さんたろう日記

95歳、会津坂下町に住む「山太郎」さんたろうです。コンデジで楽しみながら残りの日々静かに生きようと思っています。

私の町の私の好きな家あちこち(8)

2018-02-26 | 日記
私の大好きだったこのお店の前を通るたび私の心が潤みます

 
 
右側のお店は美味しい手打ち蕎麦と割烹のお店の「民そば屋さん」です。
左側の店の今は冷たくシャッターがおりてお店のネームも消えていますけど、かつてはこんな綺麗な時計と眼鏡のお店だったんです。



30年ほど昔私が現役の職場を定年退職で去るとき仲間の人たちがこのお店から買って贈ってくれた立派な記念の置き時計です。

下に振り子みたいな物が動いています。でもこれは飾りなんですよ。実はこの時計はもうクオーツになっていて振り子もゼンマイも入らないんです。下の振り子みたいな物はメインの時計とは別の電池で飾りに動いているだけなんです。時計には関係ないんです。

40年ほど昔は柱時計も置き時計も腕時計もクオーツになってはおらず、時計を動かす動力は電池ではなくすべてゼンマイでした。時を正確に刻むためには柱時計や大型の置き時計は振り子を使い、小型の置き時計や腕時計は振り子と同じ働きをするテンプを使っていました。腕時計は小さな時計の中にゼンマイやテンプやたくさんの歯車が見事に納められて動く精密機械でした。その性能は機械の軸受けに使われている小さいルビーの宝石の数で決まりました。私の安物の腕時計は4石くらい、高級腕時計は10数石というふうにです。

ゼンマイと振り子を使った昔の時計は定期に機械部分の分解掃除や修理をしなければなりません。ですから昔の時計屋さんの善し悪しはお店の時計師さんのの技量と親切心で決まります。

この時計屋さんは兄弟お二人のりっぱな技能と温かい親切心をもった時計師さんのお店でした。ですから私のわずか3石の安物腕時計もこの時計やさんに持っていって分解掃除や修理をして貰うことでなんの支障もなく使うことが出来たのです。お店の前を通るたびにお二人さんの仕事ぶりをガラスの窓越しに眺めて楽しんだりもしました。ですからとても懐かしいお店だったんです。

でも今は時計はすべて電池で動くクオーツになり3000円程度の腕時計も数十万円の高級腕時計も時間の正確度は実用的にはほとんど差がなくなりました。電池も数年は交換の必要もなく特別なことがなければほとんど故障もありません。ですから高い技能をお持ちの時計師さんの必要もなくなり、実用の時計は量販店から手軽に購入するようになりました。そして街の個人経営の時計屋さんはシャッターを下ろして開かないお店になりました。

この時計屋さんの時計師さんは今どうなさっているんでしょうね。シャッターの閉まったお店の前を通るたびに私は懐かしくそして侘びしくなるんですよ。