春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

江間章子さん死去

2005年03月14日 | 日記
「夏の思い出」の作詞者・江間章子さんが3月12日、脳内出血のため死去した。91歳だった。
「夏がくれば 思い出す」の歌詞ではじまるこの歌は、日本人なら誰でも知っている。
敗戦後の暗い世相の中、人々に明るさをもたらし、広く愛唱された歌で、いまなお多くの人々に歌い継がれている。

作詞者・江間章子さんは、大正2年、新潟県高田市の生まれ。2歳の時、父が急逝したため、母の実家の岩手県平舘村
で育った。大正14年、静岡県に転居し、静岡高等女学校に入学。静岡高女時代から新詩運動に参加し、卒業後上京、
駿河台女学院に入学後も詩作を続け、昭和11年に詩集「春への招待」発表した。戦後は、三好達治、草野心平らと共に
現代詩人会で活躍し、少女小説、ラジオ歌謡など幅広い創作を行った。

江間さんは、昭和24年、NHKラジオ歌謡で「夏の思い出」を発表し一躍有名になったが、この曲を作曲したのは中田喜直
さん。中田さんは著名な作曲家で、サトウハチロー氏とコンビを組んで、「小さい秋みつけた」「夕方のおかあさん」
「さわると秋がさびしがる」「とんとんともだち」「わらいかわせみに話すなよ」など数々の名作を生んでいる。
「めだかのがっこう」も同氏の作曲である。

昭和24年と言えば、国民が敗戦のショックから立ち直り、懸命に生きようとしていた時代。その時、NHKラジオから
この歌が流れてきた。戦争の呪縛から解き放たれ、ささやかな団欒を取り戻していた人たちが、この歌を通して忘れていた
自然を思い出し、明日への希望へとつないでいった。詩もいい、曲もいい。すべてが揃っいる。

東京都世田谷区の名誉区民、岩手県西根町の名誉町民、群馬県片品村の名誉村民。