テレビアニメ版は見たことがない。原作とテレビ版は内容がぜんぜん違うようだが、原作や原作に忠実なOVAを見た後ではこれ以外のものは想像できない。
※以下ネタバレを含みます。
デビルマンが誕生してから、何回かのデーモンたちの戦いを描いた前半(という区切り方がもともとあるわけじゃないんだけど)。前半は、主人公らしい主人公が人間を守るため悪役たちと戦う…という感じ。
そして世界が終末に向かう後半。個々にデビルマンを襲っていたデーモンたちが、魔王ゼノンの命令のもと計画的に人類全体を襲い始める。そして人類はパニックに陥り、たった20年で全滅してしまう。こうなるだろう、またはこうはならないだろうと思っていたことが色々裏切られて面白い。
デーモンたちとは何者なのか? 人類とは異質なデーモンが、どうやって人類の「恐怖心」という弱点を知ったのか? なせデーモンたちの攻撃が始まる前に不動明はデビルマンという存在になったのか?
そういったことが、最後に明かされていく。
不動明をデーモンと合体させデビルマンを誕生させた飛鳥了という人間は、実はデーモンたちの大ボス「サタン」が転生(?)した姿だった。物語の冒頭デビルマンを誕生させた段階では、了は自分がサタンであるということを自覚していない。この段階では学者である父の遺産をもとに、復活しつつあるデーモンたちに人類が対抗する手段を真剣に探っている。
物語の後半、人類への総攻撃が始まった時には、了はデビルマンに勝ち目のない戦いを避けさせ、その力を温存させようとする。了はまだ自覚していなかったが、それは来るべき人類反抗の時のためではなく、デビルマン自体を生き残らせるためだった。
人類が疑心暗鬼になり同士討ちで大混乱に陥る中、了は自分が危惧していたとおりに物事が進んでいくことに違和感を覚える。その了のもとへ、デーモンたちからの迎えの使者が来る。了(サタン)は、偽の記憶を自らに埋め込み人類の弱点を知るために人間として暮らしていたことを思い出す。そしてサタンとして覚醒する。
サタンが了という人間として暮らす中でデーモンに対して抱く恐怖・危惧することを、配下である魔王ゼノンが読みとり、その恐怖を具現化させる形でデーモンたちを動かす。そうやってデーモンたちの人類への攻撃は行われてきたのだ。
ではなぜサタン(了)は、デーモンに楯突く存在であるデビルマンをわざわざ誕生させてしまったのか?それは「人類をデーモンの攻撃から守るため」という了の意志ではなく、不動明という人間を人類絶滅後もただ一人生き残らせたいというサタンの意志であった。サタンはなぜ不動明を生き残らせようとしたかというと…彼を愛してしまったからである、というオチ(?)がつくのだが。
サタンは不動明を愛しており、ともに生きていきたいと思っているのだが、明は人類を(ガールフレンドである牧村美樹を)滅ぼしたサタンを許すことはできず、二人は戦うことになる。
壮絶な戦いの末、海に浮かぶ小さな岩の上で(もしかしたら地球の陸地はそこ以外は破壊しつくされたのかもしれない)二人が横たわっている。サタンは、かつて神がデーモンを滅ぼそうとしたように、デーモンが人類を滅ぼしてしまったことを謝る。瀕死の重傷を負っていた明は、それに応えることなく永劫のねむりについた。
サタン(了)が不動明を愛しているということを頭の隅に置きながら読んでみると、ムフフwと思えるところがいくつかある。了の、明に対する台詞も違ってみえる。デビルマンの物語自体が壮大な三角関係の話だったんじゃないかと思えたり…。
特に「新デビルマン」の5話分は、いやにBLちっくなシーンが多い。
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