠点を置く女性団体・国際BPW(ビジネス・プロフェッショナル・ウーマン)が「イコール・ペイ・デー」という世界共通の基準を作り、男女の賃金格差是正に向けキャンペーンを展開している。
 「イコール・ペイ・デー」は「同じ賃金を手にする日」と訳される。男性が1年間働いて得られる賃金を、女性はどの程度働けば手にできるかを分かりやすく表す指標だ。
 日本BPW連合会によると、2013年の日本の「イコール・ペイ・デー」は4月15日だった。男性が昨年12月末まで1年間で得た賃金を、女性は1年働いただけでは得られず、男性より3カ月と15日間、余計に働いてようやく手にできるという計算だ。女性の賃金が男性に比べいかに低い水準にあるかを、実感を伴って教えてくれる。
 昨年が「4月16日」だったので、1日分だけ男女格差が縮まったことにはなるが、先進国の中ではスイス(3月7日)、フランス(同15日)、ドイツ(同23日)、米国(4月12日)などに後れを取っている。
 日本の男女賃金格差は、厚生労働省も頭を悩ます社会問題だ。企業と経済界はもう一段高い意識レベルを持ち、格差解消に真剣に取り組むべきだ。
 厚労省の統計によると、昨年の月額平均賃金は男性32万9000円に対し、女性23万3100円と10万円近い開きがあった。男性賃金に占める女性賃金の割合は70.9%にとどまる。
 賃金格差を生む大きな原因とされるのが、男女間における平均勤続年数と管理職比率の違いだ。賃金の男女差別は違法行為であり、各職場とも制度面では男女平等の原則が確立されているが、運用面では依然として改善の余地が多いと言える。
 女性の勤続年数が男性より短いのは、結婚や出産・子育てで退職する人が多いためだ。育児休業制度の普及で、仕事と子育てを両立する環境は整いつつあるものの、職場によっては、育児休業を取得しにくい状況が続いているとみられる。
 一方、企業の課長担当職以上や管理的公務員といった管理職のうち、女性の占める割合は10年の統計で10.6%だった。米国は42.7%、ドイツは37.8%、英国は34.6%に上り、日本は他の先進国に大きく水を開けられている。
 なぜ、管理職比率の男女差が生じるのか。採用や配置、仕事配分、人事評価など雇用の本質部分に、男女を差別する考え方が根強くはびこっている現実が透けて見える。経済団体が先頭に立ち、企業トップの意識改革を大胆に図ることが根本的な改善に不可欠ではないか。
 小さな職場では、周囲の目を気にし、女性が管理職登用を辞退するケースもあるという。女性管理職に理解ある職場の雰囲気づくりが重要なのはもちろん、女性の側にも、責任ある立場を敬遠しないなど、男女共同参画社会に向け新たな一歩を踏み出す覚悟が必要だろう。