春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

二月堂のお水取り

2005年03月12日 | 日記
12日は奈良東大寺二月堂のお水取りの日。童子たちが振り回す大きな松明の燃えさしが欄干の下の参拝者たちに降り注ぐ。
古都奈良の人たちに春を告げる行事だ。1200年もの間、絶えることなく続いた「火と水の行事」とはどのようなもの
なのだろうか。

二月堂では、毎年3月1日から14日までの2週間、「修二会」(しゅにえ)という法会が行われる。旧暦の
2月に行われていたので、2月に修する法会という意味から「修二会」と呼ばれ、「二月堂」の名もこのことに由来して
いるという。

お水取りは12日の深夜、若狭井という井戸から観音さまにお供えする「お香水」(おこうずい)を汲み上げる儀式。
行を勤める練行衆の道明かりとして大きな松明に火がともされる。松明の火は火打ち石で起こした火が使われている。

「お香水」は、若狭・小浜の鵜の瀬から10日間かけて二月堂の若狭井に届く。若狭では、二月堂のお水取りに先がけて、
毎年3月2日、小浜市の神宮寺と遠敷川(おにゅうがわ)上流の鵜の瀬で厳かに「お水送り」の行事が行わる。
「火と水の行事」は、若狭の「送り」と奈良の「取り」で完結する。

かつて、シルクロードの玄関口であった若狭・小浜から奈良へ伝えられた大陸文化の歴史の跡が、この伝統行事の中に
色濃く残されているのだ。