春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

日経連載小説「等伯」

2011年01月22日 | 日記
日本経済新聞の朝刊連載小説「等伯」が始まった。

作者は歴史小説の第一人者・安部龍太郎氏。安土桃山時代から江戸初期にかけて活躍した絵師・長谷川等伯の
波乱に満ちた生涯を歴史事件を背景に描く。

挿絵は西のぼる氏。西氏は等伯と同じ能登の出身で、安部氏とは同紙の夕刊連載小説「信長燃ゆ」でも一緒に組んだ仲。
そのころから二人はいつか長谷川等伯を描きたいと話していたという。

第一回の書き出しはこうだ。

 雨だった。頭上にたれこめた厚い雲から、大粒の雨がふり落ちてくる。陰暦三月、ひな祭りも近い
 というのに肌寒い日がつづき、三和土はひんやりとした冷気におおわれていた。
 長谷川又四郎信春(等伯)は草鞋のひもをきつく結び、古ぼけた蓑をまとった。・・・

挿絵は雨の中の一羽の鳥。これから何かが始まることを予感させる。
書き出し挿絵とも見事で、いきなり物語の世界に引きずり込まれる。さすがだ。