バーバの極楽トンボ

さー傘壽を超えた・・今からももうひと飛び

朗読劇 夏の会

2009-07-11 15:27:04 | 原爆孤老のつぶやき・・
7月11日
午後からはカラリと晴れて真夏日になった。

昨夕は前から気になっていた広島での朗読劇「夏の会」をやっと観劇することが出来た。
出演者は蒼々たる役者揃い、期待度100%で会場に行った。
       開演前から熱気に溢れ、幕が上がると異常なほどの静けさと緊張が感じられた。
六人の役者さんが椅子にすわり、朗々と広島、長崎の被爆者からの詩が朗読された。
後ろのスクリーンに大きく映し出されるあの時の映像・・あの時の人・人・・あの時の被爆者の姿・・そして、効果音・・・

私の頭の中は目まぐるしく64年前に逆流する・・・

朗読者の流れるような声のトーン・・場内の異常なまでの静寂・・
弱視で難聴の私に流れるように聞こえてきたのは・・・

、爆心地から1キロ地点で被爆した、私たち親子三人、崩壊した家屋の下から猫に導かれて台所の天窓から這い出し、まるで冥土えの道を歩いているのか、回りの灰色に塗り潰された瓦礫、無表情で行き来している人・・いや、人ではない、人の形をした物が、右往左往・・その中を私たちもただひたすら、何処を目指して歩いていたのか・・母に引っ張られて比治山の向こう目指して、何時間もかかって歩いたような記憶がある。
四、五時間掛かっていただろうか、やっと落ち着いたとき、遠くの方から「ウワーウワー・・」と打ち寄せる波のように絶え間なく聞こえてくる声・・

あの声が・・あのざわめきが・・あの時一瞬に蘇ってきた。
64年も経っているのに恐ろしいほど、あの時に引き戻されていた。

1時間半ほどであったが、私は「あんな物ではなかった、・・あの時あの場所にいた人は、何年経っても一瞬にして引き戻される。・・・私はあの時学友のみんなを爆心地で失った、・・先生もみんな・・月曜日だったのに、休んだばっかりに・・私一人置き去りにされて・・なんと言って学友に言ったらいいのだろうか・・
毎年毎年、同じ悔恨の思いを繰り返していることか・・

終わってからも暫く現実に戻れなかった。

この事実は二度とあってはいけない・・・戦争・・原爆・・
被爆地だけではない、敵機から投下される爆弾・・あの、「スルスルスル・・ドッカーン」・・今も耳の奥から響いてくる、
あの恐ろしい体験をした人は、64年経った今も消え去ることはないのだ・・

後、一ヶ月弱であ・あの日が来る・・私は怒りと悲しみで一杯になってしまった心を、どうする術もなく・・暗い夜道を、帰った・・