春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

冬に咲く花

2005年01月03日 | 日記
わが家の庭にいま咲いている季節の花は、山茶花、梅、水仙などだ。ローズマリーは1年中花をつけているので季節が
いつなのかわからない。道路に面した玄関脇にある山茶花は11月の下旬頃に花をつけ、次から次に咲く。花の美しさ
とともに咲き終わった花びらは絨毯のように地面を覆い、冬枯れの庭に彩りを添えてくれる。

山茶花は競って花をつけるが、梅はいつ咲いたのか分からない。ひっそりと静かに花をつける。色はピンクだ。五弁の
小さな花びらが花心を柔らかく包むように咲いている。小さな花だが何ともいえない芳香を放つ。「梅は酷寒に耐えて
芳香を放ち、人は辛酸を嘗めて志を遂げる」。表現が正確かどうか定かではないが実家の床の間の掛軸に書いてあった。
京都の高僧が書いたものだと父が言っていた。

冬に咲く花には華麗さはない。梅、椿、琵琶、水仙、いずれもどこか寂しげで、慎ましい。高校時代のことだが、
親友の母親が結核で死んだ。長い闘病生活の末の死だった。その母親が病床で詠んだ歌が「冬に咲く花の運命(さだめ)
を黙々と微笑みて咲く枇巴の花かな」。冬に咲く枇巴の花がいつしか自分の運命のようにも思えたのだろう。枇巴の花
を見るたびに彼のことを思い出す。

寒風に晒されながらも庭の木々は小さな芽をつけている。ユキヤナギ、ブルーベリー、地面にはクリスマスローズや
フキが芽をふくらませている。ふくらみは日ごとに大きくなっている。

草木が春を競う季節がもうそこまでやって来ているのだ。