昨日は、ばばちゃん(家内)がお仲間と楽しんで来るというので、一人で糸桜里の湯に行きました。そして温泉の男湯で胸うたれるご夫婦の姿を見て感動し、自分の老いの身の生きざまについて深く深く考えさせられました。
温泉は平日なので閑散としていました。その洗い場に70歳前後と思われるご夫婦の姿がありました。男湯に奥様がご一緒、不思議に思って見るとお痩せになって姿が小さくなられた奥さまはからだがご不自由でいらっしゃるようでした。どうやらアルツハイマー型認知症を患っていらっしゃるようで幼子のように無心なお姿でした。
そして、ご主人が奥さまのからだを丁寧に洗っていらっしゃるのでです。頭から、背中から足の先まで丁寧に丁寧に優しく慈しむように洗っていらっしゃるのです。奥さまはといえばご主人を信頼しきったお姿ですべてをご主人に任せていらっしゃるのでです。
更衣室に奥さまを抱きかかえるようにしてお出でになったご主人は、ズボンをはくのも上着を着るのも迷っていらっしゃる奥さまを優しく手助けして身支度をさせていらっしゃいました。ご主人のお姿はなんのためらいもなくむしろ幸せそうにさえ見ました。更衣室は幸せそうなご夫婦だけの世界のようにさえ思いました。
ロビーで私が休んでいると、うしろの椅子に人の気配がするので振り返ってみるとご主人が優しく奥さまを椅子にすわらせてドリンクを買って渡し、ご自分は売店の野菜売り場の行かれてあれこれ物色なさっていらっしゃいました。
奥さまはといえば、子どもように嬉しそうにドリンクを飲みながらご主人を信頼しきったおだやかなお姿でした。
私はお二人のお姿に感動しながらも自分たち夫婦のことを思いました。私がもしあの奥さまのようになったら、それは豪胆で心が広くものに動じないばばちゃんです、なんのためらいもなくあのご主人ほどでなくてもしっかりと介護してくれる私は信じることができます。
でもばばちゃんがもしあのようになったら私はあのご主人のように出来るだろうか、心が小さくわがままで弱い自分が不安になりました。あのご主人のように幸せそうな温かい姿でばばちゃんを介護が出来るだろうか、とても不安になりました。
もっと強く、もっとおおらかな心にならなければと考えながら家に帰りました。
そして自分の部屋のPCの前で遊んでいると、ばばちゃんの「ただいま」という明るい声がしました。嬉しかったです。でも私はそんな様子はつゆ見せず何事もなかったようにぶすっとした顔で玄関でばばちゃんを迎えました。ほんとに困ったじじいだと私も思っています。