団地夫婦の日々

常盤平団地夫婦の54年、団地内で気付いた事を時々に、妻の料理、私の買い物等

常盤平団地の52年113 妻のお稽古の終わり

2017-10-12 11:55:02 | 日記

11日、妻が謡のお稽古から帰って来て、「今月もう一回のお稽古が最後になるので皆でお弁当でお食事会にしようと約束してきた」と何十年になるのか、毎月2回初めの内は会場も固定せず、アチコチ場所を変えて通うのも大変だった事も有ったようだが今の柏の場所に決めてから何年になるか、遂に次回で解散だそうです。生徒も男一人を含めて7人位で昔はもっと沢山生徒もいたらしいが、元々年寄りの集まりなのだが輪を掛けて、皆年を取り一人又一人とやめてしまったようです。そして今回は肝心のお稽古の先生が歩行困難になりお稽古の場所まで来られなくなったのが理由だそうです。

お稽古の時は誰かさんがおやつを持参して、妻はお土産に持ち帰り、その日の出来事を話題に二人でお茶します。今回は友達のお一人がゴディバのチョコを皆に「お別れなので」と呉れたそうです。ゴチソウサマ

先生の健康状態をお聞きして、今日の打ち合わせでお稽古仲間に電話した妻が沈んだ顔で「Yさんが入院中だって・・白血病なんだって・・白血病って血液の癌よね・・」「そうだ、I先輩が白血病だったなあ・・」

昔、職場と釣り仲間だったI先輩を見舞いに日野の病院へに行った時、Iさんはベッドで本を読んでいて妙に落ち着いていたが一言低い声で「今身辺整理中だよ・・」私は当時白血病がどんな病気か知らなかったのでI先輩がその内良くなると思って「Iさん元気になって又伊豆へ釣りに行きましょうよ」なんて気楽に話したのだが・・それから間もなく息子さんから「昨日父が・・」と聞かされ余りのあっけ無い訃報にビックリして絶句したことを思い出していた。今は好きだった海釣りにも行かなくなった私だが、私と同じ団地に住むIさん家族と通夜の晩に一人っ子の息子さんからI先輩愛用の釣り竿を手渡され「形見です、父から是非貰って欲しいと言われてました」と伝えられて又涙が止まらなかった・・・

さて今回のお稽古仲間の病気を聞いて妻は、昔の分厚い家庭医学大全科を引っ張り出して来て、一生懸命その病名の項目辺りを読んでいるようだったが、やがてメガネを外して「ふう・・・」と溜息をついて私の方に向けた目に涙が・・「良い事は余り書いて無かっただろう・・その事典は古いから・・今はもっと医療は進んでいるから・・」と云いつつ私は、昔病院のベッドの上で今読んでいた本から目を離し、眼鏡越しに私に向かい柔和に微笑みかけてくれた在りし日のIさんの姿を思い出していた・・・