アズマイチゲ?・キクザキイチゲ?・
アズマイチゲの花だと思うンですけども
ずっとずっとこの堤の土手を何年も散歩しているんですけどこの綺麗な白い花が何輪も咲いているのを見たのは初めてなんですよ。びっくりしたんです、嬉しかったんです。私の大事な思い出の花ですから。
この花を見ると幼い頃暮らしていた山峡(やまかい)の古里小立岩(こたていわ)の春が思い浮かぶんですよ。小立岩という集落はうしろに穏やかな標高300mくらいの愛宕山があり前に険しいがんくらの標高1000mほどの険しい岩倉山があってその下を檜枝岐川が流れている幅200mくらいの狭い居平に10数軒並んでいる小さな集落なんですよ。
その集落には茅葺き2教室の小さな小学校校舎があって私は1年生から5年生まで通っていたんです。全校児童60人同級生は私を含めて男3人女3人の6人でした。
集落の南側の険し岩倉山です。5年前89歳のときの12月免許証を返納する前の記念に4時間ほどのドライブしで訪れたときに撮った写真「です。
小立岩の春は温かくなった4月、岩倉の山から轟音と雪煙を立てて落ちる底なだれで明けるんですよ。雪崩が落ち始めると必ず子供のうちたれかが気づいて「なだれだ-」と叫ぶのです。すると子供達はみな道に出てその豪快で勇壮な雪崩を見つめるのです。雪崩はやがて水しぶきをあげて檜枝岐川に落ち込んで川をつききってこちらがわに先端がもちあがります。すると子供達は歓声を上げて雪崩の先端に駆け寄ります。雪崩の先端には川で泳いでいたイワナやヤマメやハヤなど魚が雪にまみれ上がっているんです。
争ってそれをつかみとるのです。でも危険なんですよ檜枝岐川の流れが雪崩の雪でせき止められてダムができています。ダムが決壊するとき危険なんです。でも大丈夫なんです。年上のがき大将が観察していて危なくなる前に「上がれー」と叫ぶんです。がき大将というのはそういう優れた智恵をもったものが自然とみんなに認められてなるんです。ですから親たちは子供達信頼していました。集落の伝統なんですよね。ですから親たちは子供達仲間を信頼してまかせていたみたいです。干渉しないんです。
豪雪地帯ですから雪は4月いっぱい残ります。5月になると雪は急速の消えてゆきます。そして普段は水が流れない枯れ沢に山の谷から雪融けの綺麗な水が音を立ってて流れてきます。そのほとりにこのアズマイチゲやカタクリやスミレが咲きみだれるんです。
幼かった時のそういう嬉しい春の思い出をアズマイチゲの花は94歳の爺いの思いを蘇らせてくれるんです。嬉しいんです