常盤平団地内には誰が植えたでも無い山椒の木が生えてます。私達の棟の外れには明らかに誰が植えたのか解らない、?いや以前から自然に生えていたとしか思えない山椒の木、昨年あたりから一緒に植わっているつつじの株と同じ根元から遠慮がちにチョロチョロと棘を持った山椒の枝がつつじの葉の間から飛び出すように伸びています。
先日夕方通りかかった折に、これを見つけて、枝先の柔らかそうな枝葉を指先でつまんでズボンのポケットにそそくさと仕舞い込んで帰宅しました。
テーブルの上に広げた山椒の葉を見て妻は「如何するのこれ、佃煮?・・」「ウン?何とかなるかな~・・」
誰にも見られないように、あたふたと摘み取った葉は、御覧の通り僅かな量になっていましたが、これが滅多矢鱈に美味しい甘くて酒の肴にも抜群、普段は晩飯でご飯は食べないのですが、思わず妻のご飯を半分分けて貰った位美味しかったのです。でも量は僅かだったのでアッというまに無くなりました。
「去年は山椒味噌に したのよね~・・でもコレ昔妙義山麓にある東雲の親戚のおばちゃんが作ってくれた味じゃ無い、砂糖や味醂を使ったからこんなになっちゃッたみたい・・」とブツブツ言っていたのです。
暫らくして団地内を散歩しながら、あちらこちらに山椒の木が植えて有るのに気が付いたのですが、どの木も団地棟の入り口前だったり、花壇の中だったりで、人目が気になって中々手が出ませんでした。
ある地区の団地棟の入り口近くに一本だけ山椒の木が目に止まりました。どうやらこの木は元から自然に生えている状態に見えたのです。
早速、素早く一つ、二つと・・そこへ誰かが後ろに寄って来る気配が・・近所のおばさんらしきご婦人が私の背後に立ち止まり、いきなり「山椒の葉って香りが良いのよね~」
驚いた私、悪さをしているのを見つけられた子供みたいに、「あ~っ、スイマセン少し取らして下さい・・」
おばさんは「どうぞどうぞ・・誰が取っても良いのですから」と許してくれたのですが、立ち止まった儘、一向に動こうとしないのです。
更に慌てた私「佃煮にして食べるんです・・あの~?ご近所にお住まいですか?」
件のおばさん、眼の前の入り口の上を指差して「ここの上に・・」ニコニコして階段の方へ歩いて行かれました・・思わずお辞儀して見送る私でした・・
私のこの恥ずかしい出会いは妻には内緒です・・
再び妻は機嫌よく、私が恥をかいた山椒の葉で子供の時の妙義山のお婆ちゃんの味に挑戦してくれたのですが
妻は「大体こんな味だった」というのですが私好みの味とはかけ離れた代物でした。
「辛いよ、辛いバッカリだよ」「辛いのは実も入れたからよ・・」これが後で私の山椒佃煮初挑戦に響くのですが・・・鈍い私ですので、その時は気付きませんでした・・ゴチソウサマ