続・切腹ごっこ

~当ブログは更新を終了しました~

少年十字軍

2010-09-05 | ★その他
 「読むだけですっきりわかる世界史 中世編」を読んでて、“少年十字軍”というものを知った。1212年、神の啓示を受けたという少年エティエンヌの呼びかけに現在のドイツやフランスの少年が5万人ほど(数千人~2万人とも)集結し、十字軍本来の目的である聖地奪還のために旅を始めた…とある。「日本史では白虎隊、アニメではエヴァだのファフナーだの、こうした少年の有志はたいてい踏みにじられるものと相場が決まっている。」と付け加えられている。この本には、こういうマンガ、アニメ、ゲームに絡めた解説がちょくちょく出てくる。

 “
少年十字軍”、なんてそそられる響き…!しかも著者が白虎隊と同一視してるってことは…と大きな期待を抱いてぐぐって見た。
 正規の軍隊による十字軍は、11世紀終わり頃から13世紀後半まで200年近くの間に計7回の遠征を行っている。しかしそれ以外に“民衆十字軍”というものが存在した(時期的には第1回十字軍より前)。新天地に期待した、または信仰心の熱い庶民たちが当時の権力者や聖職者に扇動されて聖地への行軍を開始。その人数は10万人規模にまで膨れ上がったが、食料援助があるわけでもなく、途中で行き倒れたり、各地の住民とトラブルを起こしたり。運よく(?)イスラーム軍(セルジューク朝)に相まみえることができたとしても、兵士ではないので勝てるはずもなく、殺されたり捕えられて奴隷にされたりしてしまった。

 少年十字軍も同じような種類のものだったようだ。上記の、1212年の少年エティエンヌを中心としたものは平均12歳ぐらいの少年・少女(完全に子供だ…^^;)。フランス南部、地中海に面する港町マルセイユで、無償で船を提供するという商人に騙されてアレクサンドリア(現在のエジプトの都市)に連れて行かれ、多くが奴隷として売られてしまった。
 純粋な少年少女が、悪い商人に騙されて見知らぬ土地に連れて行かれ奴隷にされて…なんとなくアニメ「
世界名作劇場」の匂いがするな~ アニメだと最後はハッピーエンドになるんだろうけど、現実は世界名作劇場じゃ描けないような未来が待ってそうだ。
 ほかにも、ドイツの青年ニコラスを中心とした平均15歳ぐらいの少年十字軍があったが、アルプスを越えてローマまで行軍したところで、ローマ教皇に説得され故郷に戻っている。

 この少年十字軍をもとにした漫画があるようだ。「
インノサン少年十字軍」古屋兎丸作、「マンガ・エロティクス・エフ」(太田出版)にて連載中。

インノサン少年十字軍 上巻 (Fx COMICS)
古屋 兎丸
太田出版
読むだけですっきりわかる世界史 中世編 イスラーム教の誕生からジャンヌ=ダルクまで (宝島SUGOI文庫)
後藤 武士
宝島社