先週、「ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展」に行って来ました。場所は、東京・渋谷にある「Bunkamura ザ・ミュージアム」。モノクロプリント、カラープリント、そして絵画作品に至るまで、貴重な作品群を前に大きな感銘を受けて来ました。特にカラープリントは、以前からぜひ生のプリントで拝見したいと思っていたので、カラー写真のパイオニアと称される氏の、その色彩感覚を目の前で堪能できたことは、自分にとって大きな機会でもありました。一瞬を捉える視点の素晴らしさや深さはもちろん、一歩引いたところから捉える、何かそのソール・ライター自身の人柄までもが、美しい色彩の中に滲み出ているような気がしました。また、展覧会場をはじめ、図録にも氏の哲学的な言葉が添えられていて、その一つ、「写真を見る人への写真家からの贈り物は、日常で見逃されている美を時々提示することだ」という言葉が特に印象的でした。日本の美に対しても敬愛していたというソール・ライター。すでに故人となっていますが、今回、作品を通して対話できたような気がして、改めて、「写真」の素晴らしさを教えて頂きました。
そして、ブリューゲルの「バベルの塔」展も本当に楽しみにしていた作品展で、24年ぶりに来日したという作品をこれでもかというくらいに目に焼き付けてきました。場所は、上野にある「東京都美術館」。緻密に描かれた作品は、寄って見ても引いて見ても見飽きることがなく、圧倒され、新しい発見の連続でした。ソール・ライターもブリューゲルも、「見る」ということの意義を教えてくれるように思います。この2つの展覧会、その優れた洞察力、観察力に圧倒され、感銘を受けたものとなりました。