写真原板の管理は、フィルムで撮影している者としていつも気に掛かっている。「土門拳を未来へ-写真アーカイブの試み-」と題してギャラリートークが行われることを知り、土門拳記念館を訪れた。長期保存に対する試行錯誤、土門拳が残した作品群を後世に伝えていく重要性、写真専門の美術館に課せられた使命とその思いに至るまで、学芸員さんのお話の中にうかがい知ることができた。私のつたない質問にも丁寧に答えてくださり大変ありがたい思いだった。美術館ほどの保存環境は確保できないにしても、自宅でやれることはまだまだあるなと実感した。
帰り際、中庭を眼下に横切って白鳥池の畔に行く。遠目に館を見てから再び戻って、光にかがやく外壁や足元にのびる影を見て回った。改めて、土門拳記念館の美しさを思った。