続・切腹ごっこ

~当ブログは更新を終了しました~

デビルマン(原作)

2010-03-28 | ★レビュー(本)
永井豪の「デビルマン」を読んだ。
テレビアニメ版は見たことがない。原作とテレビ版は内容がぜんぜん違うようだが、原作や原作に忠実なOVAを見た後ではこれ以外のものは想像できない。

※以下ネタバレを含みます。


 デビルマンが誕生してから、何回かのデーモンたちの戦いを描いた前半(という区切り方がもともとあるわけじゃないんだけど)。前半は、主人公らしい主人公が人間を守るため悪役たちと戦う…という感じ。
 そして世界が終末に向かう後半。個々にデビルマンを襲っていたデーモンたちが、魔王ゼノンの命令のもと計画的に人類全体を襲い始める。そして人類はパニックに陥り、たった20年で全滅してしまう。こうなるだろう、またはこうはならないだろうと思っていたことが色々裏切られて面白い。

 デーモンたちとは何者なのか? 人類とは異質なデーモンが、どうやって人類の「恐怖心」という弱点を知ったのか? なせデーモンたちの攻撃が始まる前に不動明はデビルマンという存在になったのか?
 そういったことが、最後に明かされていく。

 不動明をデーモンと合体させデビルマンを誕生させた飛鳥了という人間は、実はデーモンたちの大ボス「サタン」が転生(?)した姿だった。物語の冒頭デビルマンを誕生させた段階では、了は自分がサタンであるということを自覚していない。この段階では学者である父の遺産をもとに、復活しつつあるデーモンたちに人類が対抗する手段を真剣に探っている。
 物語の後半、人類への総攻撃が始まった時には、了はデビルマンに勝ち目のない戦いを避けさせ、その力を温存させようとする。了はまだ自覚していなかったが、それは来るべき人類反抗の時のためではなく、デビルマン自体を生き残らせるためだった。
 人類が疑心暗鬼になり同士討ちで大混乱に陥る中、了は自分が危惧していたとおりに物事が進んでいくことに違和感を覚える。その了のもとへ、デーモンたちからの迎えの使者が来る。了(サタン)は、偽の記憶を自らに埋め込み人類の弱点を知るために人間として暮らしていたことを思い出す。そしてサタンとして覚醒する。
 サタンが了という人間として暮らす中でデーモンに対して抱く恐怖・危惧することを、配下である魔王ゼノンが読みとり、その恐怖を具現化させる形でデーモンたちを動かす。そうやってデーモンたちの人類への攻撃は行われてきたのだ。
 ではなぜサタン(了)は、デーモンに楯突く存在であるデビルマンをわざわざ誕生させてしまったのか?それは「人類をデーモンの攻撃から守るため」という了の意志ではなく、不動明という人間を人類絶滅後もただ一人生き残らせたいというサタンの意志であった。サタンはなぜ不動明を生き残らせようとしたかというと…彼を愛してしまったからである、というオチ(?)がつくのだが。

 サタンは不動明を愛しており、ともに生きていきたいと思っているのだが、明は人類を(ガールフレンドである牧村美樹を)滅ぼしたサタンを許すことはできず、二人は戦うことになる。
 壮絶な戦いの末、海に浮かぶ小さな岩の上で(もしかしたら地球の陸地はそこ以外は破壊しつくされたのかもしれない)二人が横たわっている。サタンは、かつて神がデーモンを滅ぼそうとしたように、デーモンが人類を滅ぼしてしまったことを謝る。瀕死の重傷を負っていた明は、それに応えることなく永劫のねむりについた。


 サタン(了)が不動明を愛しているということを頭の隅に置きながら読んでみると、ムフフwと思えるところがいくつかある。了の、明に対する台詞も違ってみえる。デビルマンの物語自体が壮大な三角関係の話だったんじゃないかと思えたり…。
 特に「新デビルマン」の5話分は、いやにBLちっくなシーンが多い。

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「デビルマン」OVAシリーズ

2010-03-20 | ★レビュー(映像)
 OVAの「AMONデビルマン黙示録」と「デビルマン 誕生編」「デビルマン 妖鳥死麗濡編(一部)」を見た。「AMON~」は2000年発売。「誕生編」は1987年、「妖怪鳥編」は1990年発売。紹介してもらって、最初はグロシーン目的で見たのだが、評価の大きさとストーリーが気になってきて原作漫画を注文した。

※以下ネタバレを含みます!


 ストーリー紹介よりも、グロシーンの感想を書こうと思う。
 「AMON~」には主人公不動明(デビルマン)が居候している牧村家の長女美樹と、その弟健作(タレちゃん)の惨殺シーンがある。
 デーモンによる人類への乗っ取りが拡大し、「隣人は悪魔なのではないか?」と人間同士が疑心暗鬼に陥る。悪魔狩りのために自宅に侵入してきた隣人にタレちゃんはボーガンで頭を射抜かれて、その後首を切断される。美樹は弟の惨殺死体を見つけた直後に同じく首を切断され、侵入者たちが持つ長い棒の先に掲げられる。血はしっかり赤いし、生首は何回も出てきた。
 予備知識なく見たので、惨殺シーンが遠慮なく出てくるのに吃驚した。美樹は物語上のヒロインという位置づけだと思って見始めたので、殺されるとは、ましてこんな殺され方をするとは思ってもみなかった。このシーンを見たあと、二次グロ画像投稿サイトで原作のこのシーンの画を見たような気がすることを思い出したんだけど。
 他にもデビルマン軍団の仲間の少女が、スイカにむしゃぶりつくようにして腹を喰い破られるシーンがある。最初は地面に滴り落ちる血と千切れた片腕しか写らないので、「これでこのシーンは終わりだろう」と思ってたら、その直後少女がお姫様だっこされたままガシュガシュ腹に食いつかれるモロなシーンが出てきた。これもちょっと衝撃だった。

 「誕生編」や「妖鳥編(途中までしか見れてないけど)」にも、人間がデーモンに乗っ取られてグロく変身したり、体を引きちぎられてハラワタがボタボタ落ちるシーンがあるが、「AMON~」ほどの衝撃はなかった。ただ人物やデーモンの動きの丁寧さとか、背景の描き込み方はこっちの年代が古いOVAの方が凄いと思った。

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2次元流血ポルノ

2010-03-15 | ★その他

※以下yahooニュースからの引用↓

 子供の性行為を描く漫画など「2次元児童ポルノ」規制のため、東京都が今定例議会に提出した青少年健全育成条例の改正案で、改正案に反対する漫画家のちばてつやさんや里中満智子さんらが15日、都庁で記者会見を開いた。


 ちばさんらは都議会最大会派の民主党に意見書を提出。会見で、ちばさんは「文化や表現など新しいものが起きるときはいろんな種類の花が咲く。スミレやサクラなどかれんな花もあれば、ジャングルで形もにおいもすごいラフレシアのような花もあるが、根っこですべて繋がっている。『この花は汚い』と根を断つと、植物群全体が滅ぶ」と改正案を批判。

 漫画家の永井豪さんは「私は『ハレンチ学園』で世に出てきた。当時もたたかれたが、規制が始まるとこの作品も確実に出せない。くさい物にはふたをしろと規制するとかえってゆがんだ人間が増える」と述べた。このほか藤子不二雄Aさんやさいとう・たかをさん、萩尾望都さん、西岸良平さんら著名な漫画家らが反対者リストに名を連ねている。




 自分の描くイラストはラフレシアかな~ モウセンゴケか、ウツボカヅラかも… なんて想像してみる。2次元流血ポルノって、どんな位置づけなんだろ。際々なのは間違いなさそうだ。「残虐な犯罪を助長する!」って言われ易すぎるだろw

 絵や漫画の、規制する・しないの線引きなんて誰ができるっていうんだろう?? 本物の人間の見た目のリアルさを必ずしも追求していない日本の2次元キャラクターを“18歳以上or未満”に分けることなんてできるのか?「非実在青少年」ってナニよ?

 18歳未満に見えても、ケモっ子だったり人外系だったりすると規制されなかったりして。単純に規制出来るほど2次元は浅くないぞ!エロと芸術の境目だってハッキリしてないのに、考えがアサハカというか…本気でやれると思っているのか、思いつきでやってるのか、よく分からない。
 最初はごく一部の人間からしか文句が出ないところから規制していくつもりなのかもしれない。そして、その範囲がいつの間にか徐々に拡大されていって…ああ怖ろし… 2次元(絵など)だけじゃなくて文章や映像関係(エロビの女子高生モノとか少女コス関係とか)にも及んだりもするんだろうか。

 現実に被害者が発生している性犯罪は許せない。しかし“2次元児童ポルノ”は、現実世界の“性犯罪”を増加させているんだろうか?双方を関係づける証拠なんてあるんだろうか?関係がありそうだから表現の自由を奪ってでも規制するっていうのは、「表現の自由」ってものを軽く見てるんじゃないだろうか。
 世間は、健全なもの・見かけの良いもの・メジャーでノーマルなものだけでできているわけじゃない。もっと、多様性を受け入れる寛容な度量を持った方がいいと思うんだけど。まぁでも、見たくないものを見なくていい権利っていうのもあると思うから、個人個人で色んなフィルタリングをできるようにすることも必要なのかもしれない。

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井口村刃傷事件

2010-03-13 | ★男の切腹+グロ

 明日の「龍馬伝」は、切腹シーンが見られるかもしれない。

 上士と下士が激しく対立した「
井口村刃傷事件」の中で、二人の下士が騒動を収めるために切腹している。そのうちの一人池田虎之進は龍馬自身が介錯をしたという話もある(小説の創作かも)。龍馬伝では笠原秀幸という26歳の俳優が演じるようだ。
 もう一人は宇賀喜久馬という19歳の若者で、刃傷現場にいたが本人は刀を抜いたわけではない。龍馬は助命嘆願をしたが聞き入れられず、結局切腹することになった。実の兄が介錯したという。宇賀喜久馬も龍馬伝に出てくればいいんだけど、1話で二人の切腹を見たいと思うのは贅沢か。
 これまで龍馬伝の中で何回か不発に終わった切腹シーン、今回は見れるのか?

 そういえば以前、この事件のことを記事に書いた
 小説「竜馬がゆく」や、漫画「おーい!竜馬」の中にも虎之進切腹の場面が描かれている。

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「シドニアの騎士」

2010-03-06 | ★レビュー(本)

 「シドニアの騎士」(弐瓶勉)、読んだ。前に読んだ「BLAME!」と比べると線がだいぶスッキリしてる。

※以下、多少ネタバレ含みます。

 ―遠い未来、正体不明で“対話不能”の敵との戦いを続ける人類。地球はすでに亡く、超巨大宇宙船で脱出した人類(の一部)はロボット兵器に乗り唯一の必勝武器を使って敵である宇宙生物と戦う。特異体質の主人公♂はいきなりパイロットに抜擢されるが、敵の撃破に成功する。

 敵の宇宙生物(?)はすぐ変体するし、取り込んだモノの見た目や能力をコピーするし、かなりの強敵らしく人類側の犠牲は大きい。パイロットに選ばれた若者たち(男女混合)はサクサク死んでいく。
 正体不明の敵の強大さとか人類の切羽詰まった感じとか、若いパイロットが戦闘に駆り出される感じは「
トップをねらえ!」を思い出した。
 ストーリーの中でキャラクターが死ぬ前に生き生きしてるほど、アッサリ死んだときに萌える。アッサリっていうのは、何か大きなものの犠牲になったりドラマチックな別れのシーンがあったりするんじゃなく、突発的な事故のように悲鳴を上げるヒマもなく…という感じで。致死的なダメージを受けた後、そのままの状態で長く悶え苦しむっていうシチューションも好きだ。

 主人公たちの名前は和風だ。でも現代よくあるような名前は少ない。他の人間と比べると特異体質な主人公だが、主人公以外も光合成ができたり男女以外の性だったりクローンだったりする。男でも女でもなく見た目も中性的な人が身近にいたら、自分はどう対応するだろう?なんとなく、その特徴だけで好きになってしまいそうだ。

 主人公たちは対話不能の相手といつか対話できるようになるんだろうか。

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